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辻橋女子高等学校@生徒会室③ ー 理事長の娘ビッチ化計画

 アウトーーーーーーー!!!

 

 アウトですアウト。対象がおかしいでしょうが対象が!

 何してんのこの人。なんつー事案請け負っちゃってんのよこの人!!!こんな、へたすりゃ一国興せそうな資産があり気な学園の理事長だぞ?へたすりゃ沈だよ、沈!沈沈だわ! しかもこんな男子禁制の聖地で男のど真ん中を教えるとか冒涜感を感じちゃうんですけど。


「いったいどういう流れでそんな依頼が……いくら生徒会長といえども生徒は生徒……デショ?」


 気持ちカタコトにしてみた。


「クラスの学級委員長が先生のつかいっぱしりであるように、生徒会長は学園長、そして理事長の操り人形でしかないんだ。理事長には理事長の体裁、イメージというものがあるからそれを崩すような行動はできない。それは私の立場でもそうだ。だから私にも副会長だったり様々な部下がいるわけだ」


 そうなのか。副会長ってそういう役割だったっけ? まあそういう役回りもあるのだろう。大変だな。


「まあ、こんな勅命が来たのは初めてだったが……」


「会長もさすがにびっくりしたんですネ」


 よかった。うちの姉もそんな突飛な話にはさすがに引いてくれているようだ。それくらいの常識はあったんだな。変なことを変だと認識することができたということだけで安心するというのも変なことだよな。


「いや、どうしたものかと思ってな。性教育と言われても私にはお前の股から生えているものがないからな。私だけではどうすることもできないと思ったんだ」


 そういうこと……。


「だからどうしてもお前の協力が必要だった」


 そっか・・・・・・え?


「協力って……しもの方です…カ?」


「無論、そうだ」


 …………。


「その……ソレがある必要があるのでしょうカ?」


「なんだそれはどういう意味だ」


 すっごい早口で返されましたのだけれども。この会長の言葉から異様な焦りが匂ってるんですけど。


「いや、だって別に見せる必要はないのではナイデスカ?」


「実物を見ないで何が教育だ!」


 バンッ!


「そんなことだから学生の学習意欲が下がって国際社会から遅れをとっていくことになるのだ!」


 バンッ!バンッ!!


 近くにあった机を叩く。


 いや、なんでそんな睨みつけるの。怒りの矛先は机だけでは済まなかったらしい。私の言うことに間違いはない的なその視線をビシバシ浴びせられているわけだが、ダメなものはダメ。他の教科ならまだしも、この教科―――というか教育というカテゴリーの中で最も実物持ち込んじゃだめなやつだからこれ! 生モノはダメ。絶対。

 いくら学園長の勅命だからといって、それは相手の合意がなければナントカ陳列罪だって。いや、もしかして合意があっても陳列罪じゃないのか? 年齢が年齢だし。

 ……あれ? そういえば年齢聞いてないな。嫌な予感しかしないのだが大丈夫だろうか。嫌な予感の出所は、ここが「高校」ではなく、「学園」というところにあるのだが。


「学園長の娘って何歳なんですカ?」


「……たぶん14歳だろう」


 はい出ました、中学生確定年齢!

 おい嘘だろ冗談だろまじかよありえないどうすんだもう知らないんだからネ! これが区切ることなく頭の中を一瞬で駆け巡った。

 ただでさえいけないことしてる感すごいのに、年齢聞いたらさらにディープになったんだけど。


「それがどうかしたか? 中学生に性教育をするのが何かいけないことなのか?」


 どうもしないんですかあなたは。普通に「中学生に性教育」なんていう超絶パワーワードを放り投げないでもらいますか会長。それはヤバいですって。もはや陳列罪がかわいく聞こえてきますって。

 どうでもいいけど陳列罪って棚とかに置いてなくても、空間にぶら下げているだけで陳列扱いになるのも不思議だよな。どうでもいいけどさ。


「性教育をするのに早いも遅いもないだろう。いずれは知るところとなるのだ。確かに身体的な事情はあるだろうが、知識として持つ分には別に構いはしないはずだ」


 …………。


「実際にアレをするのかどうかというのはその人によるのだろうが……知っておくことに損はない。どんな道も常に開かれるべきだ。いつ何時その道に目覚めるかわからない。本当に大事なものを見つけるとき、自分の進むべきところに気づくときというのは、いつだって突然なのだ」


 ……………………。


「確かにこの学園は全寮制を基本としていて、彼女たちも例外ではない。しかも理事長の家系は女系で、かつ男を一切排除するという徹底的な女尊男卑な世界。それだけ男に接する機会がない中で、いざ男を目の前にしたとき、そういうことで汗をかきたくなったらどうする。相手がそれを求めてきて、プレイ方法がわからなかったらどうする。これ以上ない最高のパートナーだったらどうする。……出会いも気づきも、いつも突然なのだ」


 ねえ、もうやばいってうちの次女!!! 沙紀!!! どういうことよ。この人完全にビッチ教育しようとしてますよ。この強大な学園の理事長の娘をビッチに仕立て上げようとしてるってマジで!!!

 警察につきだすか……? 犯罪を犯す前に警察にお願いして一般常識叩き込んでもらう? そうしちゃうか? なんでこんな風に成長しているのかわけがわからないよ。毎日面倒見てるのに、知らないところなんて数えるくらいしかないだろうに、どうしてこんなことになってるのさ。泣きたくなってくるぞ。いやもうすでにブラックバスがいそうなくらいの池くらいにまで心の涙が溜まっている。どこで教育を間違ったんだ。もう明日……いや今このときから、うちの三姉妹を育てていける自信がなくなった。今をもって0になったよ。


 ……でも、人生は続く。続いていくんだ。明日が来ないように願ってもそれは叶わない。宝くじが当たって一人で生きていける大金を手に入れることを望むにも、それは何回の人生をかければ叶うのだろうか。


 だから俺はめげない。諦めない。立ち止まらない。これまでもなんども心が折れそうになったけどやってこれたのは、この先にある三人の姉が嫁ぎ、静かになった家で愛する人と幸せに暮らす未来―――。

 俺は諦めない。絶対に!!!

 理事長の娘の前に沙紀に対して性に対する教育をしなければならない。そんなビッチだとは知らなかったぞ!


「…これまで何人の男とやったのか知らないけど、だめだ沙紀ねぇ! そんなことじゃ本当の愛は得られない!」


「なんだ急に。声を荒げて。愛? よくわからないが・・・まあ恥ずかしい話だが、私はまだそれをプレイしたことがないんだ」


 恥ずかしいというよりは悔しいという気落ちが伝わってくる苦悶の表情を浮かべながら沙紀は言った。早くやってみたいという現れなのか、拳をぎゅっと握りしめる。

 なんだ。日常茶飯事に事を構えているのかと思いきや、なんだ。そうなのか。ならまあいいけど。いいとするけど、その認識は果たしていかがなものか。とりあえずまだ純潔を保っているということで、これはまあ家族として弟として世話を焼くものとして安堵するところか。


「もどかしい。私も早くやってみたいぞ」

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