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元・奴隷の聖女様 ~奴隷に堕ちて3年後… 聖女の力に目覚めましたが、染み付いた奴隷根性が抜けません!~  作者: タイガー大賀


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第89話 再浮上したオリビアのレズ疑惑

 セリナの護衛となったシルビアと、側近となったミランダ。

 彼女達にセリナが聞く。


「シルビィにミランダ、貴女(あなた)達は何歳ですの? それと、納得した上で(わたくし)の護衛と側近になられたのかしら?」


 セリナの質問に、シルビアはビシッと敬礼。


「はっ! 私は先日15歳になりました! そして、先程(さきほど)も申しました様に、私が(みずか)らセリナ様の護衛に立候補(いた)しました! (ゆえ)に、納得ではなく希望しての事であります!」


「そ… そうですのね… で、ミランダは…?」


 シルビアと違い、ミランダは淡々(たんたん)と答える。


「私は16歳です。側近となるのに納得するも何もありません。上司からの命令であれば、私自身に命の危険が無い限り拒否する事はありませんので」


 あまりにも()()ない回答に少しばかりムッとしたセリナだったが、(セント)クレア王国に来てからの様々な経験をした事で、感情的になる事は無かった。

 が…


「そ… そうですのね…? で、その〝上司〟とは誰ですの…?」


 (うつむ)いて()()じ、肩を(ふる)わせながら聞く姿にマッカーシー大司教とオリビアはコッソリと話し合う。


聖クレア王国(この国)に来た頃と(くら)べれば、かなり感情を(おさ)えられる様になられたと見受けられますな…?)


(えぇ… しかし、ソフィア様と(くら)べると、まだまだ感情の()(ふく)が激しいと言わざるを得ません… いや、ソフィア様と(くら)べる事自体、間違いなのかも知れませんが…)


 するとセリナは2人をジト目で見つつ…


「聞こえてますわよ…? まぁ、否定はしませんわ? まだまだ(わたくし)自身、自分の感情を制御(せいぎょ)し切れていないと言う自覚はありますもの…」


 と、肩を落とす。


「でも… だからこそ、魔法のコントロールが完璧にならないのだと思ってもいますの! ですので、まずは感情のコントロールを少しでも… って、話が()れてしまいましたわね。えぇと、何を話してましたっけ…?」


「私に『セリナ様の側近になる』事を命じた〝上司〟が誰なのか…? でしたね」


 ミランダが言うと、ハッとするセリナ。


「そ… そうでしたわ! で、その〝上司〟って誰ですの…?」


 ミランダはセリナの様子を見て苦笑し、少し表情を(やわ)らげて話す。


「マクレール公爵様です。実は私、1ヶ月(ほど)マクレール公爵家の侍女として働いていたのですが、公爵様からセリナ様の側近として働く事を命じられました」


 ミランダの言葉に驚いたのはオリビアだった。


「父上が!? それは何故…?」


一言(ひとこと)で申せば、セリナ様が国王陛下だけでなく、貴族様達や大臣様達にも〝自身に護衛を付ける事を直訴されたから〟ですかね? それから何度も〝誰をセリナ様の護衛にするか〟が話し合われたとか… こう言っては何ですが、当時の(・・・)セリナ様の貴族様達や大臣様達からの評判は悪かったと聞き(およ)んでおります。(ゆえ)に、()()()()()ようやく決まったと言いますか…」


 ミランダの発言を受け、シルビアは(うなず)きつつ(あと)()ぐ様に話し始める。


「私はセリナ様が護衛を(ほっ)してると聞き、すぐさま立候補したのですが… 『立候補したからと言って、実力も(わか)らない者を(あん)()に聖女の護衛に任命(にんめい)する事は出来ない』と言われまして… (この)()(へい)の中でも上位の実力を持つ10名との模擬(もぎ)(せん)… 木剣(ぼっけん)での立ち会いですね。それに勝ち残ればセリナ様の護衛として採用すると言われまして…」


 話を聞いたオリビアは、納得した様に(うなず)く。


「なるほど… で、その模擬(もぎ)(せん)を勝ち抜いてシルビアはセリナ様の護衛として認められた。ミランダは… その結果を見据(みす)え、父上が側近として(つか)える事を命じたってトコか?」


 シルビアとミランダはコクリと(うなず)く。

 すると、ここまで黙っていたソフィアが疑問を(くち)にする。


「シルビアさんが実力でセリナさんの護衛になったのは(わか)りますけど、どうしてオーリャさんのお(とー)さんがセリナさんの側近を決めたんでしょう…?」


 首を(かし)げるソフィアに、ミランダ自身が答える。


「それはきっと、私が何事にも動じない性格だからではないでしょうか? 自分で言うのも何ですが、私は『感情の()(ふく)(とぼ)しい』とか… (ひど)い時には『感情が無いのではないか?』と言われておりまして… まぁ、そんな性格だからこそ、逆に『感情の()(ふく)(はげ)しい』と言われるセリナ様の側近として(ちょう)()良い… と、マクレール公爵様が思われたのではないかと…」


 ソフィアは更に首を(かし)げる。


「セリナさんって、そんなに感情的でしたっけ…?」


 その言葉に、セリナを含めた全員が固まった。

 (みずか)ら〝何事にも動じない性格〟だと公言したミランダを(のぞ)いて…


「ソ… ソフィアさん…? (わたくし)が自分で言うのも何ですが… (わたくし)自身、自分が感情的な事は自覚しておりますわよ…? それに、先程(さきほど)も言いましたわよね…? (わたくし)自身、『自分の感情を制御(せいぎょ)し切れていないと言う自覚はある』『だからこそ、魔法のコントロールが完璧にならないのだと思ってる』と…」


 疲れた表情で語るセリナの言葉とは逆に、ミランダは淡々(たんたん)と続ける。


「感情を制御(せいぎょ)し切れていない… と言う自覚はあっても、ソフィア様の様に感情を(おさ)()むには修行が足りませんね… そして、だからこそ魔法のコントロールが完璧にならないのだと思ってるとの事ですが、感情のコントロールと魔法のコントロールは別物なのではありませんか? まぁ、これは私の勝手な想像に過ぎませんので、その(あた)りの話はマッカーシー大司教様とされた方が良いのではないかと…」


 辛辣(しんらつ)と言えば辛辣(しんらつ)

 が、(まと)()ていると言えば(まと)()ているミランダの発言。

 しかも何の感情も無く、淡々(たんたん)と事実と思われる事のみを話すミランダの言葉に、全員が納得するしかないのだった。

 そして、ミランダの言葉を受けたマッカーシー大司教が(うなず)きながら話し始める。


「確かにミランダさんの言う通り、感情のコントロールと魔法のコントロールは別物ですな。感情のコントロールが苦手でも、魔法のコントロールに()けた人物は多く()ります。ただ、セリナ様が(おっしゃ)る様に、感情の細かい(・・・)コントロールと魔法の細かい(・・・)コントロールは似ている部分も無いとは言えません」


「なら、セリナさんの努力は無駄じゃないんですね? セリナさん、感情と魔法のコントロール、これからも頑張りましょう♪」  


 と、ソフィアはセリナに抱き付き(はっ)()を掛けるのだが…


「ソフィア様… 話がややこしくなりますので、ここは一旦(いったん)お下がり下さいませ」


 ミランダに素気無(すげな)くセリナから引き()がされてしまう。

 すると…


「ちょっ… せっかくソフィアさんが(わたくし)をハグしてくれましたのに、何て事をしてくれますの!?」


 と、セリナは激昂(げきこう)

 しかし…


「ミランダ、よくやった♪ 聖女たる者、誰かを簡単にハグするのは問題になりかねないからな。特に、ソフィア様にハグされたい者は多い。私自身、ソフィア様にハグされたい、ソフィア様をハグしたいとの(おも)いを隠すのに、どれだけ苦心しているか…!」


 思わず(ほん)()()らしたオリビアを、全員が()めた()で(ドン引きしながら)見ていたのだった。





【追記】

 結果的に、(みずか)らの言動(げんどう)(みずか)らのレズ疑惑を深めてしまったオリビア。

 必死になって、言動(げんどう)の真意を『ソフィア様を聖女として敬愛するあまりの失言』だと説明しまくったのだが…

 以前からの言動(げんどう)の態度も(あい)まって、結局オリビアのレズ疑惑は解消されなかったのだった。

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