サッフォー
シュレムは不満を爆発させた。何だかプリプリしている。もちろん胸やお尻の事ではない。
「あ~いやだ。総督にあなた達の仲間って認識されてるじゃない。どーしてくれるのよ!」
スケさんが答えた。
「あらら、私は仲間だと思っているけど?」
「違うんです! 最高権力者に目を付けられるのが怖いんです。せっかく看護師免許を取ったのに無職になりかねないわ」
「病院をクビになったら査察官の俺が雇ってやるよ、給料はどうするかな」
「ちが~う! 看護師として働きたいのよ」
「まあ、そうだろうな」
彼女は白衣が似合うので、ずっと着ていてもらいたいものだ。
「それに、お目付け役って何なのよ! 地球人を四六時中見張ってる事なんて出来やしないわ」
シュレムは慣れない任務に頭を抱えるのだった。
「これも運命だよ、長旅を楽しく過ごすためには仲良くやっていくしかない」
「はっきり言って男はキライよ」
「……それでも看護師かよ」
「冗談よ、冗談。憧れの地球人、それも同世代に巡り会えたんだから」
今日のシュレムは髪を下ろしている。ヘアサロンに行ったのか、セミロングの黒髪は艶やかだ。
白衣もズボンタイプにしておけばいいものを、わざわざスカートタイプのワンピースにしているのは、彼女流のこだわりなのか。ストッキングも白なので全身白一色に統一されており、清潔感に溢れている。う~ん、これから旅をしているうちに砂漠の埃にまみれてしまうのが気の毒だなぁと思う。




