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元・奴隷の聖女様 ~奴隷に堕ちて3年後… 聖女の力に目覚めましたが、染み付いた奴隷根性が抜けません!~  作者: タイガー大賀


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第63話 打ちのめされるセリナ

「さて、まずはセリナ様から実力を見せて貰えますかな?」


「はぁっ!? 何故、(わたくし)からなんですの?」


 国王(エドワード)が言うと、不満そうにセリナが返す。

 だが、国王(エドワード)は気にする()()りも無く、言葉を続ける。


「実を言うと、ここに居る貴族達や大臣達は、私も含めてソフィア様の魔法の実力を見ておりますのでな。なので、まずはセリナ様の実力を見せて頂きたいと思っておるのですよ」


 国王(エドワード)の話を聞き、貴族達や大臣達はウンウンと(うなず)く。

 その一方(いっぽう)で、オリビアとソフィア──のフリをしたナンシー──はニヤニヤ笑いながらセリナを見ていた。

 その様子にカチンと来るセリナ。


「分かりましたわ! ならば(わたくし)の実力、(とく)()(らん)あそばせ!」


 言って大岩に向き直り…


火球(ファイヤー・ボール)!」


 ()(えい)(しょう)で魔法を(はな)つ。


 バゴォオオオオオオオンッ!


 火球(ファイヤー・ボール)が直撃した大岩は(くだ)け、ガラガラと音を立てて(くず)れる。

 セリナはソフィア(ナンシー)の方を振り向き、ドヤり顔で言う。


「さぁ、次は貴女(あなた)の番ですわよ? (わたくし)みたいに、大岩を(くだ)けますかしら?」


 すると、ソフィア(ナンシー)は少し(うつむ)き…


「ふ… ふふっ… あははははははっ♪」


 (ふく)み笑いから、やがて大きく笑い出した。


「な… 何が可笑(おか)しいんですのっ!?」


 セリナが(いか)りの表情を浮かべ、顔を真っ赤にしてソフィア(ナンシー)()()る。


「あはは… そりゃ可笑(おか)しいわよ… 私に()()()()が出来るワケないんだから♪」


「は…っ?」


 (いか)りの表情から一転(いってん)、ポカンとした表情に変わるセリナ。

 いや、セリナだけではなく、国王(エドワード)や貴族達や大臣達もが彼女と同じ様な表情になっていた。


「だって私、ソフィア… 様じゃないんだから当然でしょ?」


 いつもの調子でソフィアを呼び捨てようとして、(あわ)てて──平然を(よそお)ってはいるが──『様』を付けるナンシー。


「「「「「えぇええええええっ!?」」」」」


 貴族達や大臣達だけでなく、セリナまでもが驚きの声を上げる。


「そ… それでは其方(そち)は誰なんじゃ!? それに、ソフィア様は()()に…? オ… オリビア、説明せいっ!」


 国王(エドワード)(あわ)てつつも、何とか気持ちを落ち着かせてオリビアに問い掛ける。

 オリビアは平然と(みずか)らの後方を指差し…


「ソフィア様なら、私の後ろにアンナ殿と… って、あれっ?」


 そこにソフィアが居ない事に()()()気付き、周囲をキョロキョロと見回す。

 だが、ソフィアは勿論、アンナの姿も見えない。


「お… おい、シンディ! ソフィア様は何処に!? それに、アンナ殿の姿も見えないが!? さっき()()()に連れて行ったまでは覚えてるが、あれからまた何処かに移動したのか!?」


 オリビアは、アンナが〝セリナの(いか)りの理由〟を説明する為、ソフィアと共に向かった修練場の(かた)(すみ)を指差しながら問う。


「ソフィア様なら… 先程(さきほど)アンナさんが、食堂へ連れて行かれました…」


 シンディは修練場の一方を指差し、説明を続ける。


「ソフィア様、アンナさんの説明の途中で空腹を(うった)えられまして… 実はソフィア様、昼食を半分ぐらいしか食べられなかったんですよね… セリナ様に会えるのを楽しみにしていた反面、多少の緊張もされていた様で…」


「なるほど… なら、戻って来られるまで待つとしよう。しかしだ… ナンシーが正体を明かすまで、誰もソフィア様じゃないと気付かないとはな… 特に国王陛下は何度もソフィア様と会っているでしょうに…」


 オリビアに言われてザワつく貴族達や大臣達。


「そ… そうは言うがオリビア嬢、我々がソフィア様と対面したのは歓迎の(うたげ)と先日の〝魔法訓練見学ツアー〟ぐらいですぞ…?」


「ストレイフ伯爵の(おっしゃ)る通り、まだ我々は2回しかソフィア様と対面しておりませんので… それに、その人物は本当にソフィア様ではないのですか? どう見てもソフィア様にしか見えないのですが…」


「フォリーニ(ざい)()(しょう)(おっしゃ)る通り、どう見てもソフィア様にしか… 本当に別人なのですか?」


「うむ、(みな)の言う通りじゃ。まぁ、先日会った時より少し背が伸びておる様じゃが… どうなんじゃ、オリビア?」


 化粧に自信のあるメイド達が(そう)()(ほどこ)したメイクは、確かにナンシーをソフィアそっくりに仕上げていた。

 しかし…


「はぁ… 貴族達や大臣達はともかく、陛下は(ひん)(ぱん)にソフィア様と会っているでしょうに… 前回お会いしたのは5日前ですぞ? たった5日で、気付く(ほど)に背が伸びる(はず)もないでしょう…?」


 国王(エドワード)の言葉に(あき)れるオリビア。

 そこへ、ようやく食事を終えたソフィアがアンナと共にやって来る。

 シンディが駆け寄り、事のあらましを伝える。


「あら、もうバレた… と言うより、バラしちゃったのね…?」


「じゃあ、私はどうすれば…? あの大岩を魔法で(こわ)せば()いんでしょうか…?」


 平然とするアンナの隣でオロオロするソフィア。

 そこへオリビアがナンシーと共に歩み寄る。


「ソフィア様… とりあえず火球(ファイヤー・ボール)で大岩をブッ(こわ)して下さい! ソフィア様の火球(ファイヤー・ボール)の威力、聖女セリナに見せ付けてやりましょう!」


「ソフィア… (くわ)しい説明は(あと)で(オリビア様が)するから… 今は何も考えずに、あの大岩を破壊(こわ)しちゃってくれる?」


 オリビアはセリナの態度に対して(なか)激昂(げきこう)し、ナンシーは冷静に…

 と言うより、ソフィアの魔法を見れる事に期待(ワクワク)しながら言う。


「??? いまいち状況が分かりませんが… あの大岩を(こわ)せば()いんですね? 火球(ファイヤー・ボール)っ!」


 ソフィアが無詠唱で(はな)った火球(ファイヤー・ボール)は、セリナが破壊した大岩の隣の大岩に向かっていき…


 バゴォオオオオオオオンッ!!!!


 文字通り大岩を粉砕(ふんさい)

 その破片は、(あわ)てて司祭達や司教達が展開した防御魔法を突き抜け、数人の怪我人を出したのだった。


「あぁっ! だ… 大丈夫ですか!? 今、治癒魔法(ヒール)を掛けますから! しっかりして下さいっ!」


 (あわ)てて怪我人の治療に向かうソフィア。


「な… なんですの… この威力は…?」


 セリナはソフィアの火球(ファイヤー・ボール)で粉々になった大岩と、自身の火球(ファイヤー・ボール)で小岩程度の大きさに(くだ)けた大岩を交互に見比べて呆然(ぼうぜん)とする。


「これがソフィア様の実力ですよ♪ 私が初めてお会いした時に申し上げた事、ご理解頂けましたかな?」


 マッカーシー大司教がセリナに歩み寄りながら言うと、彼女はその場にガックリと(ひざ)を突いて(うな)()れる。


「そ… そんな… (わたくし)は史上… 最高の聖女の(はず)… なのに…」


「私は申し上げましたな? 〝聖女への目覚めの輝き〟の期間… 貴女(あなた)様はソフィア様の半分にも満たないと… その差は、今ご覧になられた通りです。上には上が居る、と言う事ですな」


 落ち込むセリナを見下(みお)ろしながら言うマッカーシー大司教。

 その()が自身を(さげす)んでいる様に思ったセリナは、キッと彼を(にら)み付け…


「ほ… 他の魔法なら負けませんわっ! 新たな大岩を用意なさいっ!」


 魔法対決の継続を要求したのだった。

 しかし…

 雷撃(サンダー・ボルト)風刃(ウインド・カッター)凍結弾(フローズン・バレット)火炎放射(フレイム・スロワー)等々(などなど)

 ソフィアが(はな)った魔法は、あらゆる魔法でセリナの魔法を(はる)かに上回る威力を()(ろう)

 完全にセリナのプライドを打ち(くだ)いたのだった。


「そんな… そんな…! 何一つ(かな)わないなんて… ウソよ… ウソよぉおおおおおっ!」


(うずくま)り、頭を(かか)えるセリナに、マッカーシー大司教が話し掛ける。


「ウソなんかではありません、これが現実です… そろそろ現実を受け入れられた方が(よろ)しいのではありませんかな? では、私達はこれにて失礼させて頂きます」


 言ってマッカーシー大司教は大聖堂へ、ソフィア達は大聖堂の聖女邸へと帰っていった。

 国王は王宮へ、貴族達や大臣達は各々(おのおの)の王都邸へと帰り…

 セリナは1人、馬車で王宮の聖女邸へと帰ったのだった。

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