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異世界ハーレム飛行~アマゾネスの星ってアリですか?~  作者: 印朱 凜
第14章 サバクオニヤドカリ
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ファエドラ

 シュレムが走行するスタリオンのドアを開けてRPG-7対戦車榴弾発射筒を投下してくれた。


「オカダ君、ロケット弾は二発よ!」


 マラカスのようなPG-7M HEAT弾の予備を砂の上に転がした。


 最初のサバクオニヤドカリは獲物を奪われた上、僕に撃たれた腹いせなのか、結構しつこく追ってくる。さすがに巨体を持て余しぎみで、陸の上では鈍重だが、子供が走るより若干遅いぐらいのスピードだ。

 僕は6kg以上のずっしりとした重さがあるRPG-7を全力で走ってようやく確保し、偶然その場にあった窪みの中に身を潜めた。そしてフロントとリアのサイトを持ち上げて、弾頭先端の安全キャップを外した後、安全ピンも抜いたのだ。


「対戦車用の成形炸薬弾を生体のカルキノスに使うと、どうなるのやら……」


 僕は暴れ牛のようなサバクオニヤドカリに、一撃を加えるため狙いを付けた。

 ハンマーを押し下げてセイフティーを押しこむ。

 目標が大きいので外しようがない……巨大な爪の間の頭部を狙ってトリガーを引いた。


 瞬間凄まじい爆風(バックブラスト)が盛大に砂塵を巻き上げると、ロケット弾は閃光となり、吸い込まれるように100メートル先のカルキノスへと突き進んだ。


 命中……サバクオニヤドカリの大木のような前脚のハサミが、衝撃で砕け散った。

 我が物顔の進攻がピタリとやんで、悶絶するように触角を揺り動かしたのだ。


「スゲエ! 直撃でも致命傷に至らないとは……正に化物だ」


 スタリオンで走行中のシュレム達は手を振りながら、しきりにオアシスの方を指さす。


「そうか、次は奴らの住処である殻を狙って撃てという事かな?」


 偶然なのか、カルキノス辞典を持ったブリュッケちゃんが、大きく丸を描いている。


「よっしゃ! 二発目の花火も行ったるで」


 すばやく弾頭を組み立てて、すっぽりRPG-7に装着した。今度は距離がある。

 出直した方が良かったかも、だが今こそは試練の時でもあるのだ。


「イチかバチか! 発射!」


 砂煙で視界が曇天のように暗くなった。


 若干弧を描き、ロケット弾はサバクオニヤドカリの殻に命中する。薄い殻はコナゴナに砕け散り、生物が持つ天然の芸術的センスを魅せる螺旋状の構造物をぺしゃんこにした。がらがらと重力の作用するがままに崩れ去ったのだろう。

 帰る家をなくした帰宅難民のサバクオニヤドカリの慌てっぷりと言ったら……コミカルで筆舌に尽くし難いほど面白かった。



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