表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元・奴隷の聖女様 ~奴隷に堕ちて3年後… 聖女の力に目覚めましたが、染み付いた奴隷根性が抜けません!~  作者: タイガー大賀


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/92

第56話 もう1人の聖女様

 話は少し(さかのぼ)り、ソフィア達が王都を(さん)(さく)してた頃…

 (セント)クレア王国の南に位置する小国、グレッディ王国で騒ぎが起きていた。

 海に(めん)したこの国は、海運業で大陸の国々や周辺の島国との交易で富を()し、小国でありながら大国(なみ)の発展を()げてる国である。

 そんな王国の伯爵家の(ひと)つ、ランドール伯爵家の長女が突然(ふる)え出したと思いきや、身体(からだ)が光を(はな)ち始めたのだった。

 聖女の事を知っていた当主(とうしゅ)のガディッツが(あわ)てて大司教──グレッディ王国の──を呼び、確認する。


「間違いありませんな… ご息女(そくじょ)セリナ殿は、聖女様にあらせられます」


「おぉ… ()が娘が聖女とは…! (ふる)え、光り始めた時はまさかと思ったが…」


 その()セリナは7日間光り続け、その事も周囲を(きょう)(がく)させた。


「過去の文献(ぶんけん)では、聖女として目覚めるまでに光り輝いていた期間は、最長で3日だった(はず)です。つまり、セリナ殿は歴代の聖女を上回る能力を(ゆう)しているのではないかと…」


 大司教の言葉に()(しょく)(まん)(めん)のランドール伯爵。


「そ… それは素晴らしい…♪ 早速、国王陛下に知らせねば!」


 ランドール伯爵は急いで馬車を用意し、王宮へと走らせた。





 ────────────────





「なんと! それは真実(まこと)か、ガディッツ!?」


「はっ! シュナイダー大司教様がご確認下さいました! 我が娘が聖女として目覚めたばかりか、歴代の聖女を上回る能力を(ゆう)しているかも知れないと!」


 グレッディ国王、カール・グレッディが聞くと、ランドール伯爵は興奮を隠そうともせず話す。


「で? 今、セリナ嬢はどうしておるのだ? 問題が無ければ、すぐにでも(セント)クレア王国へ送り出さねば!」


 カール(国王)の言葉に目を丸くするガディッツ。


「はっ!? 何故、娘を(セント)クレア王国へ!? グレッディ王国(この国)()てはいけないのですか!?」


 ガディッツが身を乗り出して聞くと、今度はカール(国王)が目を丸くして話し始める。


「なんだ、其方(そち)は知らぬのか…? 聖女と()った者は、(セント)クレア王国で暮らすのだ。理由は(いく)つかあるのだが…」


「その理由を教えて下され! 納得できる理由が無ければ、(まな)(むすめ)を他国に送り出す事は出来ませぬ!」


 ()()と聞き、カールは眉を(しか)める。


(まな)(むすめ)か… 親の(よく)()と言うが、ガディッツの娘は誰もが()(まま)だと聞く。ガディッツの奥方(おくがた)選民(せんみん)意識が強く、その意識を娘達も(いろ)()()いでいるのだとか… そんな娘が聖女の能力に目覚めて、大丈夫だろうか…?)


 気にはなったが、とりあえず説明を始めるカール。


「まずは歴史的な理由だな… 記録に残る最古の聖女が(けん)(げん)したのが(セント)クレア王国である事は()()も知っておるな?」


 コクリと(うなず)くガディッツ。

 国王(カール)は話を続ける。


「今から五千年ぐらい昔の話だがな。以来、聖女が最初に(けん)(げん)した国として国名に〝(セント)〟を付け、〝聖女の住まう国〟としておる。そして、重要なのが地理的な理由だ」


「地理的な理由… ですか…」


 ガディッツの(つぶや)きに、今度は国王(カール)(うなず)く。


「まず、我々の住んでいる(だい)()。大陸と呼べるのは、ここ、()()()()しかない。過去に多くの冒険家達が他の大陸を探しに航海の旅に出たが、ついぞ見付ける事は出来ず、世界で唯一の大陸として〝世界大陸〟と名付けられた」


「はい… 見付かるのは、大きくてもグレッディ王国(我が国)程度の小さな島国ばかりだと…」


 再度(うなず)国王(カール)


「そう。つまり、この世界大陸の中心に位置する大国、(セント)クレア王国。その中央に()る王都クラニール。そこに聖女が住まえば、何処に魔王が現れようとも同程度の時間で駆け付ける事が可能。これが最も重要な理由だな」


「なるほど… 確かにグレッディ王国(我が国)(とど)まっていては、大陸の反対側… 北の国々の危機に駆け付けるには(とき)(よう)しますな…」


 ガディッツは納得し、(セリナ)(セント)クレア王国に送り出す事を了承したのだった。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 (とき)は戻り、現在…

 数日後に新たな聖女が(セント)クレア王国に来る事を知らされたソフィア達は、様々な反応をしていた。


「新たな聖女様… ソフィア様みたいに優しい(かた)なら()いんだけど…」


「キツい性格の聖女様って、多かったみたいよ? そんな聖女様だったら()だなぁ…」


「拒否権って無いのかな? 傲慢(ごうまん)な聖女様の執事なんて、最悪だろ…」


 等々(などなど)

 不安に思う者が多い中、オリビア、シンディ、ナンシーは()()()()()()としていた。


「ソフィア様とは別の聖女様か… まぁ、私はソフィア様以外の護衛剣士を(つと)めるつもりは無いからな… どんな性格の聖女様でも関係無いさ」


「私はソフィア様の側近ですからね。どんな性格の聖女様でも、ソフィア様の(そば)から離れなくて済むから安心です♪」


「私もね… アンナさんからソフィアの側近として(つか)えなさいって言われてるし… そもそもソフィア以上に凄い聖女って、()ないんじゃないの?」


 そんな中、ソフィアは更に()()()()()()としていた。


「わぁ~♪ 私以外にも聖女って()たんですね♪ どんな人なんでしょう? 凄く楽しみです♡」


 そして更に十数日後、(くだん)の聖女が到着した。





 ────────────────





「ここが(セント)クレア王国の王宮… そして、その隣が聖女邸… お父様、(わたくし)が住むには少しばかり()(ぜま)ではありませんこと?」


「そ… そうか…? 我が家と(くら)べても倍ぐらいの大きさだし、王宮の大きさと比べれば充分過ぎると思うが…?」


 ()(まん)()なセリナの言葉に、ガディッツは自身の(やしき)を思い浮かべ、更に王宮と聖女邸を交互に見ながら言う。


「お父様…? (わたくし)は歴代の聖女を上回る能力を有しているのかも知れないんですのよね? ならば、もっと豪華な… それこそ王宮など(かす)んで見えるぐらいの(やしき)に住むのが当然ではありませんか? (セント)クレア国王を呼んで下さいませ! (わたくし)(じき)()して、この(ひん)(そう)(やしき)(わたくし)が住むに相応(ふさわ)しい(やしき)に建て替えさせてあげますわ!」


 その()、出迎えに出てきた貴族や大臣達に、聖女邸の()()えを提案したセリナだったが…

 当然、その提案は却下された。

 と言うのも、歴代の聖女──(ごう)(まん)な聖女も含め──は何の文句も言わずに滞在していた為でもあるし、何よりも歴代の聖女が住んだ歴史()る聖女邸を(こわ)すのが(はばか)られたのだった。

 しかし、それで引き下がるセリナではなかった。


「何を言ってますの!? (わたくし)は7日間も光り輝いていたんですのよ!? (わたくし)こそ歴代の聖女を上回る、史上最高の聖女ですのよ!? その(わたくし)の言う事が聞けないと言うんですの!?」


 セリナの言葉に()(ぜん)とする、貴族や大臣達。

 いや、(あき)れていると言うべきか…

 そこへ、マッカーシー大司教が進み出る。


貴女(あなた)様が(あら)たに聖女と()られたセリナ様でございますかな? 私は(セント)クレア王国で大司教を(つと)めております、アラン・マッカーシーと申します。以後、お見知りおきを」


 言って胸に手を当て、(うやうや)しく(かた)(ひざ)()くマッカーシー大司教。


「さて、()()()()()()()と聞こえましたが… 誰の事を(おっしゃ)っておられるのですかな?」


「はぁっ!? 何を言ってますの!? 貴方(あなた)も大司教なら(ぞん)じておりますでしょ!? 聖女への目覚め… 光り輝き眠ってる日数が長い程、高い能力の聖女として─」

「勿論、存じております。そして、記録に残る最長日数が()()()()()()事もです」


 途中で話を(さえぎ)られた事にムッとするセリナ。


(な… 何よ、この男…! (わたくし)の話を(さえぎ)るなんて…! (わたくし)が7日間も光り輝いていたって言ったの、聞こえてなかったの?)


 セリナは怒鳴りたい気持ちを(おさ)え、冷静を(よそお)ってマッカーシー大司教に向かってドヤる。


「先程の(わたくし)の話、聞こえていなかったみたいですわね。ならば、もう一度言って差し上げますわ。(わたくし)は7日も光り輝いていたんですの。記録に残る最長日数を4日も更新したんですの。なので、(わたくし)が史上最高の─」

「ならば、ソフィア様の半分にも満たない日数ですな。そのソフィア様は、この聖女邸を豪華過ぎると(おっしゃ)っておりました。ソフィア様ですら建て替えを希望されなかった聖女邸を、貴女(あなた)様の一存(いちぞん)で建て替えるワケにはまいりません。ちなみにですが、ソフィア様は15日間も光り輝いていたのです。半分以下の貴女(あなた)様は聖女ではあっても、実力はソフィア様とは比べるまでも無いでしょう。(おそ)れながら申し上げておきますが、くれぐれも()(ちょう)なさって下さいますように…」


 マッカーシー大司教は、言うだけ言うと用意していた馬車に乗り込み、大聖堂方面へと去っていった。

 その場に居た貴族や大臣達は、去り行く大司教の馬車に一礼(いちれい)すると、話は終わったとばかりに王宮へと戻っていった。


「な… 何なんですの、今のはっ! お父様! (セント)クレア国王に抗議を… って、あの大司教… (なん)て言いました…? (わたくし)の光り輝いていた日数が、半分にも満たないって…?」


「私にも、そう聞こえたが… ソフィア様とか言ったか…? その者は15日間も光り輝いていたとか…?」


 その()、聖女邸のメイド達から夕食の()(たく)が出来たと呼ばれるまで、(ぼう)(ぜん)と立ち()くしていたセリナとガディッツだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ