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異世界ハーレム飛行~アマゾネスの星ってアリですか?~  作者: 印朱 凜
第20章 奴隷生活
246/580

シーター

「何だと! あのバケモノを釈放して自由にするというのか? 中央は何を考えているんだ!」


 ビワ湖湖畔にそびえ立つ、ビエリ奴隷訓練所の所員は一様に動揺した。地下深くに存在する牢獄には一人の特別なS級奴隷が閉じ込められていた。

 その人間離れした類いまれなる天性の戦闘破壊殺人能力をデュアン総督に認められ、B級奴隷からS級奴隷に昇格を果たした、この世界でただ一人の男……通称“師匠殺し(マスターキラー)”の天才的戦士ブエルムである。


 ブエルムは美しい顔立ちをした青年で、氷のような微笑をいつも絶やさない。無精ヒゲも伸ばさず、枝毛一本ない長髪も酷い環境の割には手入れが行き届いている。牢獄内でも毎日筋トレを欠かさず格闘家のような肉体を維持し続けていた。

 本人も気に入っているという、あだ名(マスターキラー)の由来は彼の行動原理による。

 反抗期に人生の師匠である父を殺したのが始まりだった。先達の技術・能力を乾いたスポンジのごとく吸収し我が物にした後、次々とオリジナルを亡き者とするのである。

 剣術を習うと、すぐに理解上達し、その総仕上げの確認に師匠を一刀両断にして斬り殺す。

 格闘技を習うと、あっという間にマスターし、師匠を塾生の見ている前で叩きのめし、息の根を止めた。

 銃火器類の扱いを教官から教わると、誰よりも早く使いこなして、決闘を申し込み、容赦なく射殺する。


 そのような生き様で、次々と貪欲に戦闘能力を蓄積してゆく。今までに30人近くの師匠を血祭りに上げた事をブエルムは武勇伝にしているほどだ。

 当然、噂は広まりオーミモリヤマ市立陸戦隊にスカウトされ、戦場においても大戦果を上げたのだが、その情け容赦ない殺しっぷりに味方の陣営からも非難を浴びてしまった。恐怖の対象にもなった彼は最終的に過去の殺人容疑で地下牢に幽閉されてしまうのだ。


 チェーンに繋がれたまま、ブエルムはヒタヒタと裸足で牢獄を出た。


「うーん、久しぶりの檻の外! 何だよ一体……どうしたんだ? 大きな戦でも始まったから俺の力が必要となったのか?」


「まあそんなところだ……馬鹿野郎! 囚人は黙って行動しろ」


 女看守はブエルムを睨みつけたが、彼が周囲に放つ、ただならぬ殺気と不気味に歪んだ笑顔に恐れをなし、思わず立ち尽くしてしまった。歩くたびに音を出すチェーンに首を絞められる自分を想像した看守は、精神のバランスを刹那に崩し、奇声を発して泣き崩れてしまうほどだった。


「退屈で死にそうだ……味方以外は全員殺してビワ湖に沈めてやるぜ……」


 

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