クリオ
シュレムは目をつぶって、しばらく考えた後、決断を下した。スタリオンの窓から顔を出して伝えた言葉。
「分かったわ、マリオット。私が守ったげる。一緒に行こう!」
「やったー!」
マリオットは鞄を落とすと同時に飛び上がって、喜びを露わにした。その場でぐるぐると回転し、制服のプリーツスカートを膨らませる。
「やったね!」
カクさんは後部ドアを開けて飛び出してきた。そしてマリオットの周りを駆け回り、一緒に喜びを分かち合ったのだ。
「あら、あなたは前に見た事のある、お犬様」
そういえばケプラー22bに降り立って、一番最初に出会ったのが、マリオットちゃんとカクさんだった。あの時はシュレムに銃をぶっ放されてビビったなぁ。そう考えると、かなり親密度がアップしたと言えるんじゃないのかな。
マリオットちゃんは両腕を水平に保ったまま、目が回るくらい回転している。
「ウフフフ……」
「ハハハハ……」
カクさんも舌を出し、いつまでも衛星のように周りを回るのだ。そして回りながら、さりげなく静かにマリオットちゃんの背後に付いた。
まさか……ね。
だがカクさんは、やってしまった。
マリオットちゃんが目を回してふらついている隙を狙って、グレーの制服スカートの後ろから中に頭を突っ込んだ。
本当に、すごい早業だった。
そしてやや厚手のショーツをはいている彼女のお尻の匂いをクンクンと嗅いだ。
「はれ? 何をしているの、お犬様?」
カクさんは何やらスカートの中に入ったままだ。
「フフフ、やだ、くすぐったい! そんなとこ舐めないでよ~」
マリオットちゃんは太ももで、きゅッとカクさんの鼻を挟んだ。
「むは~!」
カクさんは息ができなくなって苦しいはずなのに脱出しなかった。
それに脚がぴくぴくしているよ。
「……何が『むは~!』じゃ! このエロオオカミが!!」
カクさんはスカートの中に入ったまま、シュレムにバットで頭部をどつかれた。
「むげっ!」
さすがのカクさんも渾身の一撃により、その場にひれ伏したのだ。




