ep11-10 浄化宣言!? こんな終わりはいやだって!
「フ、フキョウワオーンちゃんがぁ……センパァイ、これってかなーりヤバイんじゃないですかぁ……?」
ヴァーンズィンが引きつった顔でそんなことを言ってくるけど、あたしは答えられなかった。
そんなあたしに対してブリスはステッキを突きつけながら言う。
「オプファー、もう終わりだよ! オドモンスターと同じようにあなたも浄化してあげる」
「じょ、浄化する!? このあたしを……!?」
「そうよ、あなたの中の暗黒魔力を消し去り普通の女の子に戻すの、もう二度と悪さが出来ないようにね!」
「ぐっ……!」
ブリスの言葉にあたしは思わず後ずさる。
あたしの暗黒魔力を消すですって……!? そんなことをされたら、あたしは浦城梨乃としての姿を大勢の前にさらすことになる。
そうなれば、あたしは世間からバッシングされ、家族も含めみんなあたしを白い目で見るようになる。
美幸だって、もうあたしとは口を利いてくれなくなるだろう。
今までのぼっち生活が天国だったと思えるような地獄の日々が待っているのは目に見えている。
「や、やめて……」
あたしは懇願するようにブリスに言うけど彼女は首を横に振った。
「それは出来ないよオプファー! あなたは危険すぎる!」
「正体を世間に晒すのはちょっと残酷かもだけど、あんたが今までやってきたことの償いだと思って、受け入れるんだね」
ブリスに続けてカレッジもそんなことを言う。
「い、嫌よ! そんなの絶対に嫌!」
「させませんよぉ!」
ブリスたちを阻止すべく、ヴァーンズィンがあたしの前に躍り出るが、そんな彼女の鼻先に突きつけられるカレッジのステッキ。
「ヴァーンズィン、もちろんあんたも浄化されるんだ。二人仲良く浄化されるなら本望だろ?」
カレッジが静かにそう呟くと、ヴァーンズィンは悔し気に唇を嚙む。
抵抗しようにもあたしもヴァーンズィンもさっきの呪歌に魔力を注ぎ込み過ぎたせいで、もうほとんど魔力は残っていない。
「くぅぅっ!」
……いや、魔力は無くても、あたしやヴァーンズィンにはコスチューム由来のパワーがある! 逃げることくらいなら!
そう一瞬で判断し、飛び退こうとするあたしだったが……。
「マジカルロープ!」
ブリスが生み出した光の荒縄でヴァーンズインとまとめて縛り上げられてしまった。
「な、何よこれぇ……!」
あたしは必死に暴れて縄を解こうとするが、それはまるで鋼鉄で出来ているかのように頑丈だった。
「ああんっ、でも縄が身体に食い込む感触が……♡ それにセンパイと密着してて……なんだかドキドキしちゃいますぅ♡」
アホかこの変態娘は! よくこんな状況でふざけた発言が出来るわね!
そのブレなさには感心すらしてしまうけどさ!
「そんなこと言っとる場合かーーーー!! このままじゃ、あたしたちは身の破滅なのよおおおお!!」
「ああん♡ センパイぃ、あんまり激しく暴れたら、縄が食い込んじゃいますぅ♡ でもぉ……センパイの愛なら、どんな痛みも快感ですよぉ♡」
「ああもう! ヴァーンズィン!」
あたしは思わず叫ぶがふと、引きつりまくったかつ呆れ果てた顔であたしとヴァーンズィンを見つめるブリスとカレッジの視線に気付く。
「あんたら、緊張感がなさすぎでしょ……。まあいいわ、ブリス、ちゃっちゃっとやっちゃって」
「う、うん。それじゃ行くよ……。オプファー覚悟してね! 大丈夫、痛くはないよ、多分……」
「ひ、ひぃっ……!」
あたしは恐怖に顔を引きつらせる。多分って何よ、多分って!!
やだあああああ! やめてえええ! 誰か助けてえええええ!! あたしが暴れても、縄が身体に食い込むだけだ。
横では馬鹿があんあんと変な声を上げている。
「センパイぃ、もっと激しくぅ! ああん♡」
ああああ、こんな散り際は嫌だああああ!
「マジカルバニッシュ――」
そして、そんなあたしの心の叫びも空しく、振りかざされたブリスのステッキから浄化の技が放たれようとしたまさにその時、何者かが二階席からあたしとブリスの間に飛び降りてきた!
「全く情けねぇなぁ、あんなくだらねぇ歌に屈して浄化され掛かっちまうなんてよぉ、やっぱまだまだ未熟なガキだなぁ!」
「エ、エンさん!」
その人物の顔を見てあたしは思わず声を上げる。
「あ、あなたは……!」
「その驚き方、てめぇ俺の存在すっかり忘れてやがったな!?」
ブリスが上げた声にエンさんは怒りの表情を見せるが……ごめんなさい、あたしもすっかり忘れてました、エンさんがいるのを……。
だってぇ、色々あったし完全に見物決め込んでたから……。
「なるほど、オプファーたちが負けたら自分の出番とか言ってたね、つまり今度の相手はあなたってこと!?」
新たな敵対者の登場にカレッジがさっとファイティングポーズをとろうとするが、エンさんはそんな彼女を鼻で笑う。
「そうしようかとも思ったんだが、考えて見りゃあ俺たち四天王は総帥の許可もなく勝手に戦うことが出来ねぇってことを思い出してな。んなわけで、俺はこのままこいつらと共にこの場から退場させてもらうぜ」
エンさんの言葉にあたしの心の中に希望が広がる。
助かる! これで助かる!!
「せっかくオプファーたちを浄化できるチャンスなのに、逃がすわけないでしょ!」
「ははは、イキるなイキるな。どうせてめぇらじゃこの俺には勝てねぇよ」
「そんなのやって見なくちゃわからないじゃない!」
「言うじゃねぇか、だがある意味正論だな、勝負はふたを開けてみなきゃわからねぇ、その考え嫌いじゃないぜ? だから俺はこの場ではてめぇらとは戦わねぇ、万が一にでも怪我したら大損だしな」
そういうとエンさんは縛られたままのあたしとヴァーンズィンの肩を掴むと、大きな声で中空に向かって呼びかける。
「クリッター! てめぇ少しは仕事しやがれ! 俺たちをアジトへと転移させろ!」
するとどこからともなく、ずっと姿を消していたクリッターが姿を現す。
「やれやれ、妖精使いが荒いクリね~」
「戦闘に参加しない分、それくらいは働いてもらわねぇとな」
「はいはいクリ。それじゃ行くクリよ~」
クリッターがぶつぶつと口の中で何かを呟くと、あたしたちの足元に魔法陣が浮かび上がる。
「あ、ま、待ちなさい!」
「逃がす……かっ!」
ブリスが手を伸ばし、カレッジが魔力弾を放つ!
「わわっ……」
思わず声を上げたあたしの鼻先にそれが触れたまさにその瞬間、あたしたちの姿はその場から消え去っていた。
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