No.2 VSオーガ
どうも鬼無里です。
結構短くなってしまいました最近書いてなかったバトルをふんだんに書き込んでいます。
読みづらい駄文ですがどうぞよろしくお願いします。
最初に目を引かれるのはその巨体。
三メートルは超えている見上げるような高さ。
続いてその体格。筋骨隆々。鋼のような肉体という言葉があるが成程、こういった人外の生物にはお似合いの言葉だなと思った。
岩のようなごつごつとしたその体には所々に傷がありまるで歴戦の猛者のようだ。
実際に魔物どもを何体も狩っている猛者なのだろう。
体毛は極端に少なく、肌の色は濁った灰色。
鬼種独特の二本の角が頭から生えており、顔はいかつく、目は鋭く、そして牙がある。
ナイフを腕に刺していても平然としている姿はその化物の凄さを堂々とあらわしている。
【岩鬼】〈オーガ〉
鬼種の中~上位の魔物。
ランクは大方B~S。
鬼種の基本的な特徴は、力が強く、タフでスタミナがあり、好戦的で誇り高い。
その為、鬼種はゴブリンのような小柄なものを除いてソロで現れることが多い。
オーガはその典型的な種族。
少なくとも【ラドン森林】の中でエンカウントする魔物としては最上位に位置するだろう。
放っておけば小さな村が消えるレベル。
その鋼の如き強靭な肉体は生半可な刃物では弾き返されてしまうほど堅く、ナイフ程度では刺さったところで大したダメージにはならない。
俺が投げたナイフも恐らく皮を二・三枚貫通したところで止まっているだろう。
血が滴り落ちる様子はない。
先ほどのゴブリンとは比べ物にならない。
オーガは色によってその強さのランクが変わるらしい。
今回現れた灰色はB。よくてAといったところだろう。
ちなみに俺はC+。……格上に容赦はしない。
俺のことを完全に敵と認識したのか、オーガの目には溢れんばかりの殺気が宿る。
俺も静かに構えをとり、目の前の猛者を迎え撃つことにした。
オオオオオオ!!!!!
雄たけびを挙げながらオーガが襲い掛かってくる。
その表情はまさに鬼そのもので、元の世界で見た映画の化物なんかよりもとてもリアルで殺気に満ちていた。
しかし、俺はそんな殺気にも臆することなど微塵もなく向かってくるオーガに向けて跳び込でいく。
オーガは武器らしきものを一つも持っておらず素手で戦うようだ。
そして俺も実は相棒メンテナンスのために預けてしまっている。
ある意味でハンデは同じ。
しかし、ただの人間とは違いオーガには化物の力がある。その巨体から放たれる拳はリーチも長く、人間とは比較にもならないほどの馬鹿力が込められている。
当たれば即KO。あの世逝き。
だけど俺はスピード落とすことなく駆けていく。
オーガは右腕を俺に向かって振り下ろす。
風を切る音が聞こえるほどに速く振られた丸太のように太い腕が俺を襲う。
成程、この速度なら大抵の生物は避けることはおろか反応することもできずに潰されるだろう。
――が、俺を捉えるにはまだまだ速度が足りない。
オーガからは俺が消えたように見えただろう。
ゴブリンと戦った時に行った回避と同じく、体勢を低く、そしてその低くした体勢のままオーガの振り下ろしてきた右腕の下を地を這うようにしてすり抜ける。
振り下ろした右腕の下はそのまま死角となる。
しかも、右腕が目前にまで迫った瞬間に体勢を低くして一気にスピードを上げて近寄っていった。
人間もそうだが上下の動きに対しては弱い。
緩急をつければ尚更。
さらにオーガのその巨体が死角を作り出し、俺を捉えることを邪魔している。
――『足無し幽鬼の歩術』――
その三つの条件が重なってオーガは俺のことを一瞬見失う。
ほんの一瞬、――しかしその一瞬で十分。
背後をとれる。
俺は腰の裏に隠し持っていた刃渡り二十㎝をゆうに超えるナイフを二本、ホルダーから外して取り出すと、
オーガの首筋に突き刺し――思いっきり掻っ切った。
オーガの表情は背後をとっているこちらからは見えない。
首を全体的に切られている。
断末魔は上がらない。
首を刎ねるまでには至らなかったが、人間より少し黒い鮮血がその巨体から噴水のように溢れだした。
俺はナイフを引き抜いてその鮮血を躱し、静かに息を吐いた。
「……ふう。」
ズシン。と、巨大な死体が倒れる音が森に響いた。