表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元・奴隷の聖女様 ~奴隷に堕ちて3年後… 聖女の力に目覚めましたが、染み付いた奴隷根性が抜けません!~  作者: タイガー大賀


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/92

第81話 アンナとジルの、意地の張り合い?

 ソフィアは毎日()()()()()を勉強し、セリナは魔法の精度を上げる事に()(しん)していた。

 アンナ、シンディ、ナンシーを中心に、ソフィアの世話をするメイド達は勿論、大聖堂に(つと)める司教や司祭、時には国王一家と親族までもがソフィアに言葉の意味を教えているのだった。


 それとは違い、セリナは魔法の精度を上げる為にマッカーシー大司教を初めとして、多くの司祭や司教にも教えを()うていた。

 セリナの父、ガディッツが聞いたら信じられない変化だろう。


 そしてアンナとジルは…


「…と言うワケでして… げ、現在ソフィア様は魔法の訓練を一時中断し、い、一般常識の勉強に取り組んでおられます… し、司祭様や司教様達の協力もあり、勉強は順調に進んでおります…」


「セ、セリナ様は引き続き、今の魔力量を効率的かつ有効に使って… よ、より大きな効果の魔法に(しょう)()させるべく訓練を続けておいでです… げ、現状ですが効果は出ている様で… い、以前に比べて魔法の威力は格段に上がっている様子です…」


「フム… 現状に()いては、それがベストであろうな。それにしてもセリナ様は随分(ずいぶん)と変わられたのぅ… 初めて会った時とは別人の様じゃな♪」


「陛下から聞いていたイメージとは全く異なる人物像ですわね♪ (わたくし)も一度、お会いしたいですわねぇ♪」


 と、最近の2人の様子を逐一(ちくいち)報告する事に忙殺(ぼうさつ)されていた。

 と言うのも、最近のソフィアとセリナの動向(どうこう)を聞いた国王(エドワード)が彼女達の様子を知りたがり、2人に報告役を命じたのである。

 エドワードの妻のタチアナも便(びん)(じょう)し、2人の報告を楽しみにしていた。

 勿論、アンナもジルも報告の(たび)、ガチガチに緊張していた。

 それは仕方が無い。

 アンナもジルも平民であり、普通なら国王や王妃と直接話す事などあり得ないのだから。


「そ、それでは本日の報告を終わらせて頂きます…」


「し、失礼(いた)します…」


 アンナとジルはエドワードとタチアナに一礼し、そそくさと応接室を(あと)にする。

 部屋を出た2人はドアを閉めると…


「「はぁああああああ~… 緊張したぁ~~~~~~…」」


 と、その場にへたり込む。

 しばらく脱力した(あと)、2人はそそくさと王宮から出て行く。

 普通ならジルは王宮の聖女邸に帰り、アンナは大聖堂の聖女邸に帰るのだが…

 報告を終えた(あと)、2人は決まって王都の街中(まちなか)へと出掛ける。

 さすがに仕事の(あい)()なので酒は飲まないが、代わりにスイーツを爆食いしながら愚痴(ぐち)るのが最近の日課になりつつあった。


「なぁ~~~んで私がこんな緊張を()いられなきゃならないのかしらっ!? そりゃ、メイド長って立場だから報告の義務が(しょう)じるってのは(わか)るけど! そんなの… って言っちゃ()(へい)があるかもですけど、報告書に(まと)めて提出するだけでも()いんじゃありませんか!?」


 ジルがアンナに(まく)()てながらもパフェをバクバクと食べまくる。

 そんなジルを見ながらアンナは()め息()じりに言う。


「はぁ………… 貴女(あなた)の言いたい事は(わか)るわ… けどね、書面に(しる)して渡すだけじゃ、私達を含めて(かか)わっている人達の雰囲気までは伝わらないわよね? …まぁ、()()()()で両陛下に雰囲気が伝わったかどうかは微妙だけど… それでもね? 今回の話とは違うかも知れないけど、言葉で伝える事は大切よ? まだ貴女(あなた)は若いから(わか)らない事も多いと思うけどね?」


 同じくパフェを食べながら言うアンナ。


「とは言うものの… 私も28歳だから、貴女(あなた)に『若いから』なんて言える(トシ)でもないんだけどね…」


「いえ… 私、もう25歳なので、そんなに変わらないと言いますか… それに、王宮(ここ)のメイドになって20年になりますから… 見習い期間を含めてですけど」


 アンナは驚き、目を丸くしてジルに聞く。


「今、25歳でメイドになって20年!? じゃ、5歳からメイドをやってるって事!?

なら、私と同じぐらい長いじゃない!?」


「5歳で見習いとして働き初めまして、10歳から正式なメイドになりましたね。ですので、正確には15年ですけど…」


 サラッと言うジルに、アンナが突っ込む。


「あんまり変わんないし! 見習いでもメイドはメイドだし! 見習い期間を含めたら、私よりメイド経験長いんじゃない!?」


 が、ジルはあっさり否定する。


「あ、それは無いかと思いますよ? だって、アンナさんも5歳からメイド見習いとして働いてるんですよね? なら単純に考えて、年齢的にも私より3年長くメイドとして(つと)めている事になります。加えて、アンナさんはバドルス侯爵様の子女の(みな)さんの侍女(けん)護衛だったんですよね? なら、単なるメイドでしかなかった私より、一段上の仕事を(こな)していたと判断しますが?」


 アンナは少し考え首を振る。


「それは違うと思うわよ? だって、侍女や護衛とメイドは全く別の仕事だもの。私はエリック様が生まれてからフィリップ様が5歳になるまでの10年間を護衛として過ごしたんだから、その分をメイドとしての期間から引かなきゃダメでしょ?」


 アンナの意見を『なるほど』と思いつつも、ジルは逆に意見を()べる。


「確かにアンナさんの(おっしゃ)られる様に、純粋なメイドとしての期間なら私の方が長くなります。ですが、侍女や護衛の仕事はメイドの仕事より(はる)かに大変ですよね? エリック様、メアリー様、フィリップ様の護衛を(つと)め上げたアンナさんは、やはり私より(はる)かに(すぐ)れているのではありませんか?」


「ま… まぁ、確かにメイドの仕事は細分(さいぶん)()されてるし、侍女みたいに主人の身の回りの世話をするなんて事も少ないし… それに、護衛みたいに身体(からだ)を張って主人を守ったり、武術を身に付ける必要もないけど… って、やっぱりメイドと侍女や護衛は全く違うんだから、貴女(あなた)の方がメイド経験長いじゃない…」


 アンナはジルの意見に納得しかかったが、やはりジルの方がメイドとして長いのだと結論()けた。

 だが…


「いえ、やはりアンナさんの方が(すぐ)れていると私は思います。確かにメイドとしての経験()()なら、私の方が長いでしょう。ですが、侍女や護衛の様に専門性の高い仕事を(こな)してきたアンナさんには(かな)いませんよ…」


 と、ジルは全く(ゆず)る気は無い様である。

 その後も2人の言い争い(?)は続き、結論が出ないまま解散となった。





 ────────────────





「何を不毛な言い争いしてるんだ、アンナ殿もジル殿も…」


「そうですよ… アンナさんはアンナさん、ジルさんはジルさんで()いじゃないですか…」


「どうでも()いと思うけどね… 結局は主人の役に立ってたかどうかじゃないの?」


 話を聞いたオリビア、シンディ、ナンシーが(あき)れた様に言う。


「いやまぁ、私も少しムキになってしまったと言いますか… 国王陛下や王妃陛下への報告でのストレスと言いますか… 鬱憤(うっぷん)()らしとまでは言いませんが、メイドとしての経験に限ればジルの方が長いのだと自分自身を納得させたかったと言いますか…」


「私も… 少々、意固地(いこじ)になっていたと言いますか、(かた)意地(いじ)を張っていたと言いますか… アンナさんの方がメイドとしての実力が高いのだと、アンナさんに納得して貰いたかったと言いますか…」


 3人から突っ込まれ、アンナとジルは言い訳めいた弁明(べんめい)をする。

 が、そこへソフィアとセリナが会話に加わる。


「ん~… そうは言っても、アンナさんもジルさんも、メイドとしての能力は突出してるんですよねぇ…? だからメイド長を任されてるんでしょうし」


「そうですわね。歯に(きぬ)着せぬ発言をする部分を(のぞ)けばメイドとして充分過ぎる(ほど)に優秀ですし、何より若いメイド達への教育係としては何の問題もありませんものね」


 セリナから歯に(きぬ)着せぬ発言と言われ、ムッとする2人だったが…


「でも、それがアンナさんだと思いますし、ジルさんだと思います。まぁ、セリナさんが言う様に、確かに(くち)(うるさ)いのも確かでしょうけど」


 と、ソフィアに言われ…


「ソフィア様ぁ~?」

「ちょぉ~っと、お話しましょうかぁ~?」


「は… はぃいいい~…」


 ソフィアを引き()る様に奥へと去って行き…

 残されたオリビア達は、(しゃ)(こう)()()(ぐう)の様な表情で見送るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ