表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元・奴隷の聖女様 ~奴隷に堕ちて3年後… 聖女の力に目覚めましたが、染み付いた奴隷根性が抜けません!~  作者: タイガー大賀


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/92

第33話 哀愁のオリビア

「ナンシーぃいいいいいいいっ!!!!」


「んにょわぁあああああっ! (なん)なんですかっ、オリビア様ぁああああっ!?」


 ドアを(こわ)れそうな(ほど)(いきお)いで開け、メイド部屋の1つに飛び込むオリビア。

 名前を叫ばれたナンシーは勿論、他のメイド達も(きょう)(がく)の表情で壁まで(あと)退(ずさ)る。


(なん)だじゃないっ! どうして私が()()()()()()()()()()()()()()()なんて(うわさ)が広まってるんだぁあああっ!」


「し… 知りませんよぉおおお!」


「あ… それ、私です…」


 しれっと手を上げるアンナ。

 オリビアはナンシーに詰め寄った形、ナンシーは両手をオリビアに向けて制止する形でアンナの方を向く。

 他のメイド達も、目を点にしてアンナを見ていた。


「ア… アンナ殿…? 何故、その様な…?」


 顔を()()にし、本来の無表情が(くず)れてしまうオリビア。


「何故… ですか? やっぱり浴室での(ひと)(こと)ですねぇ… ソフィア様がナンシーに抱き付いた時の『(うらや)ましい』が決定的かと…」


「そんなので私をレズだと決め付けないでくれ…」


 ガックリと(うな)()れるオリビアに、アンナはニッコリと(ほほ)()みかける。


「でも、(ヨダレ)まで()らしてましたからねぇ… その上で『(うらや)ましい』だけでなく『私もソフィア様に抱き締められたくて』のセリフ… やっぱりソフィア様を愛してらっしゃるのでは?」


 アンナに言われて思い出し、オリビアは(なか)ばキョドりながら…


「いや! 愛してるとかじゃなくて! 確かに私はソフィア様を(けい)(あい)してるけど! アンナ殿が言ってるのとは意味が違うと言うか!」


 言えば言う程に無表情を(たも)てなくなるオリビアだった。

 すると…


「んみゅぅう… 何を(さわ)いでるんですかぁ…?」


 寝ていたのを騒ぎで起こされたのか、目を(こす)りながらソフィアがメイド部屋に入ってきた。


「いえ、オリビア様がソフィア様を愛してて、レズビアンなのではないかと話し合っていたのです」


「ド直球に言うなぁあああああっ!!!!」


 しれっと言うアンナに抗議の叫び声を上げるオリビア。

 そんな彼女をソフィアはマジマジと見ながら…


「オーリャさん… そんなに表情が(ゆた)かだったんですね? なんだか(うれ)しいです♪」


 1人で盛り上がるソフィア。

 だが…


「ところで… ()()()()()ってなんですか?」


 そこから説明しないといけないのかと、アンナやオリビアは勿論、大勢のメイド達もガックリと(くず)れ落ちたのだった。

 その後、レズビアンについての説明を受けたソフィアは真っ赤になったのだった。





 ────────────────





「ここ最近、気になってる事があるんです」


 突然のソフィアの言葉に、メイド達に緊張が走る。

 笑顔で()(がま)えるメイド達を()(わた)し、話し始めるソフィア。


「最近、なんだかメイドの皆さんが、無理して笑顔を作ってるみたいなんですよねぇ…? もしかして、私がオーリャさんの表情を読んでいるからでしょうか? だとしたら申し訳ないです…」


 言いながら深々(ふかぶか)と頭を下げるソフィア。


「ソ、ソフィア様! ()めて下さい!」


「そうです! 私達に頭を下げるなんて、お()め下さい!」


 (あわ)てるメイド達。

 だが、当のソフィアは…


「でも… ニーナさんは、私がテーブルを()くのを()めようか迷ってましたよね? グレースさんは、私が食器を洗い場に持って行くのにオロオロしてましたし… キャロルさんは、夜明け前に私が起きて廊下を掃除するのに(こん)(わく)してましたし… 勿論、(みな)さん笑顔のままでしたけ… ど…?」


 そこまで言って、ソフィアは(おそ)(おそ)るアンナを見る。


「ソフィア様…? 私の目を盗んでコソコソとテーブルを()いたり、食器を洗い場に持って行ったり、廊下を掃除してたんですね…?」


 アンナの眼は笑っていたが、()(けん)には(しわ)が寄っており、誰が見ても怒っているのは明らかだった。

 アンナは目を閉じて自身の(ひたい)に手をやり、()(いき)()きながら話し始める。


「はぁ… 旦那様… バドルス侯爵様の屋敷でも申し上げましたが、ソフィア様の行為はメイド達の仕事を(うば)っているのだと… ソフィア様! まだ話は終わっておりません!」


 ソフィアはアンナが目を閉じ、(ひたい)に手をやると同時に(きびす)(かえ)し、自分の部屋に向かって足音を立てない様に逃げ出していた。

 アンナが気付いた時、ソフィアは既に自室の前で扉を開けようとしていたのだった。

 そして…


「オーリャさん、ナンシーさん、(あと)は任せますね♪ 私、寝てる途中だったんで♪ それじゃ、お休みなさい♡」


 と、申し訳なさそうな表情ではあったものの、オリビアとナンシーに丸投げして自室に逃げ込んでしまった。

 オリビアとナンシーは互いに顔を見合せ…


「ソフィア様、(たくま)しくなったな…」


奴隷商(あそこ)()たソフィアと同一人物とは思えないんですけど… 本当にソフィアなんですよね…?」


 互いに感想を述べ合うのだった。

 アンナはナンシーの肩に手を置き、()(いき)()きながら(うなず)く。


「間違いなくソフィア様よ… あそこまで変わるとは思ってもみなかったけどね…」


 アンナの言葉に、2人は『確かに』と言わんばかりに大きく(うなず)いたのだった。





 ────────────────





「王宮より緊急の連絡です!」


 ソフィア達が朝食を()っていると、1人の兵士が食堂に飛び込んできた。

 大急ぎで来たのか、肩で大きく息をしている。

 そんな兵士の様子を見て、食堂中に緊張が走った。


「何があった!? いや… その前にアンナ殿、彼に何か飲み物を。まずは落ち着け。落ち着いてから(くわ)しく話せ」


 オリビアの指示で、アンナが兵士にお茶の入ったカップを手渡す。

 兵士はアンナに礼を述べ、深呼吸してからお茶を飲み()した。

 そして…


「トロールの()れが現れました。王都から10㎞東に()る森の中で確認されました。その後の動きですが、間違いなく王都に向かってきているとの事です」


 報告を聞き、メイド達が(あお)()める。

 そんな中でソフィアが立ち上がり、(まわ)りを()(わた)しながら…


()()()()って、何ですか?」


 全員がズッコケた。





「トロールは魔物の一種です。巨大な(たい)()を持ち、かつ怪力で、深い傷を負っても(たい)()(しき)を再生する事が出来、切られた腕を(つな)ぎ治せるとも言われます。(しゅう)(あく)(よう)姿()を持ち、あまり知能は高くないそうです。凶暴、もしくは()(ぼう)(おお)(ざっ)()とも言われます。(こん)(ぼう)を武器として使う事もあるそうです」


 何故か説明しているのはアンナだった。


「すまないな、アンナ殿… この様な説明、私はどうも(にが)()でな…」


「そうだろうとは思ってました。オリビア様って、知識はありますが(くち)()()… と言うより、感覚で覚えてるって感じですからねぇ」


 苦笑しながら言うアンナ。

 言われたオリビア自身も自覚していたのか、何も言えずに赤くなっていた。


「結構、厄介(やっかい)そうな魔物なんですね… すぐに怪我が治るなら、簡単には退治できないでしょうねぇ…」


 ボソッと言うソフィアに、ナンシーは(あき)れた様な眼を向ける。


「何を言ってんのよ、ソフィアなら簡単でしょ? 昨夜(ゆうべ)シンディに聞いたけど、でっかい岩を一発の火球(ファイヤー・ボール)雷撃(サンダー・ボルト)(ふん)(さい)したそうじゃない? トロールなんて、ソフィアの敵じゃないわよ♪」


 ソフィアの肩を抱き、ニカッと笑うナンシー。

 そんなナンシーの眼前(がんぜん)に、オリビアが剣を突き付ける。


「ソフィア〝様〟だ! いい加減、覚えたらどうだ!?」


 目を()いて驚くナンシー。


「ごごごごごっ ごめっ ごめ………」


 『ごめんなさい』と言おうとしたが、ナンシーは恐怖に震えて(しゃべ)れない。

 すると、突き出された剣先をソフィアが指で()まみ…


電撃エレクトリック・ショック…」


 バチィッ!!!!


「んがっ!」


 音もなく倒れるオリビア。

 電撃エレクトリック・ショック雷撃(サンダー・ボルト)より(はる)かに(おと)るものの、人を(こん)(とう)させるには(じゅう)(ぶん)()(りょく)の雷系魔法である。


「な… なんで…?」


 倒れながら聞くオリビアに、ソフィアはナンシーに抱き付きながら答える。


「ナンシーさんは私と同じ立場だった仲間であり、大切な友人です! そのナンシーさんに剣を突き付けるなんて、オーリャさんでも許せません!」


「そ… そんなぁ…」


 (しゃ)(こう)()()(ぐう)の様な()になったオリビアは、その()から涙をダバダバ流したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ