表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ハーレム飛行~アマゾネスの星ってアリですか?~  作者: 印朱 凜
第8章 眠れない夜
106/580

クリメネ

「分厚い靴と、靴下のおかげで大したことなさそうよ。臭い足だね、足に触れた冷凍食品は、あなたが全部食べてね」

 

 シュレムは赤くなった足の甲に軟膏を塗ると、足の臭いで食欲をなくしたみたいな事を口にした。


「あんまりだ。……ひ、ひどすぎる」

 

 僕は、ハンカチを口の端に咥えて破れんばかりに歯と手で垂直に綱引きをした。


「……ま、まあエビフライができたから食べてみて」

 

 アディーが困り顔で、自分が揚げたフライの皿を持ってくる。僕はキャンプ用の机の上に乗せられた料理に、唖然として目が釘付けになった。クッキングシートが広げられたプラスチック製の大皿の上には、黒焦げになった悲惨な物体が山盛りになっているのだ。


「あの~、何ですか? これは……」

 

 震える指でアディーに問いただす。


「何って、ケプラー名物のエビフライよ! タルタルソースで召し上がれ」

 

 エプロン姿のアディーは笑顔で料理を僕に勧めてくる。だが、やはりどう見ても大量の炭にしか見えない。


「これって、ひょっとすると失敗して焦がしてしまったんじゃ……」

 

 僕が言い終わる前にシュレムとマリオットが口を挟んだ。


「特にオーミモリヤマ市では、エビを黒く焦がすまで揚げてからいただくのよ」


 姉妹はニコニコしながら、エビフライを僕の口の中にフォークで次々と押し込んでくる。途端に炭素系の苦い味が口中に広がるのを感じた。インスタントコーヒーの粉と鉛筆の芯をミックスした物を歯でバリバリと噛み潰しているような気分だ。

 刹那に嘔吐中枢が刺激され、口中に充満した黒く油っぽい物体を両手にぶちまけたくなったが、目の前には笑顔で様子を伺う三人の娘達の顔が並んでいた。

 ここで無様に粗相をすると、彼女達に対して失礼になるかもしれない。いや、地球人は根性なしとアマゾネス達を失望させるはずだ。僕は極めて涼しい顔で黒色流動体を嚥下すると、水筒の水をがぶ飲みした。そしてまだ皿の上に残っているエビフライ炭に手を伸ばす。

 アディーは何だか嬉しそう。……ヴぉえ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ