表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元・奴隷の聖女様 ~奴隷に堕ちて3年後… 聖女の力に目覚めましたが、染み付いた奴隷根性が抜けません!~  作者: タイガー大賀


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/92

第35話 トロール討伐慰労食事会

 アンナは食堂にメイド達を集め、役割を割り振っていく。

 食事会用の大量の料理を調理をする者。

 食堂に立食用のテーブルを用意する者。

 食堂の外、庭に立食用のテーブルを用意する者。


討伐隊(とうばつたい)の皆様が来られるまでに準備を終えなくてはなりません! が、急ぎつつも(てい)(ねい)な作業を心掛けましょう! では、作業開始!」


「「「「はいっ!!」」」」


 アンナの号令に元気良く返事をし、作業に取り掛かるメイド達。

 そのアンナは周囲をキョロキョロと見回し…


「シンディ… ソフィア様は何処(どこ)に?」


 言われて周囲を見渡すシンディ。

 だが、ソフィアの姿は見当たらない。


「ナンシー。貴女(あなた)、ソフィア様が何処に居るか知らない?」


 言われてナンシーは人差し指でこめかみを押さえつつ首を(かし)げ、記憶を辿(たど)る。


「えぇと… 確か… 少し前に食堂から出ていった様な…」


「食堂から出ていった? 部屋で休むとは聞いてないけど…」


 アンナが(あご)に手をやり考えていると、窓の外──庭──が騒がしいのに気付く。


「何を騒いで…?」


 窓の方を向くと、庭で食事会の準備をしているメイド達が何やら慌てている姿が見えた。


「ソフィア様、お()め下さい!」


「そうです! その様な事は私達が!」


「あぁっ、ドレスが! ドレスが汚れてしまいます!」


 耳を()ませば、そんな声が聞こえてくる。


メイド長(アンナさん)… これって、もしかしなくても…」


「そうね… シンディの考えてる通りだと思うわ…」


「何をしてるか、大体(だいたい)は想像出来るわね…」


 アンナ、シンディ、ナンシーの3人は、(しゃ)(こう)()()(ぐう)の様な目で語り合った。





 アンナ達が庭に出ると、そこにはオロオロするメイド達を()()に、一心(いっしん)()(らん)に草むしりをするソフィアの姿があった。


「こんな事だろうと思ったわよ…」


 ジト目でソフィアを見つめ、(ひと)()ちるナンシー。


「ソフィア様! ドレスが泥だらけではありませんか! シンディ、()えのドレスを持って浴室へ!」


「はいっ!」


 返事と共にダッシュでソフィアの部屋へと向かうシンディ。


「ナンシーは私と一緒に来なさい! ソフィア様を洗って差し上げるわよ!」


「ひゃいっ!」


 まさかの内容に声が裏返るナンシー。

 アンナはソフィアを()(わき)にヒョイッと(かか)えると、小走りに浴室へと向かう。


「あの~…?」


 アンナの()(わき)(かか)えられて運ばれながら、ソフィアは話し掛ける。


「話し掛けても無駄よ? こうなったアンナさんを止められないのは、ソフィアなら分かるでしょ?」


 アンナの(となり)を付いて走りながら言うナンシー。


「…て事は、ナンシーさんもアンナさんと一緒に私を洗うって事ですか?」


 困った様な表情で問い掛けるソフィアにナンシーは少し考え…


「…そうなるかしらね? 他人(ひと)身体(からだ)を洗うなんて初めてだけど、ちょっと楽しみかも♡」


 言いつつニンマリと笑うナンシーに、ソフィアは冷や汗を流すのだった。





 ───────────────





「…ナンシーさん… 以前、聖女が他の人達と一緒にお風呂に入るのは変だって言ってませんでしたか?」


 アンナとナンシーだけでなく、手の()いていたメイド達に身体(からだ)を洗われながら聞くソフィア。


「言ってたけど… (みんな)が普通にソフィアと入ってるのを何度も見て、なんだかバカらしくなっちゃったわよ。それに、何だかんだ言っても、ソフィアと私は()()()()()()()しね…」


「そうでしたね♪ なんだか(なつ)かしいです♪」


「楽しそうに言わないでよ…」


 (まゆ)()を寄せ、(はん)()でソフィアを見るナンシー。

 すると、脱衣所が騒がしくなり…


「ソフィア様と風呂に入るなら、私を置いてくなぁあああああっ!!」


「「「「きゃぁあああああっ!!!!」」」」


 全身にトロールの返り血を()びたまま浴室に飛び込んで──しかも(ぜん)()──きたオリビアに、メイドの少女達が悲鳴を上げる。


「えいっ」


 すかさずアンナが手に持っていたタオルをオリビアの(あし)(もと)に投げる。


「うわわわわっ!?」


 泡立ったタオルを()んだオリビアは足を(すべ)らせ…


 ずでぇえええええんっ!!!!


 見事にコケたのだった。


「あたたたた… アンナ殿、何を… ぅわっぷっ!?」


 続けてアンナは何度も洗面器でお湯を()びせ掛ける。


「もう少し静かに入ってきて下さい! それに、さっさと血を洗い流さないと、メイドの()達が(こわ)がってるじゃありませんか!」


 言われてオリビアが上半身を起こすと、掛けられて流れる湯が赤く染まっているのに気付く。


「あ… す、すまない… ソフィア様がメイド達と風呂に入ってると聞いて、つい…」


 オリビアの言葉を聞き、アンナは…


「やっぱりオリビア様ってレ─」

「違うっ!! 断じて違うからっ!!!!」


 慌てて否定するオリビアを見て、メイドの少女達は肩を震わせて笑いを(こら)えていた。


「笑うなよぉおおおお…」


 (しゃ)(こう)()()(ぐう)みたいになった()から涙をダバダバ流すオリビアだった。





 ──────────────





「それでは、()()()()()(みな)さん。()()()()()(みな)さん。()()()()退治、お疲れ様でした♪ 遠慮(えんりょ)無く食べて飲んで、疲れを(いや)して下さいね♡」


「「「「おぉおおおおおっ!!!!」」」」


 ソフィアが(おん)()を取り、近衛兵と義勇兵がそれに(こた)える。

 立食形式にしたからか、聖女邸の庭だけで全員が入れる事が(はん)(めい)

 大急ぎで食堂からテーブルや飲食物を運び出し、青空の下で慰労食事会が(もよお)された。

 聖女と一緒に食事しながら過ごせるとあって、義勇兵だけでなく近衛兵までもがはしゃいでいた。


「いやぁ~、聖女様がこんなに()(わい)らしいとは思いませんでしたなぁ♪」


「俺、(うわさ)では聞いてたけど、本当に小さな子供だとは思ってなかったよ♪」


「まさか私の子供より若いとは… 聖女様は素晴らしい才能をお持ちなのですなぁ♪」


 近衛兵や義勇兵が入れ替わり立ち替わり、ソフィアに話し掛ける。

 それに対し、にこやかな笑顔で(こた)えるソフィア。

 そんなソフィアを見て、オリビアやアンナ達メイド一同は…


「やっぱり成長なさってる様ですね。以前なら、オロオロするばかりだったでしょうに…」


 アンナの感想に、シンディも(うなず)く。


「そうですね。ソフィア様、立派になられましたね」


 2人の言葉に(うなず)くメイドの少女達。

 しかし、ナンシーだけは()めた目でソフィアを見ていた。


「そんなワケ無いじゃない… ソフィアの手、少しだけど(ふる)えてるわよ? (みんな)が思ってるより無理してるんじゃない?」


 ナンシーの言う通り、楽しそうに会話しているソフィアだったが、確かに手は(かす)かに(ふる)えており、緊張しているのは明らかだった。


「これは気の毒だな… 私がソフィア様と一緒に連中の相手をしよう」


 言ってソフィアの隣に立ち、近衛兵や義勇兵の相手をし始めるオリビア。

 ソフィアはホッとした表情になり、慰労食事会は(なご)やかに進んだのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ