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元・奴隷の聖女様 ~奴隷に堕ちて3年後… 聖女の力に目覚めましたが、染み付いた奴隷根性が抜けません!~  作者: タイガー大賀


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第43話 聖女の仕事、護衛剣士の仕事とは…?

「それじゃあね、ソフィア。会えて嬉しかったわ♪ 聖女って事で大変な事もあると思うけど、頑張りなさいね? ナンシーはソフィアの側近だっけ? しっかり(ささ)えてあげなさいよ?」


 ラナは2人に言い残し、商店の従業員達と共に荷馬車で()っていった。

 ラナとの再会を終えたソフィアは気を取り直し、修練場に戻る。

 貴族達の前に出ると深々と頭を下げ、(ゆく)()(くら)ませた事を()びた。

 ソフィアが(ほん)(らい)気が弱く、臆病な性格である事を国王(エドワード)とフランク・フォン・バドルス侯爵から聞かされていた貴族達は、彼女の年齢からしても仕方のない事と笑顔で受け入れた。

 安心したソフィアは、貴族達の前で魔法を披露する。


「では、まずは風刃(ウインド・カッター)から… 風刃(ウインド・カッター)!」


 ソフィアが(しゅ)(とう)(よこ)()ぎに(はら)うと、()()()(やいば)が大岩を上下に()り分ける。

 だが…


「…何も起こらないが?」


「…どうなったんだ?」


 貴族達の(あいだ)で疑問の声が上がる。

 オリビアはハッとしてソフィアに耳打ちする。


「ソフィア様、()(よこ)()ったのでは大岩に変化が無い様に見えます。中心より少し上の方を、(なな)めに()って下さいますか?」


 ソフィアはオリビアの言わんとする事を理解し、大岩に対して(なな)めに風刃(ウインド・カッター)を発動する。

 すると、大岩の上部がズルリと(すべ)り落ち、大きな音を立てて地面に落ちる。


「なんと! この距離で、あの大岩を!?」


 誰かが(きょう)(がく)の声を上げる。

 その()()の言う通り、ソフィアから大岩までは100m近くあった。

 にも(かか)わらず、(かた)い大岩を一撃で両断するのは容易に出来る事では無い。

 何人かの貴族達は、大岩に駆け寄って切断面を確認。

 (さら)に驚いていた。


「なんなんだ、この切断面は…?」


「まるで(えい)()な刃物で切られたかの様だ…」


 そんな貴族達を見て、オリビアはニヤニヤと笑いながら大岩から離れる様に(うなが)す。


「次はソフィア様に大岩を破壊して貰う。司祭達、司教達が防御魔法を展開するから、(がい)(へき)まで下がって集まっていてくれ」


 貴族達が(がい)(へき)まで下がって集まると、全ての司祭と司教が防御魔法を展開する。


「全員、全力で防御魔法を維持(いじ)しろ! 1人でも手を抜いたら、破片が突き抜けて貴族()が怪我するかも知れないぞ!」


 オリビアの(おど)し(?)に、全ての司祭と司教が顔を真っ赤にしながら全力を出す。


「ソフィア様、いつでもOKです!」


 オリビア自身も防御魔法を全力で展開し、ソフィアに魔法の発動を(うなが)す。


「じゃあ、今回は硬物粉砕ハードメタリアル・クラッシングを使ってみます」


 初めて聞く魔法に、オリビアは(あわ)てる。


「な… なんですか、その魔法は!? 初めて聞く魔法なんですけど!?」


(かた)い物を(くだ)く魔法ですね。(おも)(こう)(ざん)とか(かい)(どう)(かい)(つう)工事とかで、(じゃ)()な大岩を破壊する為の魔法ですけど… 普通は10人ぐらいの魔導師が(れん)(けい)して使うみたいですけどね」


 ソフィアの説明を聞き、聖女としての知識に感心するオリビアだった。

 だが…


「いやいやいやっ! そんな10人ぐらいで(れん)(けい)して使う魔法をソフィア様1人で!? いや、ソフィア様なら大丈夫でしょう! だけど我々は… って、言ってる場合じゃないっ! 全員、限界を()えろっ! メイド達も、防御魔法を使える者は展開しろ! 少しでも防御魔法の耐久力を上げるんだ!」


 あまりのオリビアの(あわ)()りに、貴族達も防御魔法を展開する。

 そして…


硬物粉砕ハードメタリアル・クラッシング!」


 ソフィアが魔法を発動すると、一瞬にして大岩が(ばく)さんする。

 その破片は(すさ)まじい勢いで防御魔法を突き破った。

 貴族達は外壁(がいへき)の一部に沿()って集まっていた事が(さいわ)いし、何重にも張られた防御魔法に守られて怪我人は()なかった。

 オリビアも防御魔法を全力で展開していたが、貴族達から少し離れた位置に()た事が(わざわ)いし、怪我こそ無かったものの防御魔法を突き抜けた破片のいくつかが身体(からだ)に当たっていた。


「い… (いて)てて… やっぱりソフィア様の魔法は強力に過ぎるな… まぁ、これで()殿(でん)達もソフィア様の魔法の威力は理解しただろう? 司祭や司教達の魔法が(ちから)()(そく)なんじゃなくて、ソフィア様の魔法の威力が(すご)()ぎるんだって事がな…」


 オリビアの言葉に、貴族達は(だま)って(うなず)くしかなかった。





 ────────────────





 毎日ソフィアは勉強と魔法の修練に(はげ)んでいる。

 そして週に一度、(たみ)の怪我や病気を治したり、願いを(かな)える事に(まい)(しん)していた。


「ソフィア様。ワシは畑仕事で腰を痛めましてのぅ… (なお)して下さらんか?」


「はい、私で良ければ喜んで♪」


「ソフィア様。俺は護衛の仕事で腕を折られちまいやして… (なお)して貰えやすか?」


「はい、私で良ければ喜んで♪」


「ソフィアお姉ちゃん… 私の大切なペンダント、(こわ)れちゃったの… (なお)して貰える?」


「はい、私で良ければ喜んで♪」


「ソフィア様。最近、中央広場の雑草が(ひど)い状態でしてな… 草むしりして下さらんか?」


「はい、私で良ければ…」

「ちょっと待ったぁあああああっ!」


 何でもかんでも引き受けようとするソフィアに、オリビアが待ったを掛ける。


「ソフィア様! 草むしりなど、聖女の仕事ではありません! 貴様も貴様だ! ソフィア様の人の良さに()()んで草むしりをさせようなどとは()(れい)(せん)(ばん)! ()(くび)(たた)()って…」

「オリビア様、それはやり過ぎです」


 オリビアが激昂(げきこう)して剣を抜こうとするが、アンナが()かさず(つか)を押さえて抜かせない。


「ソフィア様の事を思う気持ちは理解しますが、むやみに剣を抜こうとするのはお()め下さい」


「アンナ殿… しかしながら、()(やつ)の…」


 怒りを隠そうともしないオリビアに、アンナは静かに首を振る。


「気持ちは(わか)ります。ですが、ここは(おん)便(びん)に…」


 そしてアンナは草むしりを頼んだ者に向き直り…


「そこの(かた)! オリビア様の(おっしゃ)る通り、草むしりは聖女様の仕事ではありません! ボランティアを(つの)るか、中央広場を(かん)(かつ)している自治会に働き掛けなさい! ソフィア様に頼むのは(すじ)(ちが)いです!」


 と、オリビアすら引く程の剣幕(けんまく)(まく)し立てた。


「す… すみませんでしたあああぁぁぁ…」


 走り去る男を冷めた目で見るアンナは、次にオリビアを説教する。


「オリビア様… 先程(さきほど)も申しましたが、ソフィア様の事になると(あと)(さき)考えずに剣を抜くクセは(なお)して下さい。ソフィア様が襲われ、守る為に… と言うならまだしも、そうでもないのに誰かを傷付けたりでもしたら… 少なくともオリビア様は(ゆう)(へい)の身となり、ソフィア様の護衛剣士としては認められなくなりますよ?」


 アンナの言葉に、オリビアは(あお)()める。


「そ… それはマズいな… 私の夢はソフィア(聖女)様の護衛剣士… それを(まっと)う出来なくなるのは…」


 ブツブツ言うオリビアに、アンナはコクリと(うなず)く。


「ならば、少しは()(ちょう)して下さいませ。オリビア様が護衛剣士の(にん)()かれたら、誰がソフィア様の護衛剣士を(つと)めるのですか? 私の知る限り、オリビア様以外で(にん)()()る人物は()ないのではないかと… ですので、くれぐれも軽はずみな行動はしないで下さいませ」


 アンナから(さと)され、オリビアは…


「…了解した。今後はソフィア様の護衛剣士としての(にん)(まっと)う出来る(よう)、軽はずみな行動はしないと(ちか)おう」


 と、決意を(あら)たにした。

 次にアンナは、何でもかんでも引き受けようとするソフィアに説教しようと振り返る。


「それからソフィア様… って、あらっ…?」


 …が、ソフィアの姿が見当たらない。

 オリビアも(あた)りを見回すが、やはりソフィアは見付からない。


「まさかと思うが… おい! 誰か、ソフィア様が何処に行ったか知らないか?」


 すると、同行していたメイド達が(いっ)(せい)に中央広場の方を指差し…


(たみ)達を治療した(あと)、草むしりすると言って中央広場に向かわれました…」


「「やっぱり…」」


 アンナとオリビアは(そろ)って肩を落とし、大きな()め息を()いたのだった。


その頃、ソフィアは…  


(く~さ)む~しり♪ (く~さ)む~しり♪ い~っぱい雑草をむしって、中央広場を()(れい)にしましょ~♪」


 と、1人で中央広場の草むしりを楽しみ、周囲の(たみ)達を()(ぜん)とさせていた。

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