↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元・奴隷の聖女様 ~奴隷に堕ちて3年後… 聖女の力に目覚めましたが、染み付いた奴隷根性が抜けません!~  作者: タイガー大賀


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/98

第70話 呆然

 セリナにとって、ほろ苦い聖女デビュー戦が終わり、とりあえず大聖堂の聖女邸へと向かう事にした。

 セリナは自国から直接王宮の聖女邸に入った為、大聖堂も大聖堂の聖女邸も見ていなかった。

 また、ソフィアは自分の所に来てくれたが、自分がソフィアの所に行ってない事を気にしてたのも理由であった。

 性格上、気にしてるとは言わなかったが…

 討伐隊(とうばつたい)はギルド前に戻ったところで解散。

 ソフィア達3人は、大聖堂までの道程(みちのり)をノンビリ歩きながら話し始める。


「セリナさんが大聖堂の聖女邸(私の所)に来てくれるなんて(うれ)しいです♪ ()まってくれるんですか? って言うか、()まってってくれませんか?」


「そう… ですわね… どうしてもと言うなら、()まって差し上げても(よろ)しくてよ…?」


 (うれ)しそうに話すソフィアとは対照的に、セリナは()()()()()()()姿()()(くず)そうとはしなかったが…

 (じゃっ)(かん)ではあるものの目は泳ぎ、(わず)かばかり(ほお)()めていた。

 そんなセリナを見て、オリビアは彼女にソッと耳打ちする。


「セリナ様… ソフィア様は人の(わず)かな表情の変化を敏感(びんかん)()(きわ)め、何を考えてるのか読まれます… 私ですら貴女(あなた)様の表情の変化から、貴女(あなた)様が何を思ってらっしゃるのか何となくは… ですのでソフィア様なら、より(くわ)しく貴女(あなた)様が何を思ってらっしゃるのかは…」


 オリビアの言葉を聞き、セリナは顔色を変える。


「オ… オリビアさん…? それって本当ですの…? だとしたら…」


 言って、チラリとソフィアを見る。

 するとソフィアはニッコリと(ほほ)()みながら…


「セリナさん、大聖堂と大聖堂の聖女邸を見るのが楽しみなんですね? あ、その表情だと、()まるのも楽しみみたいですねぇ♪ ちなみにですが、(やしき)は王宮の聖女邸より少し小さいんですけど、お風呂は広いんですよ? また一緒に(はい)りましょうか? お互いを洗いっこするのも、セリナさんが考えてるみたいに楽しそうですよねぇ♡」


「なっ… なんでそこまで考えが読めるんですのっ!?」


 考えを読まれたセリナは顔を赤らめ、更に声を(うわ)()らせる。


「なんでって…」

「ソフィア様は観察眼(かんさつがん)(するど)いんです。私は無表情と言って良い程に表情の変化に(とぼ)しかったのですが… しょっちゅうソフィア様に(わず)かな表情の変化を読まれ、何を考えてるのか言い当てられました。以来、徐々(じょじょ)にですが無表情で居る事が減りましたね…」


 ()()ソフィアが余計な事──自身が元・奴隷であった事──を言いそうになる前に、オリビアが話に割って入る。


(わず)かな変化って… どの程度ですの…?」


 (いぶか)しげに聞くセリナに、オリビアは嘆息(たんそく)しながら答える。


「はぁ… 信じられないかも知れませんが、(まゆ)が1(ミリ)()ったとか上下したとか、口角(こうかく)が1(ミリ)上下したとかで読まれるんですよ… それも、至近距離ならまだしも、数(メートル)以上離れてる状態で、です…」


(するど)いなんてモンじゃありませんわよ…」


 驚きを通り越し、(あき)れるセリナだった。





 ────────────────





 大聖堂の聖女邸に着くと、大勢の執事やメイドが一行を出迎える。


「ソフィア様、オリビア様、お帰りなさいませ。セリナ様、ようこそ大聖堂へお越し下さいました。あと1時間程で夕食の()(たく)調(ととの)います。それまで応接室でお茶でも飲みながら歓談(かんだん)でも(いか)()ですかな?」


 先に大聖堂へと戻っていたマッカーシー大司教が、にこやかに話しながら聖女邸から出てくる。

 大司教に(うなが)されるままソフィア、セリナ、オリビアは応接室へと入ると…

 そこで待っていた国王(エドワード)王妃(タチアナ)が立ち上がり、(うやうや)しく礼をする。


「この(たび)はお疲れ様でしたな、ソフィア様、セリナ様。それにオリビアも。特にセリナ様は初めての魔獣相手の戦闘と言う事で、さぞかし疲れた事でしょう。ささ、甘い菓子でも()まんで疲れを(いや)して下され」


「疲れを取って(いただ)こうと、お茶も甘めにしてありますわ♪ ソフィア様、セリナ様♪ どうぞ、お座りになって下さいまし♪」


 にこやかに話し掛けるエドワードとタチアナに、オリビアは(じゃっ)(かん)引き気味で苦笑する。


「陛下に王妃様… お2人が魔獣を退治した事で喜ばしいのは理解しますが… 少し()()()()()()なのではありませんか…?」


 オリビアが言うと、国王(エドワード)相好(そうごう)(くず)しながら答える。


「それはそうじゃろう。お(ぬし)懸命(けんめい)に戦っておっただろうから知らんじゃろうが、今回倒した魔獣は500体を超えておったそうじゃぞ? はしゃいでも不思議はあるまい♪」


「そうですよ? それだけの魔獣を1人の犠牲者も出さずに退治出来たんですから、(うれ)しくて(うれ)しくて♪」


 オリビアは犠牲者が1人も出なかった事は知っていたが、さすがに魔獣が500体を超えていた事は知らなかったので驚いた。

 セリナも驚き、オリビアに言う。


「そ… そんなに居たんですのね…? あ、でもオリビアさん…? ダルマス辺境伯領には、その内の3割程が流れたんですのよね? ソフィアさん、()()()()()()()()()()()()()って魔法で10匹程度まで減らしたって言ってましたわよ…? オマケに私達が(たい)()していた魔獣も、半分はソフィアさんが倒してましたわよ? と言う事は…」


 セリナの言葉を聞き、オリビアは(あわ)てて計算する。

 そして…


「全体の半分以上の魔獣をソフィア様1人で倒した事になります… 知性の無い魔獣が相手とは言え、500以上の魔獣の半分以上とは…」


 と、(きょう)(がく)の表情を浮かべる。

 それはセリナも同じだった。

 だが…


「オリビア様、計算が大雑(おおざっ)()過ぎます。ソフィア様が倒された魔獣の数… 全体を500として、ダルマス辺境伯領に流れた全て… と言って良いでしょうが、それは全体の3割なので150ぐらいでしょう。そして残り7割の半数を倒したと言う事は、単純計算で6割5分… およそ350もの魔獣を倒した計算になります」


 アンナが冷静に計算して訂正する。

 実際にはもう少し少なくなるのだが…

 と言うのも、セリナや討伐隊(とうばつたい)活躍(かつやく)で、ある程度は魔獣の数は減っていたのだから。

 それでも全体の半数はソフィアが倒したと言っても()(ごん)ではなかったので、そこはスルーしたのだった。


「はぁ… ソフィアさんの魔法… 威力と言うか(なん)と言うか… 何度も言いましたけど、規格外なんですのよ… (わたくし)の知らない魔法も多いみたいですし、知ってる魔法でも…」


 威力が違い過ぎる…

 そう言いたかったのだが、言う事が(くや)しいと思って言わなかった。

 勿論、国王(エドワード)王妃(タチアナ)は何となく(さっ)していたし、オリビアですらセリナの表情から彼女が何を思っているのかを理解していた。

 だが…


「セリナさん、そんなに気にしないで下さい。私、自覚が無いんで自分の魔法の実力、どの程度なのか(わか)らないんですよねぇ… だから、セリナさんが私の事を規格外って思うのも、まるで(わか)らないんです。なので、何も気にする事は無いと思います… って、何を言ってるんでしょうね、私…」


 ソフィアは話しながらも、自分が何を言ってるのか理解していなかった。

 単に頭の中に浮かんだ事を(しゃべ)っているのだから無理もない。

 が、セリナには何かが伝わった様で、それまでとは目の色が変わっていたのだった。

 置いてきぼりになった(かたち)のオリビア、アンナ…

 そして国王(エドワード)王妃(タチアナ)は、互いに顔を見合せて呆然(ぼうぜん)としていたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。