フィロソフィア
第十九章 ケプラー22b総督府
赤茶けた広大な無人地帯を抜け、最外縁ゲートまで辿り着くと、鳶色の羽を振るわせるトビエビ達が、何やらエサを探して乱舞していた。
様々な思いを胸に、我々はオーミモリヤマ市まで戻ってきたのだ。オーミ姉妹社で小さな営業車を借りてここまで運転してきたのだが、すごいポンコツだった。エアコンが全く効かず、窓を全開にしてもまだ暑い。車内は狭くて不快指数がハンパないな。
「スタリオン高機動車に慣れていると辛いな」
後席に寝そべるカクさんは舌を出して体温調節するが、毛皮を着ている分、僕やスケさんより暑さが応えているようだ。
元アニマロイドのスケさんは、リハビリなしで人工的偽身体を意のままに操るという離れ業を披露したが、さすがに体温までは上手にコントロールできそうになかった。
「服を着ているとダメだわ。もう我慢できない。脱いでもいいかしら?」
シートベルトもせずに助手席に座っていたスケさんはTシャツを無理矢理脱ぐと、またもやブラ丸出しになった。グラビアアイドルっぽい、これ見よがしな美乳だな。短パンも脱ごうとするのは、さすがに制止したが。
「こらこら、君は露出狂か。人間の女の子は……ちょうど女子高生ぐらいの年代は、恥ずかしがって胸を出したりしないもんだぜ」
「そりゃ知っているけど、私はちっとも恥ずかしくなんかないわ。何ならセミヌードになって、見たい人に好きなだけ見せてあげてもいいぐらいよ」
「そんなサービスは、しなくてもよろしい」
オーミモリヤマ市の見覚えのある第一ゲートをくぐった。アディーがいないので、手続きが非常に面倒になったものだ。ゲート守備隊の人達が彼女の知り合いだったから、まだましな方だったが。
ついに戻ってきたぞ、ちょっと懐かしいオーミモリヤマ市へ。
始まりはこの街から、終わるのもこの街から。
助手席の見慣れないブラ丸出しネコミミ美少女の事を守備隊のお姉さん達が、いぶかしげにジロジロ見ていたのが何だか照れ臭かった。何だか色々と勘違いされていないだろうか……。




