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最終章:王、歓喜のあまり失禁する




「終わった……?」


「勝ったのか……?」


 


 勇者軍団の誰かが呟く。


 先ほどまでの狂気の遊園地は、

 王の圧倒的な力によって完全に沈黙した。


 

 異形の怪物と化したカリオは消え去り、

 地下遊園地を覆っていた異質な気配も、すでに消滅している。



 

 王は、グングニルを軽く回しながら、

 静かに一つ息を吐いた。



 

「ふむ……くだらぬ茶番じゃった。」



 

 その言葉とともに、地下遊園地に静寂が訪れる。




 その時だった。


 誰かが、小さく呟いた。



 

「王様……かっこいい……」



 

 その声に、勇者軍団の面々が次々と同調し始める。



 

「王様、マジでかっこよかった!!!」


「王様、助けてくれてありがとう!!!」


「いや、マジで強すぎるでしょ!!!」


「これぞ英雄……いや、これぞ真の王!!! 俺たちの王様だ!!!」



 

 興奮冷めやらぬ勇者軍団が、

 口々に王を称賛し始める。


 その言葉は、どこまでも純粋な賞賛だった。



 

「ほぉぉぉぉ……?」



 

 王は、初めて感じる感覚に、目を細める。


 身体の内側から、じわじわと込み上げてくるものがある。



 

 これは――




 ――これは、まさに「真理」に到達した瞬間だった。



 

「これは……たまらんのぉ……!!!」



 

 王の琥珀色の瞳が、恍惚とした輝きを放つ。


 まるで天啓を受けたように、

 彼は天を仰ぎ、両腕を広げる。



 

「ワシはわかった!!! ついにわかったのじゃ!!!!」


「えっ?」


「えっ……?」


 


 勇者軍団の誰もが、一瞬にして不安を覚える。


 まるで「何かとんでもないこと」が起こると、

 本能的に悟ってしまったかのように。



 

「キャバクラの賞賛も、確かに悪くはない……!!!」


「だが!! あれは決して、心からの賞賛ではない!!!」


「本当にワシが求めていたものは――」

 

「こういうことだったのじゃ!!!!」


「ふおおおおおおおおおお!!!!」


 


 王は全身を震わせ、全細胞で歓喜を受け止める。


 それはまさに、王の生涯における最高の瞬間。


 彼は今、完全なる「自己肯定」に至った。



 


 ――そして、事態は起こる。



 

〈ジョワアァァァァァァ……〉



 

「えっ?」


「ちょっ……!!?」


「……えっ、まさか王様……???」



 


 王の足元に、静かに広がる「水溜まり」。


 それは――確かに「そういうもの」であった。




 

「う、嘘だろ……?」


「いやいや、まさか……!?」


「落ち着いて考えろ、ここまで強くて、あの王様が……!!」



 

 勇者軍団は、全員が現実を受け止めきれずにいた。


 しかし――


 王は、堂々とした態度のまま、拳を突き上げた。



 

「ワシは!!! ついに!!! 求めていたものを得たのじゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!」



 

 王はまるで神の啓示を受けた者のように、堂々と両腕を広げる。


 

 その白銀の髪がゆるやかになびき、

 琥珀の瞳は黄金色に輝き、

 今にも天へと昇らんばかりの表情を浮かべていた。



 

「心からの称賛!!!!」


「魂のこもった賛辞!!!!」


「これじゃ!!! これこそが!!! ワシの存在を肯定する究極の悦び!!!!!」




 彼は全身で、この瞬間を味わっていた。


 胸を張り、誇り高く、これ以上ないほどに気持ちよさそうに。


 

 

「いやいやいやいや!!!!!!」


「なんで失禁してんの!!!!?」


「王様、あんた今どんな気持ちなの!!?」




 勇者軍団は完全に混乱していた。


 なぜこの男は、あろうことか「賞賛されることで、失禁した」のか。


 これは理解不能な領域だった。



 

「ワシは悟ったのじゃ!!!!! 人は何のために生きるのか――」


「ワシはこの瞬間のために生きてきたのじゃぁぁぁぁぁ!!!!」



 

 その言葉とともに――




 ――第二陣、発動



 

〈ジョワアァァァァァァ……〉



 

「ふおおおおおお!!!!!」



 

 王の足元、再び濡れる。



 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


「二回目ぇぇぇぇぇぇ!!!!???」


「やめてくれ!!! もうやめてくれえええええ!!!!」


「くそっ、王様の何がそうさせたんだよ!!!」


「いや、もう俺たち帰っていい!? 異世界帰還させて!!!???」




 

 王は、全身で「究極の満足感」を噛み締めながら、

 ゆっくりと口を開いた。



 

「ふぉーっほっほっほっほ!!!!!」



 

 その堂々たる笑い声は、

 地下遊園地の広大な空間に、いつまでも響き渡るのだった――。



 

「……もう、ツッコむ気力もねぇ……」


「異世界召喚、間違えたな……」


「俺たち……これからどうなるんだ……?」



 

 勇者軍団は、もはやすべてを諦め、

 遠い目をするしかなかった。




 

 ――異世界は今日も平和である。





 

後書き:王様からのお達し




ふぉーっほっほっほ!!!




最後まで読んでくれて、感謝するぞ!!!


この物語、楽しんでもらえたかの?

ワシは大満足じゃ!!!


異世界召喚された勇者軍団のはずが、

気づけばワシが最強で、ワシが主役で、ワシが全てを解決する展開に――




「……まぁ、当然の流れじゃな!!!」




異世界の命運はワシが握っておる!!

そして、お主らの手には――


この小説のホームの後書きの下に評価ボタンがある!!

さぁ、星5評価を押すのじゃ!!!


この物語が気に入ったなら、

ぜひ星5つの評価ボタンをポチッと押してくれ!!



「押さない理由などあるまい?」


「いやいや、こんなバカな話に星5はちょっと……」とか思ったそこのお主!!



ワシがどれほど活躍したか、よーく思い出すのじゃ!!




「ワシの戦いを讃えよ!!!」


(ボタンを押す音)


「そうそう、それで良いのじゃ!!!」


他の作品もチェックするのじゃ!!


ちなみに、この作者は他にも小説を投稿しておる!!

ぜひ、そちらもチェックしてくれ!!


今連載中の 『異世界帰りのハーレム王』 は、

「毎日投稿」 しておるぞ!!!





 では、また次の物語で会おう!!


「ふぉーっほっほっほっほ!!!!!」


【完】


 

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― 新着の感想 ―
お、おじいちゃーん?! まさかのウレションとは……わんこっぽくってちょっとほっこりしました。(謎感性) 直前までドチャクソかっこよかったのに! ごめんなさい笑ってしまいました。 たとえ急いでいても、や…
ふははははは! いやいやいや、どうなの?コレwww 登場人物より先にツッコみながら読ませていただきました。 いやあ、いいなあ、王様無双! コレはたぶん、周りの人に感情移入したら負けですよね。 王様に…
全話読ませていただきました。 勧善懲悪な話ながら王様のチートっぷりがヤバく、破茶滅茶な展開ながらクスッとさせていただきました。 また別の作品も読ませていただきます。
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