ウンディーナ
「久しぶりね、元気にしてた?」
シュレムとアディーは幼馴染みらしい。ずいぶんとご無沙汰していたらしく二人は楽しそうに会話している。
「どうしてあなたが案内役を?」
するとアディーはシュレムの腕を掴んで泣きついてきた。
「私、何年も警官の仕事をやっているけど、ドロボーを取り逃がしたり、奴隷の男共のケンカの仲裁に失敗して殴られたり、何をやってもダメなの」
「あんた昔から気が弱くて……警察官になった時は本当に驚いたわ」
「私、私……今になって後悔しているの。保育士になれば良かったと」
しゃべるオオカミにも彼女は別段驚かない。
「ふ~ん、職場で蔑ろにされたあげく、誰もやりたがらない任務をなすり付けられたんだな」
カクさんの歯に衣着せない一言に、アディーはご立腹だ。
「まあ! 初対面なのに失礼で生意気な犬ね。あなたオスでしょ……犬でも男は腹が立つわ」
「オイラ、これでもオオカミなんですけど……」
今度はスケさんが挨拶代わりに話しかけた。
「私はこう見えても、性別で言えば女よ」
「わあ、見たこともないような、きれいな黒ブチ模様……かわいい!」
アディーは初対面のスケさんに遠慮することもなく毛皮を撫でまわし、携帯で写真まで撮った。
「フフフ……?」
スケさんは苦笑いした。臆する事もなく猛獣のジャガーにいきなり触りまくるとは! 度胸があるのか、それとも何も考えていない奴なのか……。どうしても言えなかったが、アディーは昔付き合っていた彼女に何だかよく似ていて一瞬ドキッとした。
制帽を脱ぐと、後ろで結んだ髪は茶色で、ゆるくウエーブがかかっている。笑うと子供のように人懐っこい表情。しゃべり方や外見まで似通ったところがあるなぁ。特にボリュームのある胸は、制服の上からでも確認できるほどの大きさで、他の二人と比べてもズバ抜けている。
世界には似た人が複数いるというが、アディーの場合600光年離れた惑星間に花開いた一種の奇跡なのだろうか。婦警姿の彼女と一緒に旅する日々は、心穏やかではないかもしれない。




