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第三話

突然ですが、本当に突然ですが問題です。

今ここにムカつくイケメンがいます。

あなたならどうしますか?


1.手加減してぶん殴る

2.普通にぶん殴る

3.本気でぶん殴る

4.何も考えずとりあえずぶん殴る

5.死ぬまでぶん殴る


はい、タイムアップで〜す。

答えは出揃いましたか?

え? 正解はどうやって決めるのかって?

それは検証実験に決まってるじゃないですか。

ちょうど今俺の前にムカつくイケメンがいますから。

それじゃ正解発表!

正解は4番の何も考えずーー


「ああっ! ダイチまたこんなところで! 本当にすみませんレオンさん…」


ダイチをとりあえず殴ろうとしていたところで、人混みからマナ達がやってきた。

俺に殴られかけていたダイチはそんなことは露知らず、焼きトウモロコシを頬張っていてマナの声に振り向いた。

ちっ、殴り損ねたか…。

ダイチが振り向くと同時にさっと手を後ろにやった俺はダイチと同様に後ろを振り向き『とんでもないです』と手を横に振る。

勿論、ダイチやらかしましたよ、の意味で。


「ダイチもどれだけレオンさんに迷惑かけたら気が済むのよ!」

「いいじゃんかー。俺が仲がいいからマナがレオンと仲良く出来るんだろ?」

「ななな、何言ってんのよ⁉ それじゃ丸で私がレオンさんと仲良くなりみたいじゃない‼」

「え? そうだろ?」

「ダ、ダイチのバカっ‼」


顔を真っ赤にしてバチンとダイチの頬を叩くマナ。

くそっ。ツンデレか。

ダイチが好きだからツンデレかっ。

そりゃ怒るよな。

好きでもない男と仲良くしたがってるなんて好きな男に言われたんだし。

でも、そんなに俺と仲良くなるの、嫌?


「リクト、俺もう帰って死んでもいいですよね……? 生きる意味、ないですよね…?」

「早まらないでくださいレオンさん。生きる意味ありますから。充分に。多分レオンさん勘違いしてますって」


今の会話のどこに誤解する余地があるというんだ。

トウモロコシを頬張っているところにビンタされえずいているダイチの背中を摩り、軽く心配しながらも羨ましく思う。

いいなぁ〜。

イケメンっていいなぁ〜。

ダイチは兵士の間や街の皆からも歩くフラグメーカーと呼ばれ、その渾名(あだな)は名高い。

歩くだけでフラグ立てちゃうんだぜ?

惚れちゃうんだせ?

まぁ羨ましいだけで本当にダイチにはなりたくないけど。

だってうるさいから。


「ダイチが女の子の気持ちを考えない発言をするからですよ」

「お、俺がいつそんなことを……」

「寧ろレオンさんの方が考えてない発言してますけどね」


リオ、どこが考えていない発言なのか教えてくれ。

いや、教えてください。

そして写真、撮っただろうな?

後でカメラ回収するからな。

そんな密談ことを真っ赤になっているマナの前でするわけにもいかないので視線を送るが、リオは『?』を頭に浮かべている。

頼むからそこは察してくれよ…。

残念なことにその視線に気づき、そしてリオと俺の裏取引(とはいえ一方的なものだが)を知っていたらしいリクトがクスクスと笑っていた。

なぜお前が気づく……。

その後未だえずいているダイチをこれ以上問題を起こさないよう、この場から離そうという結論に至った。


「ええっ!? まだホットドッグが食いたいのに‼」

「我儘言わないでよダイチ。元はといえば値切りなんてしようとしたダイチが悪いんだからさ」

「ううっ…。ホットドッグ…」

「分かりましたよ。ホットドッグですね? 買ってきます」

「あ、私行きますからいいですよ」


どうせ買わないと駄々をこねるだろうと思い、近くのホットドッグ店を探そうとしたのだが、すぐにマナが名乗り出た。

そうだよね、好きな男の子に買ってきたいよね。

ダイチはムカつくがマナの気持ちを尊重する為に見えたホットドッグ店を教える。

タッタッタッと軽快に店へと走っていくマナは正に可憐な少女だ。


「はぁ…。あれでダイチが好きなんですもんね…。勿体無い…」

「それ、レオンにそのままお返しするさ」


ダイチがリクトのような冷静さと大人な行動を取ることができればお似合いだというのに…。

ここはマナのためにダイチを教育……だめか。

女の子ってそのままでいてほしいって言うんだよね。

もう死ねよダイチ。

なんて、訳の分からないことを言っているダイチを見ているとマナが走って戻ってきた。

その手にあるのはホットドッグが5つ。

どうやらダイチの分だけではないらしい。


「折角なんで皆の分も買ってきました」

「サンキューマナ!」


マナの親切を軽い礼だけで済ませ、ホットドッグを取る不届き者ダイチはそれにすぐさまかぶりついた。

なんて野郎だ。

そんなことしてたらマナが怒るぞ。

けれど予想に反してダイチに怒りを露わにしなかったマナはリオ、リクトと順に渡し、最後に俺にホットドッグを差し出した。


「レオンさんもどうぞっ」

「わざわざありがとうございます。ではありがたく」


最大限の笑顔を向けて受け取ると、マナは嬉しそうに自分のホットドッグにも手をつける。

騒がしい市場。

基本市場は露店のようなもので、露店を出している商人達の売り込みの声が主だ。

こんな日が来るとは、魔王が支配していた時代には考えられなかった。

ほんのり効いたマスタードがアクセントになっているホットドッグを食べながら、謳歌している平和を改めて眺める。

やはりこれもダイチ達が頑張ってくれたからだ。


「レウョン、ふぁふぁくふゅこうふぃこうふぇ!」

「レオン、早く向こう行こうぜ、だそうです」

「翻訳ありがとうリオ」


ほんと、ホットドッグ頬張ってしゃべってなければ様になってるのにな。








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