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元・奴隷の聖女様 ~奴隷に堕ちて3年後… 聖女の力に目覚めましたが、染み付いた奴隷根性が抜けません!~  作者: タイガー大賀


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第45話 グレイヤールを救え! ~前編~

 王宮からグレイヤールの危機を知らされたソフィア達は、急いで迎撃準備に取り掛かる。

 と言っても、ソフィア自身は動き(やす)い服装に着替えるだけで、他にする事はなかった。

 オリビアはライトアーマーを着込みながら、アンナにハンターギルドと冒険者ギルドへ知らせる事を要請。

 先日のトロール退治の時と同様、義勇兵を集める為だが、(こと)(こま)かに指示を出す。


「アンナ殿、今回は前回より魔物の数と種類が多い。前回の様にBランク以上のハンターや冒険者に限定する必要は無い。出来るだけ多くを集める必要があるから、Cランク以上まで募集範囲を広げてくれ。Dランク以下でも戦闘経験が豊富なら、志願するヤツは討伐隊(とうばつたい)に加えて(かま)わない。ただ、FランクとEランクに上がったばかりのヤツは、志願しても受け入れないでくれ。どちらも戦闘経験(かい)()か、あっても(よわ)っちい魔物や魔獣しか相手にした事がない連中だ。(あし)()(まと)いにしかならないし、下手すりゃ味方の足を引っ張る事になりかねないからな。それと、私とソフィア様も準備が調(ととの)ったら(まち)へ向かって馬車の手配をするから」


「了解しました。シンディ、今の話は聞いたわね? 私はハンターギルドに行くから、貴女(あなた)は冒険者ギルドへ行って、今の話を伝えなさい!」


 言って走り出すアンナ。


「は… はいっ! 分かりました!」


 返事をしつつ、アンナに続いて走り出すシンディ。

 だが…

 そのアンナは外に出ず、メイド達の部屋へと駆け込む。


「へっ…? アンナさん、ギルドへ行くんじゃ…?」


 疑問を口にするシンディに振り返り、アンナは当然の様に言う。


「シンディ… 貴女(あなた)、何を言ってるの? 走ってギルドへ行くより、馬の方が早いでしょう? だから着替えるのよ。この(かっ)(こう)──メイド服──で馬に乗れないでしょう? それとも、その(かっ)(こう)で馬に乗るつもり? 下手したらスカートが(まく)れ上がって、下着が丸見えになるわよ?」


 意味を理解したシンディはアンナに(なら)って着替え、馬小屋へと向かうが…


「あの~、アンナさん… 私、馬に乗った事ありませんけど…」


「でしょうね。だから私の後ろに乗りなさい。振り落とされない様、しっかり(つか)まってるのよ?」


 アンナは馬に(また)がると、ヒョイッとシンディを引き上げ後ろに乗せる。

 そして…


「行くわよっ!」


 言うが早いか、アンナは馬を駆け出させる。


「いやぁあああああっ! 落ちるっ! 落ちるぅうううううううっ!!!!」


 馬はシンディの絶叫を残し、あっと言う間に見えなくなった。

 その様子を窓から(なが)めていたソフィアはオリビアに言う。


「アンナさん、シンディさんを前に乗せた方が良かったんじゃ…?」


「ですね… シンディ、(まち)に着くまでに振り落とされなければ良いのですが…」


 オリビアは(しゃ)(こう)()()(ぐう)の様な()になり答える。


「シンディさんの冥福(めいふく)を祈りましょう」


「死んでませんけどね…」


 胸の前で手を組み、()()じるソフィアに突っ込むオリビアだった。





 ────────────────





「はぁっ、はぁっ、はぁああぁぁ~… し… 死ぬかと思いました…」


 馬から降りたシンディは、()(さお)になって汗をダラダラ流しながら言う。


「だから、しっかり(つか)まってなさいって言ったでしょう? 馬を駆けさせれば5分も掛からないんだから、それぐらいは()えなきゃ」


「簡単に言わないで下さい… そもそもその(くら)、ちょっと大きいけど1人用でしょ? だから同乗する(ため)(あぶみ)すら無いじゃないですか…」


 しれっと言うアンナにシンディが(くら)を指差して言うと…


「この(くら)、ちょっと大きいから2人乗り用よ? だから同乗者用の(あぶみ)も付いてるわよ? ホラ…」


 馬に乗ったままのアンナが指差す先には、確かに同乗者用の(あぶみ)が付いていた。

 だが…


「それ… アンナさんが使ってる(あぶみ)の前に付いてますけど…? 私、後ろに乗せられましたよね…?」


 シンディの抗議にアンナはシンディにニッコリ(ほほ)()むと…


「先に言った通り、私はハンターギルドに知らせるから。シンディは冒険者ギルドに知らせてちょうだいね?」


 言って馬に乗ったままハンターギルドへと向かう。

 が、その(ほお)一筋(ひとすじ)の汗が流れるのをシンディは()(のが)さなかった。


「アンナさん… 誤魔化したわね…?」


 シンディは大きく()め息を()き、(となり)の冒険者ギルドへと向かった。





 話を聞いた両ギルドのギルドマスターは、職員達に命じて王都内に()るCランク以上のハンターや冒険者をかき集める。

 また、Dランク以下のハンターや冒険者も、戦闘経験が豊富であればギルド前の広場に集まる様に指示した。

 (ほど)()くして両ギルド前の広場には多くのハンターや冒険者が集まり、ほぼ同時にソフィアとオリビアが十数台の(ほろ)馬車を(ひき)いてやって来た。

 オリビアは聖女専用馬車から降りると、素早く(ほろ)馬車の上へと(のぼ)る。

 (ほろ)(ささ)える骨組みの2本に足を乗せて立つと、周囲を見渡し(せき)(ばら)いを(ひと)つ。

 グレイヤール救援の演説を始めようとした時…


「えいっ」


 ソフィアがオリビアが足を乗せている骨組みの(ひと)つをドンッと(たた)く。


「おわっ! とっとっ… だぁあああああっ!!!!」


 ぼふっ!


 オリビアはバランスを(くず)し、(ほろ)に倒れ込む。

 ソフィアは振り返り、ペコリとお辞儀(じぎ)すると話し出す。


(みな)さん! グレイヤールが魔物の集団に()()()()()されているそうです! 現在、グレイヤールの自警団やハンター達が戦っていますが、苦戦しているそうです! お願いします! 私と一緒にグレイヤールの()()()()()に向かって下さい!」


 ソフィアが言うと、集まったハンターや冒険者は(われ)(さき)にと(ほろ)馬車に乗り込む。

 オリビアはなんとか身体(からだ)を起こし、(ほろ)の上から顔を出すと…


「ソ… ソフィア様、なんで…?」


「すいません。オーリャさんの話が長くなりそうだったので… 少しでも早くグレイヤールに行かなくちゃいけませんからね。さぁ、オーリャさんも早く乗って下さい。出発しますよ」


 言いつつ聖女専用馬車に乗り込むソフィア。


「ソフィア様ぁ…」


 涙をダバダバ流しながらオリビアが乗り込むと、ソフィア達の馬車は(しゅう)(だん)の中程に位置する形で出発した。





 ────────────────





 グレイヤールの(まち)が視界に入ると、(まち)のあちこちから煙や(すな)(ぼこり)が立ち(のぼ)っていた。


「私達より先に王宮から近衛兵が救援に駆け付けてる(はず)ですから、彼等が戦ってるのかも知れませんね…」


 様子を見たオリビアがソフィアに伝えると、ソフィアは()(けん)(しわ)を寄せて表情を(けわ)しくする。


「あの様子だと、まだまだ魔物は残ってそうですね…」


「ですね… ここからでは戦局は(わか)りませんが、少なくとも有利に戦っているとは思えません。まずは生存者を保護しなくてはいけませんね」


 オリビアの言葉に(うなず)くソフィア。

 そしてグレイヤールの(まち)へと馬車の集団は入っていく。


「よし! 魔物を一掃(いっそう)するぞ! ただし、生存者を見付けたら保護して馬車で(まち)の外へ運べ! 安全な所へ運んだら引き返して魔物をブチ殺せ!」


 オリビアが叫ぶとハンター達や冒険者達は馬車から降り、それぞれの判断で()らばっていく。

 ソフィアとオリビアは、魔物の集団を統率しているであろうオーガ、ハイ・オーク、ホブゴブリンの(たん)(さく)を始める。

 しばらくすると、何かを感じたのかソフィアが走り出す。


「オーリャさん、こっちです! こっちに大きな()(はい)を感じます!」


 (あわ)ててソフィアの(あと)を追うオリビア。


「ソフィア様、大きな()(はい)とは!? もしや、魔物の集団を(あやつ)るオーガ、ハイ・オーク、ホブゴブリンの()(はい)ですか!?」


「そこまでは(わか)りませんが、その可能性は考えられます!」


 やがてソフィアとオリビアの前に、オーガ、ハイ・オーク、ホブゴブリンの集団が姿を現したのだった。


「こりゃあ… 一筋縄(ひとすじなわ)では行かないかも知れないな…」


 オリビアは剣を抜き、(じゅっ)(すう)(とう)のオーガ、ハイ・オーク、ホブゴブリンを(にら)み付けるのだった。

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