フェリシア
射手のアマゾネス達に悲鳴が上がる。ギター・ライフルは瞬間的に半導体や電子回路が全て焼き付きオシャカになった。ケプラー２２ｂ総督府内は一斉に停電し、システムも沈黙、警報が鳴り響いた。
同時に主翼が炎上した電神ヴィマナを神業のコントロールで自爆突入させる。ケプラー２２ｂ総督府の最上階にである。
「もったいないが仕方あるまい。ありがとう電神ヴィマナ。そしてさようなら」
無人航空機による体当たり攻撃により幾何学的造形の上階層が破壊され、凄まじい爆発を起こすと同時に強化ガラスの雨を降らせた。蜂の巣をつついた時のように中からスタッフが飛び出し、我先に逃走を始めるのが確認できたのだ。
マリオットちゃんが震えながら呟く。
「わあ、総督府の中には、あんなにたくさんの人達が働いていたんだ」
スーツ姿のアマゾネス達が、たくさんある出入り口の中から死に物狂いで走り出てくる。見てないで、さっさと腰ひもを解いて逃げる準備をして欲しい。そんな折、カクさんからの脳内通信を受信した。
『お待たせー。もうすぐ到着するよ。何人か途中で轢いちまった』
「おい、もうすぐスタリオン高機動車がここにやってくる。シュレム、混乱に乗じて逃げるぞ」
すでに、そのころには僕らの方に銃弾が飛び交っていたので、姿勢を低くして四つんばいで逃げるしかなかった。そういえばデュアン様は……見失っちまった。逆に考えれば、近衛兵どもは総督を守るのが精一杯で、我々を処分する余裕がなくなったとも言える。
「きゃああ！」
シュレムを背中に乗せて、更にブリュッケちゃんを左肩、マリオットちゃんを右肩に抱えた。三人ともヒモで繋がったままだ。ズレを直す時、シュレムのお尻の割れ目についつい手が刺さってしまった。
「いやあぁ！ もう、どこ触ってるのよ！」
「労働で鍛えた筋力が役に立つ時が来たな」
チトマスがアマゾネスに殴りかかり、アディーがＢ級奴隷の戦闘員に銃で威嚇射撃しているのが遠くに見えたのだった。
