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異世界ハーレム飛行~アマゾネスの星ってアリですか?~  作者: 印朱 凜
第2章 ファースト・コンタクト
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イレーネ

 心臓が、まるで片栗粉を混ぜた血液を拍出しているかのように重苦しい……これが本物の重力か。

 この感覚は、しばらく味わった事もなく、なぜか涙が自然に溢れてきた。自分にはホームシックという感覚概念が存在しないと高を括っていたはず。……思わず汗ばんだ拳を握りしめる。


 シャトルはケプラー22bの大気を捉えて、天空を滑るように輝きながら、幾つもの雲を抜けた。

 大陸中央の広大なビワ湖を目指し着水予定地の確認をしようとした時、上空からギョッとする大きさの不気味な生物らしき影が海面上に複数見えた。

 原子力潜水艦サイズの100mは超えるウナギだかナマズだか区別の付かない滑らかな生物が、群れとなって水面近くを我が物顔で泳いでいるのだ。海は密度で黒く染まり、まるで重油の塊が漂流しているかのようだ。


「何じゃ! あの巨大生物は! 見てみろよ、ほらほら」


 僕が思わず目を丸くして驚きの声を上げると


「さあ、データにはありませんね」

 

 とスケさんの冷静な声。

 そいつは長い体なのに体をくねらせず、大中小のヒレをリズミカルに交互に動かしていた。ぞっとする……本当にぞわぞわする。ヌメヌメと黒光りしており最高に気持ち悪い。


「この高重力下でなぜ、あんなに図体がでかくなるんだ」


「きっと……毎日いいモノでも食っているのさ」

 

 カクさんの冗談は笑えない。人間でも10人ぐらいは吸い込んでエサにできそうな大きさで、本能的に恐怖心を煽る。スケさんによるとチューブ状のあの生物は、前の口から海水ごと微小生物を取りいれて、そのあと体内でエサだけ濾し取り、尻から海水だけ排出するのに適している構造だと。地球生物でいうヒゲクジラやジンベエザメの食事と同じようなものらしいが……。伝説のシーサーペントはケプラー22bにいたのか!


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