続 勉強会!
外からは、ザーザーとした何かが降り注ぐような音が聞こえます。
どうやら今日は、雨の日の様です。といっても、別に外に出る用事は無いので関係ありませんけどね。
今日は昨日の続きの勉強会です。
そして今回は、途中で寝ない為に秘策を用意しました。それは…
「恵那〜このスースーする草、嫌〜」
早速横から苦情が出ます。
「それはミントです!。何か近くで生えていたので、ちょっと採ってきました。少し変でも、眠気覚ましの為に我慢してください!」
「「え〜」」
え〜じゃありません!。後でもう一回説明するの本当に面倒臭かったんですから…。
私は前を向きながら、後ろを指で差します。
「まだまだ一杯あるので、無くなったら言ってくださいね。言わなくても詰め込みますけど!」
あらあらどうしたんですか二人とも?、そんなに顔を青くして…。
えっ!、何か私怨も入ってそうだって?。そんなまさか、別に乳離れの事も一緒に八つ当たりしてる訳じゃないですよ!。
ちゃんと、私も食べますから頑張ってくださいね!。
それにしても、ミントがこんなに近くに群生していたとは幸運でしたね。
生命力は雑草以上とか言われてますから、多少抜いても罪悪感はないですし、むしろミント自体が強すぎて雑草だと言われてるぐらいですからね!。
あっ、お母さんが食べ物持って帰ってきた!。それじゃあご飯を食べたら早速授業ですからね!。
『えっと…それじゃあ昨日の続きで、私達鎌鼬の話から入りますね。』
私達が一様に口に大量にミントを含んでいるのを、不思議そうに眺めながらお母さんが話を進めます。
『鎌鼬は、俗説では風に乗って脚などを斬り付ける妖怪です。まあ、そういう説が妖怪の力になるので大体その通り何ですけど…』
そこまで言うと、お母さんは自分の鋭い鎌のような爪を伸ばして見せます。
『これが、鎌鼬の一番の特徴と言える爪ですね。この爪をすれ違いざまに当てて斬りつけます。といっても、鎌鼬全員がこれをやる訳では無いんですけどね…』
そんな話に飯綱が聞き返します。
「そうなの?」
『ええ、鎌鼬は基本的に三匹で活動します。なので、此処を出たら一緒に活動してくださいね。まあ、歳をとったら別れる事もありますけど…』
その事を聞いて私は横を見ると、他の二人も此方を見ていました。
ただ、互いに少し気恥ずかしくなり、直ぐに前に向き直します。
『三匹で活動すると、それぞれ役目に沿って行動します。これは出生順で、転ばせ、斬りつけ、痛み止めに分かれるので…飯綱が転ばせ、野鎌が切りつけて、恵那が痛み止めの薬を塗る感じになりますね。』
それを聞いて、私は少しホッとしました…。何故なら生きる為に必要だとはいえ、人に怪我をさせるのに抵抗があったからです。
痛み止めとは恐らく本で見た、最後にやる、切られた後の痛みを感じさせないようにしたり、血止めの薬を塗る担当なのでしょう…。
それぐらいなら私にも出来そうです!。
以前から不安で燻っていたやる気に、大きく火がついたような気分に私はなりました。
そんな事を思っていると…ポンッといった手を合わせたような音が響きます。
『まあ、今日は他に細々と話して終わりにしましょうか。
まず、妖怪は人を怖がらせないと生きてはいけません!。半物体タイプの私達もそれは変わらず、世界の摂理というものです。』
私達はそれに静かに頷きます。
『しかし、怖がらせないといけないのは事実ですが、別に敵対しろという訳ではありません。外にいる人間達は強く、そこらの妖怪よりも悪意に満ちている事もあり、共存の道はは難しいでしょう。だけど、今生は貴方自身の物なのですから、自分のやりたい事を好きにやりなさい。良いですか?』
そんな話に私達は…
「「「はいっ!!!」」」
と元気に返事をしました。