第18話 遂にお買い物、そして私の勘
買い物編は当分続きそうです。
ゆっくりと上げていきますので気長にお待ちください。
アドバイスもお待ちしています。
私たちはクラウスさんに案内されてカウンターを通って店の奥へと歩いて行った。
そこには右手側には一定間隔に設置された扉、左手側には沢山の木箱が山積みになっておりその間を沢山の従業員がバタバタと作業をしていた。前世を含めてもこういったお店の裏側を見たことのない私は初めて見るこの光景に目を輝かせていた。
「凄い量の商品ですね。管理の方は大変じゃないんですか?」
「商品の種類ごとに中に入れさせておりますし、看板などを使って見わけがつくようにしておりますので管理の方は問題ありません。」
成程、この時代なりに考えて商品管理をしてるという事ね。ポーチの中で大人しくしていたレコも器用に顔を出して『あの箱の中の鉄はとても良さそうですね。』と値踏みを始めていた。
メアリーとアンナさんは私の買い物だという事であまり首は突っ込まないそうだ。
「着きました。さぁこちらです。」
案内されたのは今までの扉と比べても少しばかし豪華に作られており、いかにも『おもてなし専用の部屋への扉』を醸し出していた。扉が開けられて目に入ったのは私が見ても高そうな壺や絵画、ソファーの置かれた豪華な部屋だ。
「さあどうぞ。こちらにお座りください。」
何というが物凄く場違いな気がするけどここで弱気になったらダメ!っと心の中で自分を鼓舞しながら促されるままにソファーに座った。メアリーは私の隣に、アンナさんはメアリーの斜め後ろに控えていた。
クラウスさんは私の目の前に座っていてその後ろにはしっかりとしたスーツの様な服を着た女性と所々に鉄が使われた鎧を着ている護衛の方が控えていた。
「まずは当商会の中お客様の気分を害させてしまったことを謝罪します。」
今回の件、ユリアスさんは被害者の一人なので関係ないけどそこを自分が悪いとして誤って来たか。
うん、この人は好感が持てる人だね。流石、伯爵家の方々が利用しているお店だね。これからは私も贔屓にさせてもらおう。
「謝れることなどありません。今回は鞘がついていても中で剣を振ってしまった私のせいです。」
「いえ、あそこで御客様が剣を抜かれなくても後ろの護衛の方が抜かれていたでしょう。」
そうか!アンナは私たちの護衛を任されているからあそこの場面では私達を守りらなければいけなかったのか。まあ私が倒してしまったけど。
「分かりました。謝罪の気持ちを受け取ります。出来れば何か少しサービスしてくれたらいいですよ。」
「ありがとうございます!それで今回はどういったご用件でお越しになられたのでしょうか?」
どうやらやっとお買い物の話みたいね。
こちらも早く買い物は済ませたいからありがたいわね。
「今回は石と鉄、それと魔石の方がメインで後は日用品と衣類の方を買おうかと。」
うん、ゴーレムを作りたいとは言っても女の子らしい事はやらないと
「大体どれほどお買い求めでしょうか?」
「鉄を230メルト、魔石は30エルほどの大きさのを7つほど買おうかと。」
メルトはこの世界の重さの単位で大体1メルト¬=1キロ、エルは長さの単位でこれもセンチと同じ感じ。だから大体ゴーレム一体で60メルト(キロ)、だから鉄製のを何体かと鉄が何メルトか余る計算なんだけど‥‥どうなるかな。
「それでしたら鉄が6900ラル、魔石が350ラルなので合計で7250ラルですが今回はお詫びを兼ねて7000ラルでお売りしましょう。」
えーと大体、石が1メルト大銅貨1枚、鉄が1メルト大銅貨3枚、魔石が銀貨1枚みたいね。
確か1ラルが十円だったはずだから69000円か思ったよりも鉄の鉱石類が高いみたいね。それにしても2500円分まけてくれるのは私がお願いしたサービスみたいね。
私が考え込んでいたら
「聞くのは野暮だと思いますがそれほど数の鉄をどうされるのですが?」
流石に気になるよね。
「少し実験に使うので買いに来ました。これ程の量を買うのは実験で失敗してもいいようにです。」
嘘はついていないよ。新しいゴーレムを作る実験だからね
「そうでしたか…分かりました。どちらに届ければよろしいでしょうか。」
すると今まで静かに聞いていたメアリーが口を開いた。
「アヤノはガルダス家の客人ですから、屋敷に届けてください。」
「畏まりました。その様に手配します。」
そう言って後ろの秘書さんに指示を出していた。
………あっそうだ。これだけは聞いておこう。
「あともう一つお願いしたい事があります。この世界でどの様な鉱石や魔獣の素材類があるのか、そしてその中の何を取り扱っているかが分かる一覧の様な物をもらってもいいでしょうか。出来れば珍しい物も載ってれば嬉しいです。」
私はこの世界にどんな素材や鉱石などがあるかが分からないため、出来る時に情報収集をしていかないとね。
ゴーレムたちの材料になる物が見つかるかもしれないしね!
「畏まりました。後でお渡ししましょう。」
そう言って後ろに控えていた秘書のような人に追加で指示を出していた。
「分かりました。それでよろしくお願いします。それでは次に服や日用品ですが…」
「それでしたら近くに私の商会に所属している服飾店がありますので実際に来てもらって選んだらどうでしょうか。後で私が案内しましょう。」
「私は嬉しいですが、お仕事の方は大丈夫なのですか?」
「今日の仕事は終わっていますのでお気になさらないでください。」
「そうですか…ではお言葉に甘えさせてもらいます。」
これも彼なりのサービスなのかな?
「ですが先に日用品の方を買っておきたいのですが…」
「分かりました。それではまずそちらまで案内しましょう。」
よしっ!いっぱい買い物するよ!
……そこまで買うものあったっけ?
豪華な応接室から売り場まで移動しようとユリアスさんと廊下に出ると目の前を鉄がたくさん入った箱を持った従業員さんが通って行った。
もう運び始めてるの!ってびっくりしたけど顔には出さずにクラウスさんに聞いてみた。
「早速、私の頼んだ鉄を運んでいるんですね。」
「そうですね。特に今回はご迷惑をおかけしましたから。これ以上はさすがに……」
成程、これもサービスということね……流石にそろそろ私の方が申し訳なく思えてくるよ。
頑張ってるなーと思いつつふと目線が隣を通ろうとした従業員さんの運んでいる鉄の延べ棒の一つが妙に気になってしまった。
「ちょっとそこの鉄を運んでいる方!止まってください!」
私の声を聴いたクラウスさんは私が止めようとした従業員さんを止めてくれた。
「アヤノ様。この者が何か気分を害するようなことをしましたか?」
どうやらクラウスさんは私が起こってこの人を止めたと思っているみたい。
更にそれを聞いたアンナさんが剣を抜こうとしていた。
「いいえ違います!そうゆう事ではないのでアンナさんは剣を抜こうとしないでください。」
私がすぐに訂正するとクラウスさんは私と従業員さんに誤っていた。アンナさんは勘違いして剣を抜こうとしたのが恥ずかしいのか顔が見えないように俯いていた。
「先ほどは失礼しましたそれではなぜ彼をお止めに?」
「少しその中の鉄が気になっただけです。中を見させてもらってもいいですか?」
「えぇ構いません。買い物は選んでからするものですから。ですがここでは作業の邪魔になるので空き部屋の方へ行きましょうか。」
クラウスさんの許しを得て空き部屋へと件?の従業員さんと一緒に移動していった。
といっても数部屋分しか距離はなかったですけど。