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辻橋女子高等学校@生徒会室⑧ ― ハニーフラッシュ

「こんな外人風な方いたかしら」


 外人風・・・・・・。

 まるでこの学園の生徒全てを知っているような口ぶりだなおいと言いたくなってしまうが、まあそれが理事長の娘ということなのだろう。上から目線が鼻につくが、それは致し方ない事項として留意しておかざるを得ないのだろう。だって理事長の娘なのだから。生徒の中では天下無敵、こうして高校生相手にもタメ口を超えた頭ごなしの口調を言い放つその口を押えたくなる衝動もなくはないが、今の俺は部外者以外の何者でもないため何もできできずぼーっと突っ立ているだけだ。なにで少女の口を塞ぐって? そんなこと聞かないでくれ。


 しかし……そうか。ブルーのカラコン、ライトブラウンの髪が欧米感を出しているつもりだが、しかしながら妃乃里を知っている人から見れば、妃乃里がおしゃれに目覚めたくらいにしか見えないこの容姿。それが示すことは、必然的に外人風な日本人ということになる。この子、洞察力◎といったところか。


「目が青―い!(カシャッ) 外国人?(カシャッ) でも日本語上手みたいだからハーフなのかな?!(カシャッ) すご~い!(カシャカシャカシャッ)」

 

 俺の目にフラッシュの嵐。これがハニーフラッシュというものか。モデルにでもなったような気さえしてくるが、果たしてこの姿は撮られてよいのだろうか。 他方に目をやると『自己紹介』と口だけ動かし声を発しないという逆腹話術みたいなことをしながら俺に無感情な顔を向けている。


「……ソヒリーヌと申しマス」


 声が女の子になっているから何の問題もないのに、なぜか声を高めに出そうとしてしまうのはなぜだろう。女性が電話にでるとき声のトーンが一段階あがるのと同じ原理かな。……いやそれ、もはや女じゃん、俺。


「ソヒリーヌ嬢は海外の姉妹校からの視察生だ」


 嬢……。


「視察生? そんな制度あったかしら。そもそも姉妹校があるなんて初めて聞いたわ」


「よくわからないがあるらしい。私も理事長に言われて迎えに行っただけだからな。よくわからない」


 この人、この学園の持ち主の直系に白昼堂々と嘘ついてんのお? 腹が座りすぎてませんかね? 存在しない姉妹校を押し通したよ。よくわからないでゴリ押ししたよ。。。


「会長が直々に迎えにいったのー? すごいね、なんかすごいね!(カシャッ。カシャカシャッ)」


 キャッキャする薄紫色の髪の子をしり目に、ピンク髪のショートカットの訝しい視線に多少の気後れを感じるが、嬢の使い方に非日常感を持たないないのはさすが上流学校の生徒と言ったところか。


 しかし「よくわからない」を二回被せるのはいささか不信感を仰ぎかねない気がするが……どうやら沙紀は嘘をつくのが苦手なようだ。でも視察生やら姉妹校やらで圧倒的な疑念が生まれているにも関わらず話が進むということは、彼女らにはそれなりに信頼関係があるようだ。


「……まあいいでしょう。ソヒリーヌさん、自己紹介がまだだったわね。私達はこの学園の中等部2学年の辻橋瑛つじはしえい美依びいというわ。私は中等部の副生徒会長をしているの」


「よろしくねぇ、青目のお姉ちゃん(カシャカシャッ)」


「よ、よろしくお願いしマス」


 撮影したフレームの中には、棒立ちの自分と片手のピースサインを頬につける美依が収まってた。強引とかそういうのを超えたもはや自然とも呼べるくらいのツーショットを撮られた。無邪気な笑顔に思わずつられてしまい、目の前に向けられたデジカメのモニターにはなんだかんだ良い写真が写っている。


 しかし……今呼ばれたよね、お姉ちゃんって。……そっか、そうだよな。今外見女だもんな。妃乃里丸出し状態だもんな。妃乃里と同等に胸は膨らんでいるけど、これ、おっぱいボールだけどね。偽乳はひた隠し状態で君たちより大きいことでお姉さん感を膨らませているが、お姉さんでもお嬢ちゃんでもなく、その実態はただの何の変哲もない男です。まぁ、たまには普段呼んでいる相手側に立ってみるのもいい経験か。


「二人とも、とりあえずここに座ってくれ」

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