5話
( ・´ω・`)マイルドでしょう?
優奈と対峙し終えた2人は中庭についていた
そこは庭というより小さめのグラウンドのようで、そこで騎士たちは素振りや、魔術の修練、模擬試合などをやっているようだった。
「魔術ってのは凄いね、僕らも使えるかな」
「兄さん、教えてもらいますか?」
「んー、このまま見てよう、もしかしたら使えるようになるかもしれないしね」
「わかりました、兄さん」
2人は騎士の修練の風景を眺めていると見知った人物がまぎれているのを見つける。
「終、勇者様がいるよ」
「これが兄さんの言っていた面白い物ですか?」
「だよ、たぶん勇者の称号で正義感に補正が入ったりしてるんじゃないかな?」
「正義感ですか・・・」
「伊藤さんってさ全てが普通の女の子だったよね、その女の子が目の前で先生殺されてさ、その殺した相手に説教したりできると思う?」
「そうですね、普通なら他のクラスメイト達と同じで失禁や失神などすると思いますね」
「でしょ、だからさ勇者様にはもっと僕を憎んでもらわないと、面白そうだからね」
そう言った破綻は微笑んでいる、そして2人は勇者に近づいていった。
「おはよう、勇者様」
「・・・」
伊藤は挨拶してきた破綻に軽蔑の眼差しを向け無視する
「つれないですね、勇者様にクラスメイトのことでお話があるのですよ」
「何・・・」
「えっとですね、先ほど泉さんに殺されかけましてね」
そう言う破綻の顔は邪悪に満ち溢れている
「なっ・・・優奈ちゃんは何処なの!」
「何処って、此処にいますよ?」
破綻の影から先ほどの黒い液体があふれ出しそして何か吐き出し影に戻っていった。
べチャッ!といやな音を立てて吐き出されたソレは下半身を完全に溶かされ上半身もグジュグジュに成っている泉優奈だった。
そんな優奈を見て勇者様は、口元を押さえへたり込む。
「あははは、なかなか、凄いですね」
溶かされた泉を見ながら破綻は笑っていた。
「あれは、水竜の巫女じゃないか?」
「むごいな・・・」
そんな死体を見た騎士たちの数人は嘔吐や、動揺したりしていた、そんな中1人の騎士が破綻の元に歩いてきた。
「すまない、貴方がヒトガミハタン殿か?」
「はい、そうですよあなたは?」
「私わ王国第1騎士団団長セグレム・リフォレと申す、失礼を承知で言わせてもらう、あまり人の死をもてあそぶなよ」
「僕は弄んでなんかいませんよ?だって真剣にやってるんですから」
そう言って破綻は再び笑う、そんな破綻を見てセグレムは同じ人間とは思えなかった。
そして伊藤はふらふらと立ち上がる
「お前は許さない・・・お前だけは・・・許すものガァァァ」
「ソレでいい、ソレでこそ良いんだよ、勇者様!」
勇者様は輝く剣を作り出し破綻に斬りかかる、だが純白の2本の巨腕にはじかれる。
終は昨日破綻が出した黒い腕と同じだが、色が白い物を出していた。
「兄さんを傷つけさせない・・・」
終は暴走気味の勇者様を睨みつける
「ドケェェェ、ソイツは今此処で殺さないといけないんダァァァァァ!」
勇者は何度はじかれても斬り続ける。
「終、殺さないようにね、彼女は面白くなる」
「わかりました」
白い腕は一方で輝く剣を防ぎ一方で握り拳を作る。
そして勇者の剣をはじき、その隙を狙い殴打する、ドゴンッと重い音を立て勇者は吹っ飛ぶ。
3メートルほど飛んだところで止まり動かなくなる。
その光景を見て騎士たちは呆然と立ち尽くしていた、そんな中セグレムは誰よりも早く正気に戻り勇者の元に駆け寄り回復の魔術を行使する。
「まぁ、まだあんなもんか、これからに期待だね」
「ふんっ」
破綻は嬉しそうに呟き、終は憎悪をこめた視線を勇者に向けている。
「セグレムさん、勇者様のこと頼みますよ、あと朝の修練を邪魔して、すいませんでした」
破綻はそう謝りながら、黒い液体に泉の死体を飲み込ませ影に戻した。
「では、ごきげんようセグレム卿、勇者様、騎士団の方々」
「ごきげんよう」
破綻と終は中庭を後にした、そして中庭に残された者達は昨日知らされた事が真実だと、あの2人はとてつもない化け物だという事を思い知らされたのだった。
( ・´ω・`)短いかも
※主人公の無痛病は現実のものとは異なるとんでもないものですご了承ください