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異世界ハーレム飛行~アマゾネスの星ってアリですか?~  作者: 印朱 凜
第11章 ダンジョンは廃墟にあり
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トロサ

 白壁ストリートを高機動車で疾駆して付近の様子を伺うと、街は風化しつつあった。人がいなくなってから、まだ数年のはずなのに妙な透明の植物に覆われ、侵食され、コンクリート製の建造物や住居類は崩されて自然に飲み込まれつつある。道路も瓦礫だらけでアスファルトは所々穴だらけとなり、まともに走行するのもままならない。

 オーミモリヤマ市は、人がいないだけの綺麗な廃墟風で不気味だったが、こういう廃墟らしい廃墟は、遺跡をさまよっているみたいで、わびしい気分になってくる。車内に人が大勢いる事に救いを感じた。


『遺体でも転がっていそうだな……』


 もう少しで口にしそうになったが、アマゾネス達を不安にさせないように、すんでの所で言葉を飲み込んだ。


「わははは! ミイラかガイコツでも飛び出してきそうだな」


 カクさんがマリオットちゃんをおどかした。


「やだ~! 夜は絶対に来たくないわ」


 カクさん……お前はアホか。

 マリオットちゃんはカクさんを選ばず、隣に座っていたブリュッケちゃんに抱きついた。


「うわ。マリオット姉さん!?」


 また彼女の顔は、真っ赤になるのだった。

 動く物は何もない……と言うべき場面だったが、明らかに動く物があった。

 ヒグマぐらいの大きさの中型装甲殻類(カルキノス)が集団で移動中だ。一匹や二匹だけじゃない。一ダースほどの横ばいの群れがあった。


「ケプラーシオマネキだ!」


 ブリュッケちゃんが、ひらめいたように叫んだ。ビワ湖は淡水なのに潮招きとは、これいカニ? 理由は見た目にあった。 

 左腕のハサミだけが極端にデカく、体長の半分以上あるような立派な物を持っている。あれに挟まれれば、人間の胴体なんてCTやMRI画像のように綺麗な輪切りにされそうだ。ちなみに右腕のハサミはちっちゃくてカワイイ。グリーンのボディから伸びる二つの目はカタツムリのようで、触角みたいに見えた。

 どうも我々が目指す煙の元である火の手に向かって歩いているようだな。


「何かいやな予感がするわ。追いかけてみましょうよ」


 スケさんの言う通りだ。スタリオン高機動車のステアリングを回す。

 白壁ストリートの先にある白壁スクエアには商店街らしき一角が存在していた。そこから黒煙が発生し、視界を妨げているだけでなく、焦げくさい臭いを辺り一面に撒き散らしている。

 傾きかけたアーケードの下には、赤いバイクが一台無傷で転がっていた。モトグッチV35イモラⅡか? マニアックすぎるだろ! ガソリンにでも引火したのか、ありえないほど周囲の方が盛大に燃えている。ひょっとして、装甲殻類(カルキノス)避けに誰かが意図的に火を放ったのかな?

 そして黒煙をもうもうと吐き出す炎の先に、横穴式の洞窟が口を開けているのが分かった。ビルの谷間に溶け込んで、地下鉄の入口のような感じだった。



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