ようこそニューフェイス
賊との一件は私たちが関与する間もなくカタがついていた。
前回、雰囲気たっぷりに幕を引いて下山したつもりだったのだが…我々はまたもや不測の事態に見舞われ、採掘場に逆戻りしていた。
「ダメだテティス、僕の手はもう血に染まってしまった…」
「それでも、兄さんは…!」
バカでっかい狼の兄ちゃんとちっこい子猫ちゃんが劇的なやり取りをしているプレハブ小屋の片隅で、あーい変わらず置いてけぼり食らってまーす。
…なんて、投げやりになるのも仕方ないでしょー。
話の背景が全くわからないまま、下山中すれ違った血まみれの黒狼男と大勢のメンズに呼び止められ、ちょっくら事情を話しただけで「一緒に来てくれ」と、無精髭生やしたおっさんに捕まって、採掘場に連れ戻されたんだから。
私たちはとりあえず彼らの話し合いが終わるまで大人しく待っていて欲しいと告げられ、与えられたパック詰め茹で謎肉とビスケットをつまみながら見守っていた。
「…なんでしょうねこの、チープなミステリ小説を3/4辺りからいきなり読み始めたような感覚。」
「あー、その表現めっちゃしっくりくるわ。」
登場人物のほとんどがツナギタンクトップ姿ってのが、画的にむさ苦し過ぎる。
しかもこんだけ居たら、ちょっと関わりを持っただけのトラスト君がどこに居るのかわかんなくなるね。
「偉そうにテティスに語っておきながら、僕は最低の証明をしてしまった…。社会の法に則り、死を以て断罪される覚悟は出来ているよ」
「覚悟を踏みにじるようで悪ぃが、今回レスが罪に問われる事はねぇ。」
「おやっさん…?」
私たちを連行したおっさんが、意味ありげに身を乗り出した。
「なんかいきなりおっさんがしゃしゃって来た。」
「あの方、グローデン騎士団第三師団師団長、エルヴリード・ラフティスですわ。というかあの獣人さんたち以外、みな騎士団員ですの」
「へー。」
生返事しながら長机に伏してデバイスを弄っていたら、左隣からイスの手が太ももに伸びてきた。
彼女も手持ち無沙汰らしい。特に嫌でもないので気にせず放置しておいた。
「今まで騙してて悪かったな。実は俺ぁ盟友スコットに忠誠を誓った、グローデン騎士団第三師団師団長、エルヴリード・ラフティスってんだ」
ついさっき聞いたわ。
イスの言う通り、他のメンズたちも自分達が騎士であることを明かし、狼男のレス君とテティスちゃんだけが驚いていた。
「お、おやっさんが師団長で、皆さんは騎士団員…?」
「おう。汚ぇ手使って帝国からトンズラこきやがったルイスと部下を誘き寄せて確実に始末するため、わざわざ廃鉱を買い取って鉱山作業員に扮装してたってわけだ」
「ナ、ナンダッテー?(小声)」
「ぶっふwやめてイス、笑っちゃうからw」
サイレントセクハラ以外にやることが無さすぎて、イスは話の邪魔をしない程度にふざけ始めた。
危うく謎肉を噴くところだったわ。
「騎士様たちに命令をしたりして、わたしったらなんて無礼な真似を…」
メンズに囲まれてテティスはすぐさま平伏したが、師団長は彼女の前にどかっと胡座をかいて豪快に笑い飛ばした。
「っははは、今更かしこまるこたぁねぇさ。それより何より元気そうで安心したぜ、テティスちゃん」
テティスは作業員…もとい団員たちから、よっぽど気に入られているようだ。信頼のされ方が最早エグい。
まぁ、テティスってちっこくてふわふわで可愛いし、何故か不思議と惹かれるっていうか…眺めているだけで、肋骨の内側にキュンとした甘酸っぱいが刺激が迸るんだよね。
…あのもふもふしたお腹に顔を埋めて、思いっきり深呼吸してみたいなぁ。
と、邪念が浮かび始めたところで急に我に返った。
「はっ。ダメだ、このままだと私はイスみたいになってしまう。」
「ルビ逆ではありませんこと?」
どのみち意味は同じだが。
「アトラはよくわたくしをロリコンや変態と称しますが、エルフ感覚だと普通のことですのよ?」
「変態妄想やロリ好きなのが普通?」
「ええ。わたくしはドラゴンの血の影響で比較的身長が高いのですが、エルフは成人しても基本アトラくらいのサイズ感ですわよ」
「言われてみれば…エルミナちゃんも、たまにドレステミルを訪れた他のエルフもちっちゃかったっけ」
「それでいて女性のみの種族ですから、同性好きなのもデフォルトなのですわ」
へー、と再びスルーして生返事しそうになったが、よくよく聞いたら今とんでもないこと言わなかった?
「え。エルフって女の子しかいないの?」
「ええ…えっ、知らなかったのですか?」
「ここ数十万年くらいの間に生まれた、不老不死の新種族って事くらいしか知らんかった」
「アトラって、興味の無い事柄にはとんと無頓着なのですわね…」
「永らく不滅と古代の魔術契約解除にしか興味なかったからねぇ」
周期によって変化する世界の支配種族がヒトだった場合、ドレステミルの住人は他種族と混じりたがらない傾向があった。
やかて周期変化が起こらなくなり、数億年経過した辺りから少しずつ外と関わり始めて、容姿がほぼ人間に近い種族の出入りがようやく認められるようになったくらいに閉鎖的な町ゆえ、他種族の情報は門を潜る前に弾かれてたみたい。
「見た目ロリな女の子しか居ない種族ってのもマニアックだね…てか繁殖とかどうしてるんだろ」
「エルフは基本女性ですが、成人すると男性のシンボルを生やす魔法を自覚致しますの。指紋のように、人によって術式は異なりますが、いわゆる両性具有と呼ばれる状態になれますわ」
「…真面目に言ってる?」
「大真面目ですわよ」
前にイスの記憶を覗いた時、そういった事象は見えなかったような…無意識にフィルタリングでもされてたのかな。
「…ちなみにその生やす魔法とやら、後で拝見しても?」
「あら、それは今夜致しましょうという…意味ではなく、単なる知的好奇心みたいですわね」
学者の目になってますわ、と指摘しつつ申し出は快諾してくれた。もちろん描写できるような内容ではないから、本編では語られないと思うがね。
「男性の変死体解剖とかで、生殖器自体は見た事あるんだよ。でも実際に機能してる状態については学術書で読んだくらいの知識しか無くてさ」
「わたくしも数年前に初めて生やした時、性的興奮よりも知的探究心が勝りましたから、お気持ちよくわかりますわ」
「お前さんら、他人が大事な話してるそばでなんちゅう会話してんだよ」
思いのほか下ネタで会話が弾んでいたところへ、第三師団長のエルヴリードとかいう気だるげなおっさんがフラフラやって来た。
レス君達との重要な話し合いとやらが終わったらしい。
「ようイスちゃん、帝国の春の式典以来だな」
「お久しぶりですわねエヴィ。あなた制服よりも、不思議と作業着の方が似合いますわね」
「だろ?俺もこの格好すげぇしっくり来てんのよ」
凄く和やかに盛り上がっとる。山道で出会った時は互いに初顔合わせみたいなリアクションとってた癖に。
…エルヴリードこと、エヴィ君率いるグローデン騎士団第三師団。
裁定と凶悪犯罪者への対処を主な任務とし、卓越した潜伏技術と情報操作で目標人物をポイントに誘き寄せ、抜群のチームワークで的確に処理することから「青鯱」の異名を持つ。
と、さっきデバイスで調べて知った。
騎士団員だって言われても到底信じられないくらい、誰も彼も完璧な土木系作業員なんだよなぁ…恐るべき潜伏技術だ。
「っといけねぇ。積もる話もあるが、まずは礼を言わなくちゃな」
イスと談笑していたエヴィ君が何かを思い出したように天井を見上げて私たちの前に跪き、師団長という立場でありながら、惜しげもなく頭を垂れて見せた。
「これは師団長としての形式めいたモンじゃなく、俺個人の気持ちだ。うちの大切な仲間、テティスを救ってくれて心より感謝する…ありがとう、イスちゃん」
「わたしからも改めて。この度は命を救って下さり、本当にありがとうございました」
「僕からも是非。こうして元気なテティスを再び見られたのは、あなたのおかげです。ありがとう」
エヴィ君とテティス、それから晴れやかだがどこかパッとしない矛盾した様子のレス君もやって来て、イスに感謝を示した。
「いえいえ。わたくしは人として当然の事をしたまでですわ」
この大人数と師団長相手に堂々と嘘をつけるイスの豪胆さよ。
他の団員たちもテティスから事情を聞いたらしく、みな口々にイスの功績を称えていた。
団員のうち唯一真実を知るトラスト君は、私に一切称賛の声が向けられていない事が複雑なのか、いまいち喜びきれていなかったが、私はこの結末に不満はない。
結果として作業員はみな無事、賊はみな壊滅。過程に問題が生じても結局は大団円。
めでたしめでたし、だ。
私は小さく鼻で笑って、ボイルド謎肉を一口で食べきり、席を立った。
「ごちそうさま。そっちはそっちで話もついたようだし、私たちはこの辺でお暇するよ」
「ドライだなぁ嬢ちゃん。まぁ待て待て、もうちょっとだけおっさんの話に付き合ってくれよ」
「え~…しょうがないなぁ」
今日中には下山したかったんだけどなぁ。
私は温もりが残ったままの軋むパイプ椅子に座り直し、長机に両肘をついて手のひらにアゴを乗せた。エヴィ君も私たちの対面に座り、眉根をきゅっとすぼめてこちらを見た。
「…実は二人に折り入って頼みたいことがあるんだ」
「伺いましょう」
こういった対話はイスの方が慣れていそうなので、応対は任せて大人しくしとこ…と思ったけど、多分いらん口挟むだろうなぁ。
「さっき話し合って決めたんだがよ、俺達ぁここに居るレスを、騎士団に迎え入れることにしたんだ」
「そうですのね」
「へぇ。それってスカウト的な?」
「そう、スカウト的な。」
私の砕けた質問に砕けた返答をしてくれるエヴィ君。本当に師団長とは思えない柔軟さだ。
他の人よりも幾分か話しやすそうなので、私ももう少し主張してみた。
「でもさエヴィ君、そっちのレス君は賊を手にかけたのに、罪に問われたりはしないの?」
「いい質問だな嬢ちゃん。俺ぁ師団長権限とは別に、現場で起きた事件の裁定をこの身ひとつで下すことが出来る特権をスコットから与えられてんのよ」
「つまり生殺与奪はエヴィ君次第ってこと?」
「おっと、勘違いしないでくれよ。元々賊は全員死罪確定の重罪人で、相対したら始末する算段をハナから立ててたんだ。あんたらがトラストから何を聞いたかは知らねぇが…レスは騎士団に協力して討伐を手伝ってくれた、ただそれだけのことだ。」
いきなり凄んで師団長らしい威圧感を放つエヴィ君。異論は受け付けない、とでも言いたげだが、私にそんな威しは効かないよ。
私は頬杖をついたまま、こちらを睨むエヴィ君の瞳を睨み返した。
「まぁ司法がそう判断したなら口出しはしないよ。私が聞きたかったのは、レス君がどうやって人をバラバラにしたのか、だよ」
私は再び立ち上がり、長机の下を潜ってレス君の隣に移動すると、彼の左手に触れた。
「手は大きく形状もヒトに近いが、爪は丸く整えられている。この爪で引っ掻いても精々赤く腫れるくらいで、そもそも遺体の傷はどれも一文字。五指を束ねてもああはならない。そして指先まで体毛に覆われていては、ヒト用の剣をまともに扱えそうもない」
「えっ、あの…」
現時点で得られる彼の情報を、怒濤の勢いで記憶していく。
手に触れられただけで照れ、戸惑うレス君の様子からは、やはり殺人を犯すような雰囲気は感じられないね。
事件の真相に辿り着くには、まだ何か決定打が足りない。
「差し支えなければ聞かせて欲しいな。君はどうやって30人以上の賊を、バラバラに引き裂いたんだい?」
「おいおい嬢ちゃん、その辺にしといてやれよ。テティスちゃんも聞いてんだから」
「いえ…実はわたしも話を聞いてから気になっていたんです。兄さんは武術なんて習得していない、人間社会で言うところの一般人ですのに、どうやって…?」
レス君を気遣ったエヴィ君の後方支援も虚しく、こちら側にレス君特効であるテティスという強力なバフがかけられる。
私はさりげなくテティスの隣に移動して、肩を組んだ。
「この際ですからもう、隠し事は無しにしましょう?兄さん」
人並み外れた儚さを醸し出すテティスの説得により、ついにレス君が観念した。
「…そうだね。どのみちもう、他の皆には見られてしまったし」
そう言うと彼は我々と距離を取り、一呼吸置いてから瞼を伏せた。
…すると。
バキンッ!
「ぬ?」
硬質の何かが砕ける音と共に、突如彼の右手の甲を覆うようにして、湾曲した白い鉤爪状の物質が形成された。
刃渡りは70cm前後。先にいくほど薄く鋭くなっており、触れてもいないのに、床に少し刀傷がついていた。
レス君は刃を後方に向けて、我々によく見えるよう右腕を掲げた。
「…あなたは魔濁人って言葉を聞いたことあるかな?」
「ジェミニ…いや、初めて聞いたよ」
レス君の穏和な問いかけの後、私の背後でイスが立ち上がる音が聞こえた。
「ジェミニ。生物学上ヒトに分類される生物と、魔物に分類される生物から産まれた、人と魔の血を併せ持つ生物の学名ですわ」
ヒトと魔物の混血種と聞いて、なぜ彼女が率先して立ち上がったのかをすぐ理解した。
生物学上ヒトであるエルフと、魔物であるドラゴンの血を引く彼女もまた、ジェミニと呼ばれる存在なのだ。
「そう。そして僕は、狼種獣人である母と、魔物の骨鎧狼との間に産まれたジェミニなんだ」
骨鎧狼。私とイスが旅を始めて、最初に対峙した魔物だ。あの個体達は切り刻んで塵に変えてしまったから、ちょっと複雑だなぁ。
「なるほどね。骨鎧狼由来の硬い外殻で生成した刃を君の筋力で振るったなら、そりゃ人間の手足くらい簡単に落とせるわな」
同じ魔物でも知能や性格に個体差があるし、ヒトと
関係を持つ可能性は限りなく低いだけで、完全に無くはないって話だけれども…話を聞いて誰よりも驚いていたのは、彼と関係の深いテティスだった。
「兄さんが、魔物の血を引いた獣人…?」
デバイスで調べた情報によれば、人々が命を落とす最大の要因は、病と並列して「魔物の襲撃」とあった。
親しい者が人類の敵と表現しても過言ではない生物の血を引いていると知って、簡単に受け入れるのは難しいだろう。
「…もしかしてその骨鎧狼というのは、20年前に帝国騎士団が村に攻め入ろうとした際、命懸けで獣人を護ってくださったという、王鋼鎧狼さまですか?」
20年前の騎士団。王政時代の話で、その襲撃に参加したメンバーはこの場には居ないようだが、それでも団員の皆さんは申し訳なさそうに口をつぐんだ。
唯一声を発したのは、思わぬ角度からの返答をされたレス君だった。
「え?」
「こう、頭上に王冠のような突起が揃った、鋼のように黒光りする外殻の…」
身ぶり手振りで必死に様相を伝えんと頑張るテティス。超可愛いんだが。
「確かに、母から聞いた父の特徴と一致するけれど、父はその戦いで命を落とし、遺骸は神子しか入ることが出来ない神殿に祀られたと聞いた。もちろん君が産まれるよりも前の話…なのに、なぜテティスが知っているんだい?」
「わたし、獣人族の神子の一人なので…」
「…え。えっ!?」
おずおずと宣言したテティス。しかし驚いているのはまたもやレス君一人だけだった。
私はいつの間にか隣に立っていたイスに、こっそり聞いてみた。
「ねぇイス、獣人の神子ってなんなの?」
「申し訳ございません、獣人族の文化形態はあまりオープンにされていないので、あまり詳しくはなくて…」
「つ、つまりテティスは王家の血統種…なのかい?」
「はい、一応は…」
知識の足りない我々でもわかりやすい、説明じみた質問と簡素な返答。
「血統種といっても王位継承権はとっくに放棄してますし…あ、家との関係は良好なので、追放とかじゃありませんからね?」
「えーと、つまりどういうこった?」
文化の違いからか、エヴィ君たちの認識とレス君の認識に齟齬が生じているようだ。
「ええと、分かりやすく言うと…テティスは獣人族のお姫様の一人で、王位継承権を保有している限り神殿と王宮から出られない、本来なら庶民とは一線を画した生活を送っている、とても位の高い身分なんだよ」
「お姫様って…ここに居る誰よりも位が高ぇじゃねえか。」
「あくまで獣人のコミュニティでは、ですよ。血統が王家に由来するというだけで、執政に対して何の発言権もありませんし、現在の身分は兄さんと変わりません」
なんてしっかりした受け答えなんだろう。
見た目だけ王族詐欺のイスとは違う、本物の気品オーラを感じるよ。
「でもよ、どうしてわざわざ外の世界に出たんだ?」
「…王宮ではとても豊かな暮らしをさせていただいて、勉学や娯楽も充実してました。ですが…」
テティスは胸に手を当てて、天井を仰いだ。
「日々王宮と神殿を行き来するだけではなく、もっと自由に広い世界を見てまわり、より実践的な生活がしたいと…外の世界への羨望を、どうしても捨てられなかったのです」
…彼女の独白は、痛いほど私の胸に突き刺さった。
多分いま、誰よりも彼女に共感している自信がある。
私は気付けば彼女の手を取り、小さな体を抱き寄せていた。
「わぷっ」
「ねぇテティス、私たちと一緒に行かない?」
「え?」
「一瞬ごとに変化していく世界を見て、感じてさ。一緒に巡って、知らないことを知っていこうよ」
「えっと…それはこちらからお願いするつもりだったんですが、いいんですか?」
「もちろ…ん?こちらから?」
柄にもなくテンションを上げすぎたと、ふと我に返って、一旦冷静になり、テティスから離れた。
すかさずエヴィ君が快活な笑い声を上げた。
「っはっはっは、俺から頼むまでも無かったか。よかったな、テティスちゃん」
「もしかして、あなたの「折り入って頼みたいこと」とおっしゃるのは…」
全てを悟ったイスのしたり顔に、エヴィ君もしたり顔で返した。
「おう。俺達ぁ特別ルートでレスと一緒に帝国へ直帰すっから、イスちゃん達にテティスちゃんの面倒を見て貰いたかったんだよ」
「わたくしは大歓迎ですわ。…ふふ、アトラもですわよね?」
「うん、もちろんだよ。てか私、大事な話の腰を折っちゃってたねぇ…ごめん、テティス」
改めて手を差し出し、握手を求めた。
「い、いえいえ。歓迎して頂けて、とても嬉しいです…」
今度はちゃんと、ふわふわぷにぷにの手で握り返してくれた。ふにゃっととろけた彼女の顔に、私の内に秘めた邪な感情が刺激されまくるわ。
性犯罪者にだけはならんよう、本っ当に気を付けよう。
かくしてたまたま知り合った人々の様々な秘め事が明らかになり、私たちは新たなる仲間を迎え入れ、旅路はより一層賑やかさを増したのであった。
「あー、それにしても驚いたなぁ。レスはジェミニで、テティスちゃんは王族の血を引いてたなんてよ」
「あはは…しばらくこれ以上に驚くことは、そうそう無いだろうね」
「あら、まだひとつ特大のビックリポイントが残ってますわよ」
エヴィ君やレス君が頭に疑問符を浮かべていると、イスは私の両肩に手を置いた。なんか嫌な予感。
「いやいや、もう驚き疲れて驚けねぇって」
「こちらのアトラ、実はかの御高名な伝導師ソダム様なんですの♥」
あー、言っちゃった。
このあと、お決まりの「そんなわけw」→「雷ドカン」→「本物や…」のくだりをやる羽目になりましたとさ。
続く。




