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元・奴隷の聖女様 ~奴隷に堕ちて3年後… 聖女の力に目覚めましたが、染み付いた奴隷根性が抜けません!~  作者: タイガー大賀


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第28話 ソフィアの成長は想定を超えているのか?

 ソフィア達一行(いっこう)が闘技場に着く頃、魔物や魔獣についての説明をしていたオリビアは疲労(こん)(ぱい)だった。

 対するソフィアは魔物や魔獣の話を初めて聞き、()(しょく)(まん)(めん)である。


「オーリャさんのお(かげ)で予習はバッチリですね♪ 魔導師さん達には頑張って欲しいです♪」


 ()賓席(ひんせき)に座りながら、ホクホク笑顔で話すソフィア。

 彼女とは対照的に、説明で疲れ果てたオリビアはグッタリと椅子に(もた)()かる。


「オリビア様、大丈夫ですか? そろそろエキシビションが始まりますが…」


「精神的に疲れただけだから大丈夫だよ… 身体(からだ)は何ともないからね…」


 シンディの質問に答えるオリビアを見て、アンナは首を(かし)げる。


身体(からだ)は大丈夫でも、精神が疲れていたら判断が(にぶ)るんじゃないかしら…?)


 アンナの()(ねん)(のち)(てき)(ちゅう)する事になる。

 が、それは意外な形で終息するのだった。





 観客の入場も終わり、進行役が開会を宣言する。

 魔導師と(しょう)(かん)()円形台座(リング)に上がり、ソフィアに向かって(いち)(れい)する。

 それに(こた)え、ソフィアも一礼(いちれい)する。


「ソフィア様… 聖女様ともあろう方が、軽々しく頭を下げないで下さい… 手を振る程度で構いませんので…」


 言うだけ無駄だと思いつつも、ソフィアを(たしな)めるアンナ。


「えっ? でも、それでは頭を下げて(くだ)さった方に失礼では? ホラ、礼には礼をって言うじゃありませんか♪」


(やっぱり、こういう反応よね…)


 (はん)()の無表情になり、彼女はそれ以上何も言わなかった。

 そして円形台座(リング)の周りに居る魔導師が防御魔法を展開すると、(しょう)(かん)()円形台座(リング)(はし)に移動して魔物や魔獣を(しょう)(かん)する。

 ()くまでもエキシビションなので、(しょう)(かん)する魔物や魔獣もそこそこの強さである。

 なので数匹(ごと)に交代する魔導師や剣士も、(おの)(おの)が得意とする魔法や武器で(なん)なく倒していった。


「凄いですねぇ~♪ (みな)さん素晴らしいです♪」


 魔導師や剣士が魔物や魔獣を倒す(たび)に、ソフィアは拍手を(おく)って(たた)える。

 そしてエキシビションは(とどこお)りなく進み、昼食を()ねた休憩に入る。

 闘技場内に()るレストランでも、ソフィアは(しゅう)()ご機嫌だった。


「休憩の(あと)は、()()()()()()()()()()()()()するんですよね? 前にも言いましたけど、()()()()()()()()を見るのは初めてなんで楽しみです♪」


 そんなソフィアを見ながら、アンナは(かん)(がい)(ぶか)げに(うなず)く。


「ソフィア様、ご(りっ)()になられて… ちょっとした事で失神していたのが(なつ)かしいわねぇ…」


メイド長(アンナさん)(なつ)かしいって…? ソフィア様が最後に失神してから、まだ10日(とおか)()ってませんけど…?」


 シンディが突っ込むと、アンナはキョドりながら…


「あ… あらっ? そうだったかしら? でも、なんだか(なつ)かしいとは思わない? 今のソフィア様を見ていたら、遠い昔の様な気がするんだけど…?」


「ま… まぁ、そう言われてみれば…」


 10日(とおか)()っていないとは言え、こんなにも長くソフィアが失神しなかったのは初めてであった。

 なので、確かに(なつ)かしいと言えば(なつ)かしい感じもした。

 その当人であるソフィアは、休憩後に(しょう)(かん)される下位(レッサー)悪魔(デーモン)についてオリビアを質問責めにしていた。





 昼休憩が終わり、全ての観客が席に着く。

 ソフィア達が()賓席(ひんせき)に座ると、闘技場に魔導師と召還士が入ってくる。

 円形台座(リング)に上がると、ソフィアに向かって(うやうや)しく(いち)(れい)する。

 それに応じ、ソフィアも一礼(いちれい)


「オーリャさん… 魔導師さんですが、さっきまでの魔導師さんと雰囲気が違う様に思うんですけど…?」


「えぇ、下位(レッサー)悪魔(デーモン)が相手ですからね。魔導師もそれなりのランクの者になります。魔物や魔獣とは勝手が違いますから」


「それは… 楽しみですねぇ~♪」


(本当に変わられましたね… まぁ、喜ばしい事ではありますけど… 今のソフィア様を見たら、旦那様… バドルス侯爵様も、さぞかし驚かれるでしょうね…)


 ソフィアとオリビアの会話を聞き、思わずニヤけるアンナだった。

 円形台座(リング)(じょう)では召還士が下位(レッサー)悪魔(デーモン)を呼び出し、同時に周囲の魔導師達が防御魔法を展開する。

 そして魔方陣から下位(レッサー)悪魔(デーモン)が姿を(あらわ)す。

 それは山羊(ヤギ)の頭部と下半身を持った人型の悪魔で、(まが)(まが)しい妖気を(はな)っていた。


『グガァアアアアアアアッ!!!!』


 下位(レッサー)悪魔(デーモン)耳障(みみざわ)りな咆哮(ほうこう)を上げると、魔力を感じたのか魔導師に向かって火球(ファイヤー・ボール)(はな)つ。

 魔導師は難なく()けると、()(どう)(じん)下位(レッサー)悪魔(デーモン)()(ぷた)つに()()いた。

 音も無く倒れる下位(レッサー)悪魔(デーモン)

 そして、闘技場は満場の拍手に()いた。

 ソフィアも思わず立ち上がって魔導師に拍手を贈っていた。


「あの魔導師さん、凄いですねぇ~♪ 私、感動しました♪」


「まぁ、あの程度の下位(レッサー)悪魔(デーモン)なら、私でも剣に魔力を(まと)わせれば(いち)(げき)(ほふ)れますけどね…」


 自分を差し置いて魔導師が()められたのが気に入らなかったのか、ムスッとして言い(はな)つオリビアだった。

 魔導師と召還士はソフィアに向かって一礼し、円形台座(リング)を降りる。

 続いて別の魔導師と召還士が円形台座(リング)に上がり、ソフィアに向かって一礼。

 ソフィアもまた、彼等に向かって一礼する。

 そうやって3組の魔導師と召還士が下位(レッサー)悪魔(デーモン)との(たたか)いを()(ろう)し、最後の1組が円形台座(リング)に上がった。

 円形台座(リング)に上がった召還士を見て、オリビアの表情が(わず)かに変わる。


「オーリャさん、どうかしましたか?」


「いえ… ただ、あの召還士ですが、何処(どこ)かで見た様な…?」


 オリビアが考えている(あいだ)に、召還士が下位(レッサー)悪魔(デーモン)を召還し始める。


「あの魔方陣は…?」


 召還士が魔力で床に(えが)いた魔方陣は、(さき)(ほど)までの下位(レッサー)悪魔(デーモン)を呼び出す魔方陣とは明らかに違っていた。

 そして、魔方陣から出てきたのは…


「あ… あれは… 上位(グレーター)悪魔(デーモン)!?」


 その姿は(さき)(ほど)までの下位(レッサー)悪魔(デーモン)とは明らかに(こと)なり、(はん)(じゅう)(はん)(じん)では無く完全な人型だった。

 勿論、その姿は人間とは全く異なっている。


「何をしている! エキシビションで上位(グレーター)悪魔(デーモン)を呼び出すなんて聞いてないぞ!」


 叫ぶオリビアに、召還士は…


「フハハハハハッ! 話は聞いているぞ! 聖女の能力に目覚めた()(むすめ)は気弱で(おく)(びょう)だとな! そんな聖女なら、上位(グレーター)悪魔(デーモン)をけしかければ(ひと)(たま)まりもないだろう! 魔王様に安心して世界を滅ぼして(いただ)く為に、聖女にはこの場で死んで(もら)うのよ! (われ)魔王崇拝者(デモニスト)(のぞ)む、魔王様が支配する世界を創造する為に!」


「なっ…!?」


 オリビアは(きよう)(がく)し、一瞬の(スキ)が生まれる。


「今だ! 上位(グレーター)悪魔(デーモン)よ、そこの女剣士を殺せ! そいつさえ殺せば、聖女の守りは無いも同然!」


「なんだとっ!?」


 オリビアは剣に魔力を(まと)わせ、(げい)(げき)体制に入ろうとする。

 だが、自分が攻撃されるとは思っていなかったのと、精神的に疲れていた事が(わざわ)いし、一瞬だが反応が遅れた。


(ヤバいか!?)


 オリビアが思った瞬間…

 

「そんな事はさせませんっ!」


 言うが早いかソフィアが防御魔法を展開し、上位(グレーター)悪魔(デーモン)の攻撃からオリビアを守っていた。

 ソフィアにはアンナが守りの体制に入ろうとするが、それより早くソフィアが動いた為に(から)()っていた。

 そして…


「貴方の事は見過ごせません! が、殺してしまっては何も情報が聞き出せませんからね。(いっ)(たん)(こう)(そく)させて(いただ)きます!」


 召還士を拘束(こうそく)魔法で(しば)り上げ、舌を()めない様に魔法で(さる)(ぐつわ)()ませるソフィア。

 更に上位(グレーター)悪魔(デーモン)に対しては、精霊魔法で浄化までしてみせた。


「ふぅっ… これで一安心(ひとあんしん)ですね。私はこの人を警備兵に引き渡して(じん)(もん)して(もら)います。オーリャさんとアンナさんは、武闘大会を閉会させておいて下さい」


「「は… はい…」」


 テキパキとしたソフィアの指示に、従うしかないオリビアとアンナ。

 勿論、()()()に対しての思いは(たが)いに言い合った。


「ソフィア様、変わり過ぎじゃないか? いや、()い意味でだけどさ…」


「喜ばしい事ではありますが… あまりにも変わり過ぎていて、私としても対処の仕方が…」


「それは(わか)る気がする… バドルス侯爵に引き取られた頃は知らないけど、(まわ)りの反応から何となくは…」


 2人は顔を見合せ…


()()きに(まか)せようか…?」


「それしかありませんわね…」


 盛大(せいだい)に大きな()め息を()いたのだった。

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