↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

蜃気楼

作者: 真田昌樹
掲載日:2026/10/25

蜃気楼

 アァ蜃気楼の様に、私に現れるこの奇妙な心持は何であろう?私に去来する、この異様な思いは何であろう?

 私は特殊な人間である。私は彼を愛している。それだけではない。彼に惹かれるのはその彼が漂わせる特殊な匂いなのだ。だから私は彼の性格や彼の顔などに全く興味はないのだ。ただ彼が漂わせる妙香が、私を酔わせるのだ。彼は私に何とも感情を抱いていない。ましてや恋愛感情の類なんで、一生抱くことはないだろう。なぜなら同性だし、彼にはそんな同性愛者の素質はないのだから。私には同性愛の気はない。なぜ私が彼を好いているか、それはただ再三繰り返しているように彼が匂わせる妙な匂いなのである。私は彼のその匂いに恋したのだ。つまり、彼に恋しているのではないのかもしれない。ここまで述べ連ねると、私が全く変な人間に見えるかもしれない。だがそうなのだろうか?私はただ香水を愛して付ける女のように、私はただ彼の匂いが好きなだけであり、別にそれは普通と定義することはできないのだろうか?私は変なのだろうか?いつも私の中にいて、彼に逢うと靄靄と浮かび上がるこの蜃気楼のようなこの感情は一体何にあたるのだろう?恋愛感情と定義して良いものなのであろうか?それともそれ以下の何かなのか、それ以上の何かなのだろうか?私には理解できない。それを他人に話して理解してもらおうとは全く思わない。どうせ気味悪がられるか、少し頭がおかしい人と思われるのであろう。そうなるのは私は少し嫌であった。

 また彼の匂いが漂う。彼の匂いを嗅ぐ度に私に蜃気楼のようにやってくる、この妙な思いとそれに関する考えは一体何のためにあるのだろう?その問いの答えを掴もうとして私はその心の核心に触れようとするが、その思いは蜃気楼のように実体がなく、まるで掴めやしないのだ…

〈了〉

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。