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非日常への入口
自分が乗ろうとしている電車の最後尾の車両の出入口に並んでいる身長高め(170後半って高めだよね?)で、黒髪かつ黒のメガネをかけ、周りの春特有のテンションでわちゃわちゃやってる学生とは異なり、1人でぼーっとスマホを見ている細身の男子大学生がいた。
ええっ!ちょっと待て待て待て。
おちつきなはれ、自分よ。
なに、あの超好みにどんぴしゃの人!
急いでその人が並んでいる列に並ぶ。
そしておもむろに実習の教科書やらお弁当やらの詰め込んであるカバンからスマホを取り出し、仲の良い友人へLINEを飛ばす。
[おいおいおい!聞けよ!
目の前に好みのイケメンがっ!]
…既読つかず。
待つこと52秒
[…は?]
…冷たい。でもいつもこの子はこんな返事しかくれないってわかってるし。
[いつもいってんじゃん!黒髪でー、黒のメガネはめてて、色白でー、世の中を冷めた目で見ていそうで身長高めな!私の好み!]
あ、上のやつよりも条件多かったわ。テへっ
[ほぅ、ついに見つけたか。好みの男を。
でどうよ?恋に落ちたか?]