君がくれたもの
注意
この小説は東日本大震災に関する部分があります。もし読んでいて不快な思いにさせてしまったらすみません。
この物語は全て実話です。
今日ね、幼稚園でお友達ができたの。
その子、はなちゃんって言うんだって。
一緒にね、おままごとしたの。はなちゃんがお母さんで、ちあきがはなちゃんの子供。
それでね、それでね…。
テレビの中の幼い私は、舌の回らぬ口でこんなことを言っていた。
華。私、千秋にとって最初の友達だった。
「だった」というのは、過去のことだから。
華は…
転校していった。
齢7歳にして、私という人間を変えてから。
2011年3月11日、午後2時46分。
東日本大震災のあの激震は、私達の町をも襲ってきた。
当時小学校1年生。怖かった。ただただ怖かった。
あのとき、華と私は隣の席だった。
体感したことの無い揺れに、ざわつく教室。
先生までもがうろたえている。
その雰囲気にのまれ、私は机の下で泣いた。
みんなに気づかれないように、そっと。
でも華は気づいたらしい。そっと私に寄り添って、
「大丈夫、大丈夫。」
と言った。
「はなとちあきは、繋がってるでしょ!」
はなだって怖いだろうに。帰りの会の途中だったこともあり、2人とも赤いランドセルを抱えている。そこについている、百均ビーズのストラップ。
私が作ったものだ。
それを2人で合わせて、泣き笑う。
華は私に、なんかあったかいものをくれたな。
そのときそう思ったのを、今でも鮮明に覚えている。
その3週間後。春休みが始まってすぐに、華は転校していった。普通なら泣きじゃくってしまうだろうが、何故か2人とも泣かなかった。
なんでだろう。でも1つだけ、確かなことがある。
胸の中で、華がくれたあったかいものが熱くなっていた。
華、何を私にくれたんだろう?
華とはその後、1年に1度、年賀状の行き来があるだけだ。
華へ
お元気ですか?こっちは毎日元気に過ごしています。
あの震災から、もう長い時間が経ったね。あのとき華が見せたストラップ、まだ家にあるよ。華も持っているのかな。
あまり長い文章が書けなくてごめんね。また手紙出すね!
千秋より
追伸:私達は、ずっと繋がっているよ!