イオ
シュレムがバットを投げ捨て、カクさんに怒り爆発だ。
「ちょっと、妹に何するのよ! 変な事するとただじゃ済まないって、さっき言ったはずでしょ」
スケさんもさすがに呆れて女性陣に加わった。
「あなた……アニマロイドの風上にも置けないわね。査察団の一員なのに女性に痴漢・セクハラしまくりなんて品性を疑われるわよ」
たじたじになったカクさんをかばったのは、マリオットちゃん。
「お犬様を責めないで! 一緒にはしゃいで、めちゃ楽しかったよ。私と遊んでいただけだからさ」
おお……彼女の心はケプラー22bの海より広いのか。カクさんよ、彼女に感謝だな。
後部ドアを開き、中からマリオットの手を引っ張り乗車完了。彼女はとても喜んで、僕にぴったりと抱きついてきた。この惑星の女性としては――アマゾネスとしては珍しく、男に嫌悪感をあまり示さないタイプのようだ。ひょっとすると見た目より幼いからなのか? おいおい……放してくれよ、君の荷物も乗せなくちゃ。このままでは運転できないし。
シュレムは僕とマリオットちゃんの戯れに、なぜかご機嫌斜め。
「やめておきなさい、信用できる人達だけど……あまり馴れ馴れしくしちゃだめ!」
「オイラとならいいだろう。お犬様はやめてくれよ、カクさんと呼んでOK」
後部座席に戻ったカクさんは、犬のようにマリオットちゃんの顔を舐めた。まったく! いつもドサクサに何をするんだ、こん畜生め……うらやましいだろうが。




