オーストリア
第十一章 ダンジョンは廃墟にあり
清々しい朝となり冒険の続きが始まった。ホテルでぐっすりと眠ったアマゾネス達はリフレッシュできたのかな。
この街で新たに仲間となったブリュッケちゃんを乗せて、スタリオン高機動車は北を目指す。
「また、お立ち寄りください。オカダ査察官!」
ゲート守備隊は大勢で見送ってくれた。婦人警官がズラリと並び敬礼する、その姿は正に壮観。皆揃って美人だし……。
デュアン総督がいない分、自由でノビノビとした印象の街だったな。将来は、この街で暮らしてみようか……誰かと一緒に。
「次の目的地は北限の街、オーミナガハマ市となりそうだ」
僕の発表にブリュッケちゃんが続けた。
「街中にある白壁スクエアに、父が装甲殻類狩りの拠点として使っていた“怪妖洞”と呼ばれる洞窟が存在します。ここに行きましょう」
更にアディーが補足説明。
「オーミナガハマ市は現在、廃墟となっております。カルキノスの襲来があまりにも激しくて、住民は南部の都市、オーミマイバラ市に疎開移住となりました」
スケさんも続ける。
「サバクオニヤドカリが生息する北の砂漠地帯からは最短の街です」
助手席のシュレムが口を開いた。
「ここから飛ばせば、半日といった所かしら」
再びアディーがのたまう。
「この街のゲートの場合、解放されたままの状態なので、基本的に出入りは自由なんですよ」
「ただし!」
僕が重要なコメントを付け加える。
「……廃墟の中は不法滞在者や、ゴロツキなどの溜まり場になっているそうだ。細心の注意を払うように! ちなみに無人街ゆえにKR線の列車も現在、街に入ってきていない」
カクさんは最後を締めくくった。
「いつまでも、ぐずぐずしてられないや。とにかく行ってみよう」
スタリオンは舗装されていない湖岸道路を北に向かってひた走る。左手にずっとビワ湖を捉えていたが、いつしかゴーストタウンとなったオーミナガハマ市が視界に入ってきた。
テトラポットに守られたバリケード部分は所々、湖からのカルキノスの襲来によって崩され、穴だらけになっている。
本来のゲートの所まで来ると、予想通り無人で誰も守備する者もなく、オーミヒコネ市のような出迎えも当然なかった。




