遊べば大きくなる!
「恵那〜、一緒にあそぼ〜」
そんな声が洞窟内に響くと、私は読んでいた本から顔を上げて返事をします。
「良いですよ。」
私を遊びに誘っていたのは、野鎌のようです。
といっても、飯綱も一緒みたいですが。
私は巣立ちした後の為に、洞窟の奥に何故か散らばっていた本を読み漁っていました。
暗闇で本を読んではいけないのは、人間の話なので鎌鼬である私には関係ありません!。
とはいえ、遊ぶ事は普通に好きですし。良い気分転換になるので、誘われたら積極的に付き合うようにしています。
「今日は何をするんですか?」
そんな私の問いに、飯綱は元気溢れる顔で答えます。
「プロレスごっこ!!」
「じゃれ合いですね、分かりました。」
というか、いつプロレスごっこなんて知ったんですかね?。
生まれてから一度も外に出ていない筈ですけど…。
ちなみに二匹の兄弟の性格は、子供らしく元気一杯って感じです。
ただ、どちらかというと野鎌の方が積極的ですね。
ふと、飯綱の顔を見て少し前にあった事を思い出します。
「野鎌は元気なのは良いけど、以前みたいに爪を出して怪我をさせないでね!」
「あ、はい…」
流石に反省をしているのか、しおらしげに応えます。
そう、野鎌は今と同じようにじゃれ合いをする中で、鎌鼬の特徴である爪を間違えて出してしまって、怪我をさせてしまった事がありました。
それも飯綱の顔をざっくりと。
まあ、幸い命に関わる怪我では無かったけど、今でも飯綱の額に傷が残っています。
あの時は、私も慌てて近くの葉っぱで抑えるとか、とても混乱していましたね…。
そんな事を考えていると、よちよちと飯綱が寄ってきました。
「恵那も遊ぶの?」
「ええ、そう言う貴方はもう傷が痛みませんか?」
「うん、もう大丈夫…」
「それは良かったです。貴方も爪の事、気お付けて遊んでくださいね!」
これには頷きで返されます。
まあ、私も爪の事に関しては慣れていないので、他人事ではありませんけどね。
―ドタバタ…
「ギャ、やったな〜、オリャ!」
―ガブッ
「痛っ!、今噛んだの誰!?」
―ポカポカボフボフ
「僕じゃないから、野鎌!」
「野鎌〜」
「い、飯綱、いつも大人しいのにサラッと濡れ衣を…イテッ!」
―ボカッ
「問答無用!」
―ドタドタバタバタ…
うん!、やっぱり子供みたいにはしゃぎ回るのは、童心に戻った様で楽しいですね!。
爪を使う以外は、ぶっちゃけ何しても良いので。もみくちゃになって、全身ボロボロですけど気分は爽快でした!。
でも、まだまだ身体は赤ちゃんです。
その証拠に、一杯遊んだら眠気が襲って来ました。
明日も元気に遊びた..いな...。 Zzz…