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花火大会

 そうして迎えた花火大会の日。

 私は重要なことに気がついた。

 時間と場所を決めていないではないか。

 あいにくナギのメアドはもっていないし、ナギ宅に直接いって聞くしかなさそうだ。

「はあ〜」

 一つため息をつくと立ち上がり、身支度を開始する。

 ナギ宅結構遠いんだよね⋯⋯。

 ピロロン

 えっと⋯⋯服どうしよ。できるだけ動きやすいのにしよう。

 よし。ダサくも可愛くもない。こんな感じかな。

 ピロロン

 あとは髪の毛か⋯⋯。適当にしばっとこ。

 ピロロン

 あっ、ここ虫に刺され立てたんだ!薬ぬっとかないと

 ピロロン

「うるさーーっい!」

「うるせえよ、アホ!」

 そういうのは風雅。土曜日だからといっていつまでもベッドでゴロゴロしてギャルゲーをやっている。

「あんたもそろそろ起きたら?てか」

 私はイライラしながら机に置いていた携帯のメール受信ボックスをひらく。

 予想通りヨウからのメールで溢れている。

〈 莉音ちゃ〜ん♡今日花火大会あるじゃん(ง •̀ω•́)ง✧一緒に行かない??きっと楽しいよ〜ん✨ 〉

 うわあ⋯⋯なんか腹立つ⋯⋯。

 それから似たような内容であろう2通目にも一応目を通す。

〈莉音ちゃん♡♡今非リアでしょ ?

L( ・´ー・`)」この機会にさ、僕の胸に飛び込んでおいで(ノ*´з`)ノ〉

 ⋯⋯⋯⋯⋯⋯。

 私は風雅に携帯を押し付けたい気分をおさえ部屋をでた。

 はやくナギの家に行こう。





 あともう少しでバス停。バス停についたらナギの家の近くにいくものを探してそれに乗るだけ。なんだけど⋯⋯

 バス停の前にたまってるヤンキー達に足が恐怖で動きをとめる。


 でも、どこか見覚えがあるような人達だ。

 ⋯⋯いや、『ような』じゃない。この人達は⋯⋯。

「待ったか、お前ら」

 そこへ颯爽と現れた親友の姿に納得がいく。

「ともちゃん⋯⋯」

 そうだよ、この人達ともちゃんの子分のヤンキーさんだ。道理で見覚えがあったんだな。


 ともちゃんはヤクザのお家の子、という訳じゃなくて、実力で裏社会を制してきたすごいお方。

 そんな強いともちゃんを慕うヤンキーもまた強くて怖い方ばかりで、私はすごく苦手なんだけど⋯⋯。

 子分と話すともちゃんの表情は普段と変わってないようでどこか嬉しそうで、こちらまで嬉しくなってくる。

 ヤンキーは怖いけどこういうともちゃんの姿がみれるなら悪くもないなあ、なんて思っていると、ふとこちらをみやったともちゃんとばっちり目が合う。

「莉音⋯⋯?」

 いぶがしげな表情でこちらをみているともちゃんに慌てて

「うん、莉音だよ!おはよう」

という。人違いされてヤンキーによるフルボッコの刑とか絶対嫌だからね。

「なにしてんの、そんなとこで」

「バスに乗りたいなあって⋯⋯」

 ヤンキーの人達に睨まれて(本人達は意識してないんだろうけど)声が震えてしまった。

「なんで声震えてんの?ウザっ」

 なんでっ!?

 え、な、なんかさっきよりもヤンキーさん達の睨みがきつくなったような⋯⋯?

 もしかして、ちゃんと意識して睨んでたのっ!?

と若干の脳内パニックを起こしているとバスがやってきた。バスの先頭にはナギの家がある町の名前がかかれていてホッとする。ちょうどいいのがきた⋯⋯。おかげでヤンキーから逃げられるよ。

 私はヤンキーさん達を見ないようにしながらバスにかけよる。

「ともちゃんは乗らないの?」

 ふと振り返ってたずねてみるとともちゃんは若干ギラついた目で

「私はあるヤツを待ってるだけだから」

といわれる。

 明らかに殺気を帯びた雰囲気のところを見ると、喧嘩相手⋯⋯なのだろな。

 聞かなかったことにしよう、うん。

「じゃあ」

 そういうと私はともちゃんに背を向けバスに乗り込んだ。







 ナギの家にくるのは本当に久しぶりだ。

 ナギの家で暮らしてたのが遠い昔のことみたく思える。

 戸の横についたインターホンを二回押す。

 ピンポーンピンポーン

 まだ寝てるかな?⋯⋯寝てたら申し訳ないけど⋯⋯。

 そう思っているとカチャっと音がして戸がひらく。

「おはよう、実はって⋯⋯」

 思わず自分の目を疑う。


 なんで⋯⋯なんで桃ちゃんがここにいるの?

 弟の彼女でマーメイドプリンスの可愛くて天然ボケした女の子の桃ちゃん。

 そんな桃ちゃんは、私が知ってる彼女からは考えもつかない鋭い瞳でこちらを睨んでる。

「こんにちは、莉音さん」

 そういって微笑んでみせた彼女の笑顔はいつも通りで、でもどこか恐ろしいように思えた⋯⋯。


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