ep13-2 仲間探しは遊びじゃないのよ!?
「ふわぁ、いい天気ですねぇ」
キョーコが伸びをしながらそう呟くのにあたしは同意する。確かに今日は雲一つない快晴で心地のいい日差しが降り注いでいた。
「それにしてもなかなか面白いことを考えるクリね。三人目の暗黒魔女探しクリか。確かにいいアイデアかもクリ」
「そうそう上手くいくとも思えないけど、キョーコに諭されやりもせずに無理なんて決めつけるのはよくないって気づかされたし……。とにかく、まずは探してみないとね」
「ふむふむクリ。やっぱりキョーコの存在は色んな意味でプラスになってるクリね、これからも仲良くするクリよ」
クリッターの言葉にあたしはキョーコへと視線を送る。彼女は顎に指を当てて何事か考えているようだが、唐突に「あっ」と声を上げた。
あたしたちが首を傾げると、キョーコは誰に言うともなくこんな言葉を呟く。
「考えてみればぁ、仲間が増えれば楽になりすまけどぉ、もしもその子がキョーコみたいにセンパイに恋しちゃったらぁ、ライバルがまた増えちゃうんですよねぇ」
また馬鹿なことを言いだしたよこいつは。
「あのねぇ、仮に三人目の暗黒魔女が見つかったとしてよ。その子があんたと同じそっち系で、なおかつあたしに惚れる可能性なんて、ほとんど0でしょ。あんたみたいなのがそうそう何人もいるわけないじゃない」
「それはそうですけどぉ、もしキョーコと同じで女の子が好きってタイプだったらぁ、絶対にセンパイに恋するはずですぅ」
「それはあたしを買ってくれてると捉えていいのかしら? だけど、あたしはそんな他人を惹きつけるような魅力には溢れてないわよ。じゃなかったらぼっちになんてなってないし」
キョーコと、親友の美幸を除けば、あたしは同性からは死ぬほど嫌われている。
異性……というかスケベな男連中からはスタイルのおかげか、それなりに評判はいいんだけど、肉体的魅力に騙されないタイプの男からもあまり好かれてはいないのだ。
「見る目がないんですよぉ、センパイのクラスの人たちはぁ、でも暗黒魔女になれるような子だったらぁ、とーぜん普通の人より見る目はあるでしょうしぃ、センパイの魅力に気づくはずですぅ」
はぁ、もうなんか疲れてきた。
「どっちにしろ、見つからないことには始まらないわ。とにかく、探しましょ」
「あ~ん、待ってくださいよぅ」
面倒臭さに耐えかねて歩き出すあたしをキョーコが追いかけてくるのだった。
「じゃあまずはどこに行きますかぁ? お洋服屋さんとかですかぁ?」
あたしの横を歩くキョーコの言葉にあたしは思わずガクッと右肩を下げる。
だってそうでしょう。悪の組織に入る暗黒魔女候補を見つけるのにお洋服屋さんなんて……。
「そんなところにいるわけないでしょ! 暗黒魔女よ? もっとこうダークな感じの、いかにも悪そうな場所にいるはずでしょ」
「あ~ん、残念ですぅ。せっかくセンパイとお買い物デートできると思ったのにぃ……」
あたしの言葉にキョーコは残念そうに唇を尖らせるが……。
「あんたねぇ! それが真の目的だったわけ!? 仲間探しとか調子の良い事言ってあたしをデートに誘うための口実だったわけ!? だったらあたし帰るからね!」
「違いますよぉ! どーせだったら、デートも楽しみたいと思っただけですぅ、もちろん第一目的はぁ仲間探しなのでぇ、それは信じてくださぁい」
「ふん、どーだか……」
あたしはそっぽを向くが……。キョーコの奴め、そんなあたしの腕にしがみ付いて来やがった。
「ちょっと! なんでくっついてくるのよ!」
「だってぇ、センパイぃ、怒ったらすぐ帰っちゃいそうなんですもん。だからぁ、こうして引き留めてるんですぅ」
「はぁ……全く……」
あたしはため息を吐くとキョーコの手を振りほどく。
「あ~ん、センパイぃ~」
「くっつくなら余計に帰りたくなるわよ? もし万が一にでもクラスメイトに遭遇でもしたら、あんたはよくても、あたしにとっては大問題だからね」
「ぶ~、わかりましたぁ、もうっ人の目なんて気にしなければいいのにぃ」
「あたしは羞恥心捨てる気はないの」
「梨乃、キョーコ、キミたちって、放っておくと際限なく話を脱線させて行くクリね。まだ探し始めてもいないのにすでに30分も時間を消費してるクリよ」
「あ、ごめん……」
クリッターに言われてあたしは思わず口籠る。キョーコもばつが悪そうに頭を掻いた。
「ゴホン! とにかくキョーコ! こっからは真面目モードで行くわよ! 場所はあたしが考えるから大人しくついてきなさい!」
気を取り直すべくあたしは一つ咳払いをしてからそう宣言する。
そして、キョーコへと視線を向けるが……。
「あ、あの……キョーコ……さん?」
「か、か、か、カッコいいですぅ♡ センパァイ、キョーコはどこまでもセンパイについて行きますぅ♡」
ダメだこりゃ……。
もう相手にすんのは疲れた……。
黙って歩き出すあたしに、キョーコは「待ってくださいよぉ」とついて来るのだった……。
最初からこうすればよかった、相手にするから調子に乗るのよ。
「ここクリかぁ。確かに、ダークな雰囲気は漂ってるクリね~」
周囲を見回しながら、クリッターがそんな感想を述べる。
あたしが二人を伴いやってきたのは、町はずれにある神社である、廃神社とかではなく普通に使われてる神社のはずなのだが、何故か異様に重苦しい雰囲気を発散しており、肝試しスポットとしてもこの地域じゃ有名だ。
「うふふ、センパイと肝試しデートっていうのも、いいですねぇ」
キョーコがなんか言ってるけどもう無視だ無視、相手にしてたらキリがない。
「ともかく周囲を歩き回って、それっぽい子を探すわよ」
「あ~ん、センパイぃ。キョーコもぉ一緒に探しますぅ」
そう言ってあたしの腕に抱き着いてくるがあたしはそれを振りほどく。
「あんたねぇ、せっかくの人数を活かそうという気はまったくないわけ? あんたはあっちをお願い。あたしはこっちを当たるから」
「む、むむぅ……仕方ありませんねぇ、センパイの頼みですから聞いてあげますぅ」
「じゃあ、僕は社殿の周辺でも探すクリよ」
「見つかったらスマホに連絡、1時間経っても見つからない場合は、ここに戻って今日のところは終わりにするわよ」
「わっかりましたぁ!」
キョーコが元気よく応え敬礼のポーズを取る。クリッターは「了解クリ」と頷くと、社殿の方へと歩いて行った。
そして、あたしたちとキョーコもそれぞれ歩き出すのだった。
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