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魔法少女クリミナル  作者: 影野龍太郎
episode11【届けこの歌、あの子の心に!!】

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ep11-7 怨念渦巻くホールの中で……

「出たわね!」


「マジカルパワーで幸せ守る! 魔法少女マジカルブリス!!」


「マジカルパワーで勇気を灯す! 魔法少女マジカルカレッジ!」


 あたしの呼びかけに呼応するようにポーズと共に放たれた二人の名乗り口上がホール内に木霊する。


「相変わらずキラキラと輝いちゃってるじゃないの、魔法少女ども……! 悪いけど、今日のあたしはさいっこうに機嫌が悪いのよ。手加減なんて一切しないから覚悟しなさい!」


 あたしはダークスティックを二人に向かって構える。


「機嫌が悪いって……オプファー、まさかあなた、そんな理由でこのライブをめちゃくちゃにする気だったの!?」


「はぁ? そんな理由って、あんた達にとっては『そんな』でもあたしには大事な事なのよ!」


 ブリスの言葉にあたしは思わずカッとなって言い返す。


「何が大事よ! ああもうっ、あなたってば本当に自分勝手なんだから!!」


「ハッ、なんとでもいいなさい! それより、よくこの会場に入ってこれたわね、今は中から出ることも外部から入ることも基本的には出来ないのに」


 厳密に言えば凄まじいパワーで魔力のバリアを破壊すれば侵入することも可能だけど、二人には疲れた様子もないし衝撃音などもしなかった。


「そ、それは……」


 あたしの指摘にブリスが口籠る、それを見て、ヴァーンズィンがははあんと納得したような声を上げた。


「もしかしてぇ、二人もライブに来てたんですかぁ? 最初から会場にいたなら、外から入ってくる必要なんてありませんもんねぇ、そして混乱の中姿を消して変身して戻ってきたんですねぇ」


 なるほど、その線はあるわね。


 あたしやヴァーンズィンことキョーコがそうであるように、ブリスもカレッジも普段は普通の少女として生活しているはずなのだ。


 そしてあの二人は私生活でも親友同士のはず、たまの休日連れ立ってライブに来たところにこの騒動に偶然出くわした、と考えれば辻褄は合う。


「そ、そうだよ! 初めてのライブ体験、凄く楽しくて幸せな気分だったのに、こんなことにしてくれて、わたしの方こそかなーり怒ってるんだから!」


「ふんっ! 知ったことじゃないわ! いいわねあんたら休日に一緒に出掛ける友達がいて、あたしにはそんなのはいない……唯一の友達はあたしのことを忘れて、あたしをのけ者にして楽しそうにしてる……。不公平でしょそんなのは! だからみんなにもあたしが味わった苦しみ、心の痛みの半分、いや三分の一でも味わってもらわないと気が済まないのよ!!」


「そ、そんな……」


 あたしの心の闇を吐露した言葉を受けて、ブリスがたじろぐ。


「まーたお得意の『ぼっちのひがみ』? そんなんだから友達出来ないんじゃないの? あなたの唯一の友達とやらも、そんなあなただから見限ったんでしょ」


 しかしブリスとは対照的に、カレッジはあたしの言葉にも動じた様子はなかった。


「うるさい! あんたなんかに、あたしの気持ちが分かってたまるか!!」


「分かりたくもないね、それに、ただ他人をひがんでぐちぐち言ってるだけならまだしも、その不満を全く無関係のただライブを楽しんでただけの人たちにぶつけるなんて、お門違いもいいところだよ」


「黙りなさい! あたしはアントリューズの暗黒魔女! 世界を混沌に導くためにこの世に誕生したのよ! だから、あたしはあたしのやりたいようにやるの!!」


「はぁ……もういいよ。これ以上話しても無駄みたいだから……」


 カレッジはあたしの言葉に心底呆れた様子で肩をすくめると、ブリスに向かって言う。


「ブリス、行くよ」


「う、うん!」


 そして、あたしたちがぶつかり合うべく動こうとしたまさにその時。


「おいオプファー、それに魔法少女のガキども。盛り上がるのはいいが、俺を無視してんじゃねぇよ!」


「そうですよぉ、センパァイ。ヴァーンズィンちゃんたちだって、ブリスたちとコミュニケーションを取りたいんですよぅ」


 エンさんとヴァーンズィンがあたしとブリスたちの間に割り込んできた。


 ちなみにクリッターはいない。どうやらブリスたちが来た段階でとっとと姿を隠してしまったようだ。あいつがいてもうるさいだけだから、いない分には別に構わないんだけど。


「ヴァーンズィン、そう言えばあんたもいたんだったね。オプファー、何がぼっちよ、あなた仲間いるじゃん。変身前でもそれなりの仲なんでしょ? 一緒にライブでもどこでも行けばぁ?」


「カッレジさぁん、あなたいいこと言いますねぇ。ヴァーンズィンはぁ、そのつもりなんですけどぉ、悲しいことにセンパイはヴァーンズィンの想いには応えてくれないんですよぉ」


「ヴァーンズィンはただの仕事仲間で後輩よ。それ以上でもそれ以下でもないわ」


 先んじて答えられてしまったことに若干イラッとしながらあたしはカレッジへと言い返す。


 確かにヴァーンズィンは仲間だし、彼女の表の姿である真殿響子ともそれなりに仲良くはしているが、彼女との関係は悪の組織内から始まったいわば闇の友好関係、あたしが求めている光に満ち溢れた友情とは程遠い。


「センパイぃ! ヴァーンズィンとは遊びだったんですかぁ!? そんなの酷いですぅ!」


「あんた、そのわざとらしい泣き真似やめなさいよ」


 そんなやり取りをしていると、エンさんがイライラした様子で声を上げた。


「俺を無視すんなっつってんだろうが! お前らと違って俺はこの魔法少女どもとは初顔合わせなんだぜ、挨拶ぐらいさせろや!」


「す、すいません……つい興奮しちゃって……。それじゃ、どうぞ……」


 睨みつけられ少しだけ冷静になったあたしは、一歩後ろに下がるとエンさんに向かって手を向ける。


「おう、ありがとよ」


 エンさんはあたしを押しのける様にしてブリスとカレッジの前に出る、二人は初めて見る男の姿に警戒する様に身構えた。


「あなたは誰? オプファーの仲間……わたしたちの敵なの!?」


「クククッ、俺の素性については察しがついてんじゃねぇのか? すでにボーデン、アクアとは顔を合わせてんだろ?」


 エンさんの返答にブリスの表情が一気に険しくなる。


「それじゃあ、あなたは、アントリューズ四天王の……」


「そう、三人目ってわけだ。おっと順番は違っちまったが、四天王ナンバーワンは俺だぜ? よーく覚えとくことだな」


 エンさんはそう言うとニタリと笑う。その笑みはまさに悪役といった風格を感じさせるものだった。


 そんなエンさんの態度にブリスはキッと睨みつける。


「何がナンバーワンですかぁ、アクアさんが聞いたら怒りますよぉ……。ボーデンさんやヴェントちゃんは気にしないかもですけどぉ」


 ボソッと呟くヴァーンズィンだったが、その言葉はあたしの耳にしか届かなかった。


 確かにねぇ……アクアさんは怒るだろうなぁ。「男とかいうこの世のゴミがこのワタシより上とかありえないわ!」とか言って……。


「オプファーとヴァーンズィンだけでも厄介なのに、四天王まで出てくるなんて……ブリス、これは相当気合を入れてかからないといけない相手だよ!」


「う、うん! そうだね……」


 カレッジの言葉に頷き、ブリスは油断なくあたしたちを見回すが……。


「安心しな、俺はとりあえず手は出さねぇからよ。お前ら魔法少女と戦うのは暗黒魔女の役割ってことになってんだ、まあ万が一にでもオプファーたちが負けたら俺の出番ってことになるんだろうが、そうはならねぇだろうよ」


 エンさんはそう言うと、両手を上げてヒラヒラと振って見せる。


「な、何その余裕……わたしたちが負けるわけないじゃない!」


「ククッ、そうかい? だがオプファーは随分とご立腹みたいだぜ?」


 そんなやり取りをしている間もあたしはイライラを募らせていた、さっさとあの腹立たしい魔法少女たちを蹴散らしてやりたいのに、エンさんがそれを邪魔するから……!


 いや、今後ブリスたちと戦っていくのに当たって自己アピールも大事だとは思うけどね!


「おっと、もうこいつは爆発寸前みたいだな。というわけで、俺はちょっと離れたところで魔法少女と暗黒魔女の激突っつー面白れぇショーを見物させてもらうぜ」


 エンさんはそう言ってニヤリと笑うと、大きくジャンプし、ホールの二階席へと着地した。


「な、何よあの人……」


 エンさんの行動にブリスが呆然と呟く。カレッジも似たような表情だ。


 まあ当然の反応よね……あたしも同じ立場だったら同じようなリアクションしてたと思うし……でも! 今はそんなことどうでもいいのよ!! もう我慢できないわ! あたしは大きく息を吸いこむと改めてブリスたちに向かって叫んだ。


「さあ、ブリス! カレッジ! 始めましょうか、あたしたちのバトルをね!!」


「セェンパイ! いきなり二対一でおっぱじめようとしないでくださいよぉ、カレッジはヴァーンズィンが相手しますから、センパイはブリスをお願いしますぅ」


 ヴァーンズィンの申し出を一瞬はねつけてやろうかと思ったが、ここで変に意地を張っても仕方ない。


 あたしは「わかったわ」とだけ言って、ブリスの方を向き直る。


「ま、元よりあたしの最初の、そして本来のターゲットは魔法少女マジカルブリス、あんただからね。行くわよブリス! あたしの心をかき乱す()()よ!」


「魔女ってそれはあな……きゃあっ!?」


 戸惑いの、そして僅かな怒りを含んだブリスの言葉は途中で悲鳴に変わった。


 ダークスティックから生成された暗黒の鞭が、唸りを上げてブリスに襲い掛かったからだ。


「不意打ちとか……流石悪の女幹部ね!」


 しかし、ブリスは取り出したステッキでなんとか鞭を防いだ。


「ふふ、悪は悪らしくってね……。なった以上徹底的にやるのがあたし流なのよ」


 あたしはそういいながら、鞭を手元に引き戻すと再びブリスに向かって放つ。


 しかし今度はステッキで防ぐのではなく回避されてしまった。そしてそのままあたしから距離を取るとこちらを睨みつける。


 やはり実力的には互角ね……あたしも強くなってるはずなのに、それに合わせるようにブリスは強くなる。


 まさに光と影、合わせ鏡のような存在……。腹立たしい、腹立たしくてたまらないわ……!

お読みいただきありがとうございました。

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