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異世界ハーレム飛行~アマゾネスの星ってアリですか?~  作者: 印朱 凜
第14章 サバクオニヤドカリ
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ガルムナ

 にわかに天気が荒れてきた。空は灰色の雲がたちこめ、遠くで雷が鳴る音も響いてくる。砂漠に雨が降る前兆なのか。


 スケさんはサバクオニヤドカリの目玉をくわえたまま、10メートル近くの高さから落下した。おそらく無事では済まないだろう。カクさんがドアから飛び出して、すぐに相棒の救出に向かった。


「スケさーん! くそ! お前の仇は取ってやるぜ」

 

 超高速で大気圏内を滑るように飛行する無人戦闘攻撃機……電神ヴィマナとリンクした僕は瞬時に照準を合わせると、ウエポン・ベイから空対地ミサイルを放った。

 いくら重装甲の外骨格をもつ主と呼ばれる巨大ヤドカリも、誘導ミサイルの前には無力だった。


 虚空から複雑な弧を描きながら……ミサイルは、光の矢となりサバクオニヤドカリに吸い込まれるように突き刺さる。仲間への被害を最小限にするため、起爆を抑えたのだ。

 それでもサバクオニヤドカリの巨体を構成する膨大な要素は、ミサイルの運動エネルギーによって大部分をこそぎ取られ、同時に逃げ場を失った内部の圧力により鈍い爆発を引き起こした。

 巨大サバクオニヤドカリは橋脚のような数本の脚を残して粉微塵。スタリオンの屋根に外骨格の欠片がガンガンと落下してきた。


 まだまだ怒りが収まらない! 電神ヴィマナは荒ぶる天空の破壊神と化した。

 他のサバクオニヤドカリどもにも手当たりしだい、電神ヴィマナの大口径電磁砲をお見舞いする。プラズマの刃が虚空を切り裂いては消えるようだ。眩しい曳光弾が次々と、らせん状の殻に着弾すると破片が周囲に飛び散った。


 自身の強固な殻を蜂の巣にされたサバクオニヤドカリは、なぜか急に弱気になって次々とオアシスの巣穴に向かって逃げ出していった。水面が津波のようになって岸を洗う。ワカメのような長いセロファン状の水草が、大量に打ち上げられた。


「すごい、あれは何という飛行機なの?」

 

 マリオットちゃんが、若干おびえながらに言う。


「…………」


 ブリュッケちゃんは、まばたきもコメントもできない。


「さすがは地球製の最新メカですね」

 

 アディーも、その大きな目を丸くしてビデオ撮影を開始した。


 ケプラー22bではデュアン総督が専用に使う航空機が数機残っているだけだ。その貴重な機体も燃料節約のため、ろくに整備もせずモスボール保存に違いない。彼女達は飛行機など乗った経験もないだろう。


「オカダ君があれをコントロールしているの? 一体あなた何者なの?」


 運転席のシュレムが、こちらに顔を向けて尋ねてきた。ナノテク・コンタクトを装用した僕の両眼を、興味深そうに覗きこむ。


「なに、ちょいと昔……軍隊にいたのさ」


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