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辻橋女子高等学校@生徒会室① ― 視覚と聴覚の騒めき ~prologue~

「ちゅ……じゅる……ちゅっ……」




 部屋の中に響き渡る唾液音。校舎の中で一般生徒はあまり寄り付くことがない生徒会室の中に響き渡る。何度も何度も繰り返し聴こえるその音に、一応年頃のど真ん中にいる男子高校生である俺には聴きそらすことがなかなか難しい興味深い音だった。




「ねぇ……おにいちゃん……まだぁ?」




 吐息混じりの幼げな声が下腹部辺りから聞こえた。何かを舐めとるときに出るちゅぱちゅぱ音の合間に発せられたその言葉と、見下ろしたすぐのところからの上目遣いに反応する心の奥底の自分がいることに気づく。これまでの生活の中では気づかなかった、新たな自分が開発されている気がする。薄紫色のウェーブのかかったロングヘア―が、この子がお嬢様であることを再認識させる。




「まだぁ……でなぁい……のぉ?」




「……ど……どうだろう。まだ……なのかもしれ……ない……」




 自分のモノとは思えないほどに長く伸びて硬直している。このまま破裂してしまうのではないかと心配してしまうくらいに張り具合が最高潮だ。




「瑛えいちゃんも……。舐めなよ。……おいし……いよ?」




 時々ブルブルと震わせている俺の下腹部から長く伸びるものに、かわいらしい唇から出る舌を這わせながら言う。




「美依びい、あんた……どんだけ夢中で舐めてるのよ」




 右側には、美依と双子の姉である瑛が怪訝な視線を反対側にいる美依に向けていた。しかし顔の紅潮具合から、その目から羨ましさが見え隠れする。




「……そんなに……その……おいしい……の? その……粘っこそうな液体」




「うん……おいひいお?」




「そんな幸せそうな顔しちゃって……まったく」




 瑛はそう言うと、目の前にあるものをじっと見つめる。




 俺はというと、気がつけばその子の唇が常に視界に入っていた。そのぷっくらとしてかわいらしい小さな唇が、年下耐性のないこの俺に強烈な魅力をねじ込んできやがる。小さい胸も要素の一つなのだろう。美依は中学生の割には立派な谷間を作っているが、瑛はまだ発展途上の様子。しかしその家の中では見ることのない小さな谷間を含め、この子たちの容姿、言動が自分の潜在意識にまでも浸透し、ずかずかと俺の中に新たな感性を芽生えさせようとしている―――そんな気がしてならない。




「おい、貴様」




 いつの間に近づいてきたのだろうか。急に毎日聞いている声が耳元で囁かれた。それも結構な怒りがこもっているとみる。




「いつまで一人お楽しみを続けるつもりだ? ん? これ以上私を困らせたら、後でどうなるのかわかっているだろうな? もう二度とたてなくなるくらいにいじめ倒すことになるぞ。私の手間も考えろ」




 仮にも協力してもらってる相手にこんな仕打ちはあるか? いやないでしょ。どうして言う通りにしているのに、こんなに協力しているのに痛めつけられなきゃだめなんだよ。ひどいぞ沙紀ねぇ。




 続けて罵声を囁かれ、俺の細胞一つ一つが打ちのめされ、このプロジェクトが失敗するかもしれないという思いが頭の中を過るも、その思いとは裏腹に、どうやら俺の体はその手の体になってしまっていたらしい。




「お、メーターがあがったぞ。ふふっ。お前は本当にどMのど変態だな。この変態弟」




 なんて楽しそうな顔をしながらいうんだ、このどS会長は。




「あれ? なんか味が濃くなったかもぉ。それにさっきよりカチコチになってる~」




 美依がツンツンとそのカチコチのものを優しくつついている。


 どうやら俺は姉たちの世話で人生というはかない時間の大部分を費やすうちに、こんな仕打ちを受けているのにも関わらず、喜んでしまう体になっていたらしい。




「瑛ちゃ~ん、まだ舐めたくならないのぉ?」




「な、舐める……美依は何も知らないからそんな……お、美味しそうにペロペロ舐めれるのよ」




「別に舐めなくてもいいぞ。今のこいつならちょっと触れてやれば大噴火だ」




「触れる……」




 瑛は目をつむり、一呼吸おいた。そして、意を決したように表情に気合が入ると、その唇をゆっくりとそれに近づけていく。




 ちょ……ちょっとまってくれ! これ以上の刺激は、もう……ダメだ。ダメだって!


 ダメなんだから――――――ああああああああああああっっっ!

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