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元・奴隷の聖女様 ~奴隷に堕ちて3年後… 聖女の力に目覚めましたが、染み付いた奴隷根性が抜けません!~  作者: タイガー大賀


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第39話 ソフィアの強力な魔法とメイド達の悲痛な叫び

 オリビアが火山と(ふん)()雪崩(なだれ)を説明し、ようやくソフィアは納得する。


「魔王って、そんな現れ方するんですね…? 初めて知りました」


「そうです… 理解して頂けた様ですね…」


 一般常識を知らないソフィアへの説明は難しく、オリビアは疲れ果てて机に()()していた。


「何も知らないとは聞いてたけど、火山も(ふん)()雪崩(なだれ)も知らないとは思わなかったわ…」


 ナンシーが(あき)れた様に言う。


「仕方無いですよ。何も知らないまま奴隷になりましたから。奴隷商では、誰も何も教えてくれませんでしたしねぇ…」


 ソフィアは()れ笑いを浮かべ、指先で(ほほ)()きつつ答える。

 ナンシーは思う。


(ソフィアらしいと言えば、ソフィアらしいわね… ()()()ラナさんから聞いたけど、ソフィアは()()()()()()()()()()()性格だって… 自分の(きょう)(ぐう)も、(まわ)りからの(あつか)いも… ただ、自分が()()()()()()()()()()()のには()()めないみたいだけど…)


 聖女の能力に目覚め、大きな(ちから)を手に入れた(はず)のソフィア。

 そんな彼女が(そっ)(せん)して庭の草むしりをしたり、テーブルを()いたり食器を片付けてるのを見ていると、ナンシーには本当に彼女が聖女なのか分からなくなる事があった。

 それはナンシーに限った事ではなく、アンナやシンディを含めたメイド達も同様の感想を(いだ)いていた。

 しかし、魔法の訓練でソフィアの強力過ぎるパワーを見た事のある者達は、彼女が聖女である事を(うたが)ってはいなかった。

 そんな中、1人の男が食堂に入ってくる。


「失礼いたします。王宮からの(でん)(れい)にございます」


 王宮からの伝令と聞き、一同に緊張が走る。


「王宮からだと? 王宮ではトロールの群れに関しての会議をしていた(はず)だ… もしや、あの一件は魔物の活性化の前兆だったのが確認されたとでも言うのか!?」


「はっ?」


 伝令(でんれい)の男はオリビアが何を言ってるのか(わか)らなかった様で、目を点にして首を(かし)げていた。


「…その様子だと違うみたいですね。では、王宮からは(なん)と?」


 1人だけ冷静なアンナが男に聞く。

 冷静と言うのが正しいとは言えないが、ソフィアも(どう)(よう)してはいなかった。


()()()()って何ですか?」


 ただ、何も知らないだけだった…





 ────────────────





 伝令が帰った(のち)、ソフィア達は修練場へと馬車を走らせる。



 ──オリビア指導の(もと)、ソフィア様に魔法の訓練を(おこな)え──



 これが王宮からの指示であった。

 訓練後の夕食を準備する者を残し、多くのメイド達も修練場へと向かう。


「ソフィア様の魔法って、どんなのかしら?」


「聞いた話だと、凄い威力らしいわよ?」


「私達、危なくないかしら…?」


「大丈夫じゃない? オリビア様や司祭様、司教様達が防御魔法を展開するって聞いたわよ?」


 5台の馬車に分乗したメイド達は、それぞれの馬車の中で期待と不安を(くち)にしていた。

 そんな中、ソフィアの馬車に同乗するオリビアは、ソフィアの魔法を()(ぢか)で見られる事に()()()()喜んでいた。

 が…


「オーリャさん、そんなに期待しないで下さい。私、まだまだ魔法を(あつか)い慣れてないんですから…」


「えっ…? でも、この(あいだ)風刃(ウインド・カッター)は…?」


 ソフィアがキング・トロールを一撃の風刃(ウインド・カッター)(ほふ)ったのをオリビアが見たのは、つい先日の事である。

 そんなソフィアが()()()()と言っても、(にわか)には信じられないオリビアだった。


「首を()り落とせば()いと思ったんで、(とっ)()に思い付きで使ったんですよ」


「は…? はぁ…」


 オリビアはどう反応すれば良いのか(わか)らなかった。


(思い付きで使って()()()()とは… なら、他の魔法は…? 修練場に着いたら、ソフィア様の魔法を見た事のある司祭や司教に聞いてみるか…)


 やがて馬車が修練場に着くと、オリビアは近くに居た司祭を呼び止める。


「ソフィア様の魔法ですか? それはもう、(すさ)まじいの(ひと)(こと)()きますよ。火球(フャイヤー・ボール)雷撃(サンダー・ボルト)も、一撃で大岩を(ふん)(さい)しましたからねぇ♪」


 オリビアからソフィアの魔法について聞かれた司祭は、(こう)(こつ)としながらも興奮気味に話す。


「そんなに凄いのか…?」


「それはもう! あんなに威力の高い火球(ファイヤー・ボール)雷撃(サンダー・ボルト)は見た事がありません! 火球(ファイヤー・ボール)で大岩を粉砕した記録は無く、雷撃(サンダー・ボルト)でも同様です」


 話を聞いたオリビアは、ソフィアが魔法を(はな)(さい)、司祭や司教達に全力で防御魔法を展開させようと心に誓ったのだった。





 修練場に入り、周囲を見渡しながらオリビアが(つぶや)く。


「ここで… 歴代の聖女達が魔法を練習していたのか…」


 メイド達は、修練場の広さと壁の高さに驚いていた。


「広~い♪」


「壁、(たっ)か…」


 そして、中央に()る岩の大きさにも驚いていた。


「あの大きな岩で練習するのかな…?」


「大きい… 10(メートル)ぐらい()るんじゃない…?」


 そしてソフィアが岩の方へ進むと、司祭や司教達が防御魔法を展開する。


「全員、防御魔法を全力で維持しろ! 岩の破片が突き抜けてくるぞ!」


 オリビアが叫ぶ。

 そして…


凍結弾(フローズン・バレット)!」


 ソフィアの前に氷の()()()が無数に現れ、大岩に向かって飛んでいく。

 氷の()()()が大岩に当たると、一瞬にして大岩は氷()けになる。

 多くのメイド達が()る為、ソフィアは大岩を破壊する魔法を()ける事にしたのだった。

 しかし、大岩を(つつ)み込んだ氷が冷気を(はな)ち、急速に広がって修練場の気温を急激に下げてしまう。


「「「「「さ… 寒いっ!」」」」」


 メイド達はあまりの寒さにガタガタと震え出す。


「ソ… ソフィア様…! 氷を… 氷を()かして下さい…!」


 寒さに()えてオリビアが言うと、ソフィアは(てのひら)を氷()けの大岩に向ける。


火炎放射(フレイム・スロワー)!」


 ソフィアの(てのひら)から炎が()び、あっという間に大岩を(つつ)み込んだ氷が()けていく。

 同時に気温も上昇し、氷が完全に()ける頃には元の気温に戻っていた。

 もっとも、修練場の地面は(みず)(びた)しになってしまっていたが…


「ソフィア様、次からは使う魔法を(あらかじ)め伝えておいて下さいますか? 司祭様や司教様が防御に使う魔法を判断出来ませんので…」


「ご… ごめんなさいっ!」


 ジト目のアンナに言われ、思わず土下座するソフィアだったが…


「あぁ~っ! ドレスが! ドレスがぁあああああっ!!!!」


「ソフィア様! そんな所で土下座しないで下さいませ!」


 (みず)(びた)しの地面に土下座したソフィアのドレスは泥だらけになってしまい、修練場にはメイド達の()(つう)な叫び声が(ひび)いたのだった。

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