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元・奴隷の聖女様 ~奴隷に堕ちて3年後… 聖女の力に目覚めましたが、染み付いた奴隷根性が抜けません!~  作者: タイガー大賀


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第38話 王宮では緊急会議、聖女邸では…?

 トロールの()れに()る襲撃を近衛兵や義勇兵の活躍で()(ぜん)(ふせ)げた事で、王都の住民達は(あん)()していた。

 だが、いつまた同様の事が起きるか分からず、国王や大臣達はピリピリしていた。



 魔王が現れる前には魔物が活性化する



 その(ぜん)(ちょう)ではないかとの(うわさ)が、王宮のあちこちで(ささや)かれていたのである。

 その為、王宮の会議室には大臣達が集まり、緊急の会議が開かれていた。


「トロールの襲撃が、魔王が現れる前の魔物の活性化の(ぜん)(ちょう)だとしたら… まだソフィア様が聖女の能力(ちから)に目覚めて間もないと言うのに…」


「その可能性は高い… とまでは言えないが、貴族の(おの)(おの)が持つ領地の兵… いつでも動かせる様にしておいた方が良いのではないか?」


「それでも、魔王相手にどれだけ役に立つかは(わか)らんがな… いや、まだ魔王が現れると決まったワケではないが…」


「魔導師を(かか)える貴族はどれぐらい()る? 物理攻撃の()かない下位悪魔(レッサー・デーモン)上位悪魔(グレーター・デーモン)は近衛兵や義勇兵には(きょう)()でも、魔導師なら対処可能だろう?」


 等々(などなど)

 そんな中、国王であるエドワードが口を開く。


(みな)の者、少しは落ち着こうぞ。現状では何も(わか)っていないのだ。トロールの襲撃も、偶然なのかも知れないし、そうではないのかも知れない。それに、魔王が現れるとしても、()()に現れるのかも(わか)らんではないか…」


 エドワードの()(てき)に、誰もが黙り込む。

 現状では(なん)の対処もできないので、仕方の無い事であった。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 その頃、大聖堂の聖女邸では…


「ソフィア様! その様な事は私達が…!」


「お()め下さい! ドレスが! ドレスが汚れてしまいます!」


「大丈夫ですよ♪ これぐらい、慣れてますから♪」


 ソフィアが(ちゅう)(ぼう)()き掃除をし、メイド達が(あわ)てて制止すると言う、()()()()()()()り広げられていた。


貴女(あなた)達、何を騒いで… って、またですか、ソフィア様…?」


 アンナの(あき)れた声に、ソフィアはピシィッと(かた)まる。


「ア… アンナさん…?」


 ギギィ~っと引き()った表情で振り返るソフィア。

 声と同様に表情も(あき)れていたアンナだが、その隣に居るナンシーも(あき)れていた。


「まだ奴隷だった頃のクセが抜けないの? ラナさんから聞いた事があるんだけど、あんたの担当って掃除とか雑用全般だったそうね? そのクセで、つい掃除しちゃうとか?」


 ()()()()()()()()()()()()()と聞き、近くに()たオリビアの顔色が変わる。


「どういう事だ? 普通、掃除や雑用は持ち回りでするモンじゃないのか? まさか、ソフィア様が幼くて小さいからと、お前や(ほか)の連中が押し付けていたのではないだろうな!?」


 オリビアは猛スピードでナンシーに歩み寄り、(むな)(ぐら)(つか)んで壁に押し付け問い(ただ)す。


「ちちちちち、違います! 私が奴隷商に入った時には、もうソフィアが担当してたんです!」


 首をブンブン振り、(みずか)らの(かん)()を否定するナンシー。


「…で、ソフィア様? 掃除と雑用全般を担当していたとは、どういう事ですか?」


 オリビアとナンシーのやり取りを無視し、アンナがソフィアに聞く。


「えぇとですね… 前にも言ったと思いますが、私は物覚えが悪くて要領も悪かったですから、掃除や雑用しか出来なかったんですよね… お陰で、そっちは一人前になりました♪ 2年ぐらい掛かりましたけど…」


 言って、()(くさ)そうにペロッと舌を出すソフィア。


「2年も掛かったの…? 掃除や雑用が一人前になるのに…?」


「いや… 確か奴隷になった当時、ソフィア様は5歳だろ? なら、それぐらいは掛かるんじゃないか…?」


「そうかも知れませんけど… オリビア様とナンシーは、いつまで()()()()()んですか?」


 オリビアはナンシーの胸倉(むなぐら)(つか)み、壁に押し付けた状態で普通に会話し、その様子にアンナが(はん)()(あき)れた様に突っ込む。


「あ… (わり)い、ナンシー。ソフィア様の事になると、つい…」


 言ってオリビアはナンシーを(つか)んでいた手を離す。


「いえ… ちょっとビックリしましたけど、気にしてませんから… それにしても、オリビア様はソフィアの事になると… やっぱりレズ…」

「それは絶対に違うっ!!!!」


 全力で否定するオリビアだったが、アンナを初めとするメイド達は、全員がナンシーと同じ考え──オリビアはソフィアを愛するレズビアン──を持っていたのだった。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「…では、各地に領地を持つ貴族は兵や魔導師を(まと)め、いざというときに(そな)えて訓練(とう)を行って(もら)う。ソフィア様には魔法の練習に(はげ)んで(いただ)き、オリビアにはソフィア様の指導を(おこな)う様に(つた)えよ。これにて会議を終了とする。何か問題があれば、(ずい)()報告する様に」


 言ってエドワード(国王)は席を立ち、会議室を出る。

 大臣達は会議で決まった事を手紙で貴族達に伝えるべく、(おの)(おの)執務室に向かうのだった。





 エドワードが一息(ひといき)つこうと自室に入ると、お茶の用意をしてタチアナ(王妃)()(じょ)(ともな)って待っていた。


「お疲れ様でした、陛下。それで、今後の方針は決まりまして?」


 エドワードは黙ってソファーに座り、()(じょ)()れたお茶を(ひと)(くち)飲む。

 カップを置いたエドワードは小さく()め息を()き、ソファーに(もた)れて話し始める。


「…具体的な事は何も決まらなかったと言える。現状、何も(わか)ってないのと同じじゃからな… かと言って、手を(こまね)いているワケにもいかん。各地の貴族達には兵や魔導師の訓練を、ソフィア様にはオリビアの指導で魔法の練習をして(いただ)く事にした。それが、今できる(せい)(いっ)(ぱい)の事じゃな…」


 タチアナはコクリと(うなず)く。


「仕方ありませんわね… いつ、何処(どこ)に魔王が現れるかも(わか)りませんし、その(ちょう)(こう)だとハッキリ言える事も起きてませんものね…」


 今度はエドワードがコクリと(うなず)く。


「まぁ、魔王を(むか)()つ為の準備期間を長く取れれば(ちょう)(じょう)なんじゃがな… トロールの襲撃が、魔物の活性化の(ぜん)(ちょう)でない事を祈るばかりじゃよ…」


「魔物の活性化ですか… 魔物が活性化すると、すぐに魔王が現れますの?」


 タチアナが聞くと、エドワードは静かに首を振る。


「過去の文献(ぶんけん)では、魔王が現れる(さい)には何かしらの(てん)(ぺん)()()が起きるとある。火山の()(ふん)()であったり、()雪崩(なだれ)であったり、地面が()()()割れたりじゃな… そして、その中から魔王が現れるのじゃと…」


 話を聞くタチアナは(あお)()め、その(ほお)一筋(ひとすじ)の汗が流れるのだった。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 聖女邸の食堂では、オリビアが魔王の現れ方をソフィアに説明していた。

 また、メイド達も興味があるのか聞きに来ていた。


「過去の文献(ぶんけん)では、魔王が現れる(さい)には何かしらの(てん)(ぺん)()()が起きるとあります。火山の(ふん)()だったり、雪崩(なだれ)だったり、地面が割れたりですね。そして、その中から魔王が現れるんだそうです」


「かざん… ふんか… なだれ…」


 説明を聞いたソフィアは首を(かし)げる。

 同じくナンシーも首を(かし)げ、オリビアに質問する。


「火山の(ふん)()の中から現れるって、メチャクチャ熱そうですよね? 焼け死んだりしないんでしょうか? 雪崩(なだれ)の中からってのも、雪崩(なだれ)に巻き込まれたら死んじゃうんじゃ…? それに、割れた地面からどうやって…? よじ登って現れる魔王って、なんかマヌケですよね?」


「ナンシー、お前なぁ…」


 思わず脱力してしまうオリビアだったが…


()()()とか()()()とか()()()って(なん)ですか?」


 ナンシーのボケ(?)を()えるソフィアの質問に、全員が椅子からずり落ちたのだった。

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