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元・奴隷の聖女様 ~奴隷に堕ちて3年後… 聖女の力に目覚めましたが、染み付いた奴隷根性が抜けません!~  作者: タイガー大賀


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第59話 それぞれの気苦労

PVが50000アクセスを超えました♪

読んで下さってる皆様に感謝です♪

 時は少し(さかのぼ)り、ガディッツはグレッディ王国に戻る前に王宮を(おとず)れていた。


「…と、言うワケでして… 聖女邸の(かい)(ちく)はともかく、セリナ(我が娘)の歓迎の(うたげ)(もよお)しては(いただ)けませんか? どうもソフィアと言う聖女に対抗している様でして…」


 流れる汗を何度も(ぬぐ)いつつ、(おそ)(おそ)る話すガディッツ。

 グレッディ王国(自国)の王には何度も(えっ)(けん)しているので慣れていたが…

 他国の、それも大国の中の大国である(セント)クレア王国の国王への(えっ)(けん)ともなれば、緊張するのも無理はなかった。

 しかも、(みずか)らの娘を『歓迎する(うたげ)(もよお)して欲しい』と言う(うった)えである。

 普通なら、()()()()()()()()()()()()事である。

 (えっ)(けん)()()(なら)ぶ大臣や貴族達の冷ややかな視線を感じ、ガディッツは背中にもベッタリと汗を()いていた。


「フム… まぁ、その程度の事なら(かま)わぬが… それにしても、(なに)(ゆえ)セリナ様はソフィア様に対抗心を…?」


 (いぶか)しげに聞く国王エドワード


「はぁ… どうやら自身を史上最高の聖女だと思ってる様でして… マッカーシー大司教でしたかな? 彼の話では、ソフィアと言う聖女の〝聖女への目覚めの輝き〟の期間が我が娘(セリナ)の倍以上だったとか…」


「うむ、()も大司教から聞いておる。ソフィア様の〝聖女への目覚めの輝き〟は、15日間にも(およ)んだそうじゃ」


(話を聞いた時は()()()と思っていたが、本当の事だったとは…)


 (あお)()めるガディッツに、エドワードはコクリと(うなず)く。


文献(ぶんけん)()れば、〝聖女への目覚めの輝き〟の長さイコール聖女の能力の高さだとか… ならば、ソフィアと言う聖女の能力は、セリナより(はる)かに高いと言う事になる… セリナ、自身の能力を()(しん)して(おご)っていては、恥を()く事になるぞ…)


 ガディッツは(セリナ)を心配しつつ、帰国の()()いたのだった。

 (のち)に彼の心配は的中する事になる。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「本日、王宮では聖女セリナ様の歓迎の(うたげ)(もよお)されますが、ソフィア様には(まち)(しょう)(びょう)(にん)達の治療を(おこな)って(いただ)きます」



「う~ん… 私、セリナさんに会ってみたいんですけど…」


 アンナが予定を伝えると、ソフィアが不満そうに返す。

 が…


「しかしソフィア様、歓迎の(うたげ)には多くの貴族達が参加する(はず)です。ソフィア様は、自身の歓迎の(うたげ)で緊張のあまり、何も食べられなかったと聞き(およ)んでますよ? それに、ソフィア様の〝魔法訓練見学ツアー〟が(もよお)された時も、多くの貴族達に驚いて隠れていましたよね…?」


 オリビアに言われ、ハッとするソフィア。


「そ… そうでした… 思い出したら緊張してきました… うっぷ…」


 思わず嘔吐(えづ)くソフィア。


「…と、この様に緊張なさっているソフィア様には、予定通り(まち)に出て傷病人達の治療を(おこな)って(いただ)きます。オリビア様が護衛として同行するのは勿論ですが、メイドからも10名を選出して手伝わせて(いただ)きます。ちなみに私、シンディ、ナンシーの3名は、選出される10名とは別に、同行する事が決まっております」


 アンナが淡々(たんたん)()げると、シンディは当然とばかりに(うなず)く。

 ナンシーは〝魔法訓練見学ツアー〟でソフィアの実力を見て以来、(たい)()にこそ出さなかったが、ソフィアの魔法の(ちから)()(りょう)されていた。

 傷病人達の治療行為と言う地味(?)な事ではあるものの、またソフィアの魔法を見れると思うとワクワクするのだった。

 そして、アンナ主導で準備が進められる中、バドルス侯爵とマッカーシー大司教はセリナの歓迎の(うたげ)に出席する為、共に王宮へと向かって行った。





 ────────────────





 大聖堂から王宮までは、馬車で3時間掛かる。

 また、歓迎の(うたげ)はセリナと王侯貴族との(かん)(だん)と会食──夕食──が(もよお)される為、開始時刻は午後5時頃からである。

 その時間を利用し、2人は歓迎の(うたげ)が始まるまでの(あいだ)、前日に決めた『修練場での魔法対決(?)』に、()()にしてセリナを連れ出すかを話し合う。


「やはり、聖女セリナの魔法の実力を見たいと言うのが最適でしょうか?」


「そうですな… ただ、(なん)(みゃく)(らく)もなく、いきなり言うと()(しん)に思われるかも知れません。自然な流れで話を持っていかなければ…」


 2人は(うたげ)の開始時間ギリギリまで話し合っていたが良い案は出ず、(うたげ)の流れの中で言えそうなら言う事にした。

 しかし2人の話し合いは、結果的に無駄になるのだった。





 ────────────────





「は~い、次の(かた)どうぞ~♪」


 すっかり(しょう)(びょう)(にん)の治療に慣れたソフィアは、次々と治療を(こな)していく。


()()ソフィアが(もの)()じもせずに治療行為をねぇ… 魔法の実力は素直に凄いって思ったけど、ラナさんから聞いてたソフィアとのギャップには違う意味で凄いと思うわ…」


 (ひと)()ちるナンシーだったが、すぐ近くで聞いていたシンディが話し掛ける。


「ラナさんって… 確か〝魔法訓練見学ツアー〟の時に、ソフィア様を見付けた()()よね? ナンシーと同じ奴隷商(トコ)に居たんだっけ?」


「んにょわぉおおおおぅっ! シ… シンディ…? ラナさんの事、知ってるの?」


 驚き、()(とん)(きょう)な声をあげるナンシー。

 そんな彼女を気にするでもなく、シンディは続けて話す。


「ん~… 知ってると言うか、旦那様… バドルス侯爵様とラナさんが話してる時に、お茶を用意したのが私なのよ。だから、一応だけどラナさんって()()とは面識があるのよね。だから、彼女が(ねこ)(じた)ってのも知ってるし…」


「ラ… ラナさん、猫舌(ねこじた)だったの…? 知らなかった…w」


 肩を震わせて笑いを(こら)えるナンシーだったが…


「私が猫舌(ねこじた)なのが、そんなに可笑(おか)しい?」


「んぎぃいいいい~っ!」


 突然後ろから現れたラナに、左右の(ほほ)()()()()()のだった。





「う~っ… なんで此処(ここ)にラナさんが()るんですか…?」


 ナンシーは(りょう)(ほほ)(さす)りながら、(なみだ)()でラナに問いかける。


「なんでって、仕事で通り掛かっただけよ。すぐそこの食堂に食材を(おろ)しにね」


 言ってラナは、一件の食堂を指差す。

 そして、治療行為に(せい)を出すソフィアに目を向けると、感心と(あき)れが混じった様な表情になる。


「聖女様の事は(うわさ)で知っていたけど、バドルス侯爵様から聞かされるまでソフィアの事だとは思わなかったのよね… なにしろソフィアは臆病な上に、気が弱過ぎるでしょ? 血を見るだけでも失神しそうじゃない?」


()()()じゃなくて、()()んだよ。まぁ、その()に私は()なくて、(あと)から聞かされたんだがな… って、何処かで見た顔だな…?」


 話しながら歩いてくるオリビアを見て、ラナは修練場での出来事を思い出す。

 そして、思わずナンシーの後ろに隠れるのだった。


「あっあっあっ、あの女性剣士! 修練場で私を()ろうと襲い掛かってきたぁあああああ…!?」


「そんなに(こわ)がらなくても大丈夫ですよ。アンナさんから注意されて、オリビア様は()(やみ)に剣を抜く事が無くなりましたから。 …って、お姉さん…?」


 シンディが話し掛けるが、ラナからの返事は無い。

 気になったシンディが(のぞ)き込んでみると、修練場での恐怖がまざまざと(よみがえ)ったラナは気を失ってしまっていた。


「なによ… ソフィアの事、臆病な上に気が弱過ぎるとか言ってたのに… ラナさんも充分に気が弱いじゃない…」


 ナンシーは(あき)れつつ、オリビア、シンディと共に、ソフィアの元へと失神したラナを運んだのだった。

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