テューラ
「アディー、オーミヒコネ市ってどんな所なんだ?」
「コロニー都市のオーミヒコネ市は、街の真ん中に城がある城塞都市です。かつて装甲殻類が我が物顔で地上を闊歩していた時代、開拓移民が城を作って対抗していた名残です」
「ここから近いのか?」
「車で2時間ってところでしょうか」
僕は運転しながら婦警さんから情報を集めたが、サバクオニヤドカリがいる湖北地帯から、さほど離れていない事を確認した。ちなみにオーミモリヤマ市とも鉄道のKR線で繋がっているらしい。
「オーミヒコネ市には有名な装甲殻類ハンターの“ヒコヤン”がいますよ」
「何! サバクオニヤドカリを倒すのに力を貸してくれそうじゃないか」
アディーは少し困った顔をした。
「ヒコヤンは、もはや伝説のような存在の人物で、実際に会えるかどうかも分かりませんよ」
助手席のシュレムはシートをリクライニングさせて気楽に言った。
「私は、街でお風呂に入ることができたら何だっていいわ」
マリオットちゃんも同調する。
「オーミヒコネ市は修学旅行以来だわ。久しぶりに行ってみたいな」
「おいおい……観光気分だけど、あくまで我々の旅の目的はサバクオニヤドカリの目玉をゲットする事なんだぜ」
僕が困惑しているとスケさんが答えた。
「オカダ君、装甲殻類ハンターの話は悪くないじゃない。サバクオニヤドカリの倒し方をアドバイスしてもらったり、場合によっては強力な助っ人になる可能性もあるわ」
カクさんもオーミヒコネ市行きに賛成だ。
「そうだな……腕を見込んで雇ってもいいし、仲間になってもらおうぜ」
そうか、急がば回れって言うしな。
「え~……オーミヒコネ市行きが決定しました。ホテルか、いい宿、もしくは温泉でもあれば、今日お風呂に入れるかもしれませんね!」
『やったー! 街だ、お風呂だ!』
能天気な拍手と歓声が上がった。
ところでヒコヤンってどんな人なんだろう? 男か女か、いずれにせよアマゾネスの惑星で伝説になっているって事は強い奴に違いないな。女に負けない屈強なヘラクレスのような姿を想像した。




