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異世界ハーレム飛行~アマゾネスの星ってアリですか?~  作者: 印朱 凜
第8章 眠れない夜
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ミリアム

  第八章 眠れない夜


 湖岸近くは装甲殻類(カルキノス)が出没するので、かなり内陸寄りにキャンプ地を選ぼう。運河の都オーミハチマン市に寄ってもよかったのだが、最短ルートから迂回して大幅に離れる事になりそうだから今回は見送ったのだ。

 アズチと呼ばれる昔、開拓移民が築いた城塞跡地がキャンプするには最適だ、とアディーからアドバイスされた。現在は無人の丘陵地帯となっているが、テントを張るには申し分ない。

 泥まみれとなったスタリオン高機動車を見晴らしのいい地点に停車させた。

 

 黄昏時のきれいな大気に包まれた上空にはソドム、ゴモラと大小二個の月が出て大地を淡く照らす。思わずカメラを取り出してシャッターを切る。それから車両横に自動展開テントを張って、キャンプ地を設営し始めたのだ。


 乗員はやれやれといった感じで、誰もが少々ふらついていた。乗り物酔いしない者ばかりで助かったな。荷物をてきぱきと降ろしながらシュレムが言う。


「マリオットは調理師を目指して勉強中なの」


 ただの食いしん坊かと思っていたが、そんな夢があったのか。


「ほら、オイラが言った通り……鹿命館中学校の料理研究部なんだぜ」


 さすがはカクさん、情報通だ。

 シュレムは白衣のままだったが、マリオットちゃんは自前で調理服と白い三角巾とエプロンを持ってきていた。調理器具を色々使いこなし、なかなか様になっている。食材を切る包丁捌きもスピーディーで手際がいい。あっという間にフライパンでカニチャーハンを人数分作った。


「またカニかよ~ 何でもいいから肉はないのか」

 

 僕にとって甲殻類は、あらゆる意味で食傷気味だ。肉の缶詰やレトルトパッケージは使わなかったのか。


「エビチリもあるでしょ、マリオットちゃん」


 カクさんに勝るとも劣らない自慢の嗅覚を披露して、スケさんが彼女の作る料理を言い当てた。


「私達が用意した物に、好き嫌いは言わないの!」


 シュレムはまるで母親のような台詞を僕に言ったが、料理は苦手らしい。さては中学生の妹に食事を任せっきりにしているな。……それにしてもマリオットちゃんが一生懸命作ってくれているのに失礼な事を言ってしまったな。あまり気にしていないようだが。

 ケプラー22bでは牛でも豚でも羊でも鶏でも、肉は地球より高級食材らしい。この惑星での酪農や畜産は大規模とは言い難く、デュアン総督の直轄だと教えられた。


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