第10話 魔道具、そしてちょっとしたプレゼント
ガルダス夫妻とメアリーを助けた件の報酬の話はついてお金は貰ったけど、まだ魔道具を貰っていないしまだ実物すら見ていない。また疲れることになりそうと思いつつも心を決めて話を進めることにしました。
「それで報酬のお金は頂きましたが、魔道具の方はまだ見ていないので時間があれば見せて貰えませんか。」
「そうだな。ゼラス、報酬の魔道具を持ってきてくれ。」
「かしこまりました。アリアス様。」
そう言ってゼラスさんが応接室から出て行くとメイドさんが出されていた冷めた紅茶を下げて新しい紅茶を出してきた。
「ゼラスが魔道具を持ってくるのに少し時間がかかるからな。紅茶やお茶菓子を楽しんでくれ。妻のお気に入りのお店で買ってきたものだからな。美味しいぞ。」
「では、いただきます。……これは紅茶によく合いますね。宜しければ後でお店を教えてくださいませんか。」
ガルダス夫妻との小さなお茶会は和やかな雰囲気で行われていたが数分で終わってしまった。部屋の扉がノックされアリアスさんが『入れ。』というとゼラスさんがメイドさんを四人も連れて部屋に入ってきた。
「アリアス様、魔道具を持ってきました。失礼ながら机の上に置かせていただきます。」
そういうとゼラスさんは自分の持っている魔道具を置きつつ連れてきたメイドに指示を出しつつ作業をして数十秒ほど経つと私の目の前に六つの大小様々な箱が並べられていた。
「これが君にあげる魔道具だ。ゼラス、一つ一つ説明しながらアヤノ殿に見せてやってくれ。」
「かしこまりました。まずはこの三つの箱です。」
そんな感じで三つが紹介された。一つは胴の真ん中に青色の宝石みたいな石がはめられた青みがかった透明な持ち手のないコップが入っていた。
「これは魔力を込めることによって中に綺麗な水が出てくるコップです。」
「とても使えそうな物ですが何故いらない物なのでしょうか。」
「高価なものではありますが貴族なら数を集めるのも簡単で、特に今は水以外にも多く魔力を込めれば水以外にも出て来る物がありますのでそちらで間に合いますのでいらなくなってしまったのです。」
なるほど。確かに貴族とはいえ人が使ったコップを使いたいと思う貴族はいないから買い取り値が安くなるという事ですか。
次は包丁のような刃物で柄の部分に小さな灰色の石がはめ込まれていた。
「この包丁は魔力流すことによって切れ味が回復するのですが金属の魔石が小さく思ったよりも魔力が必要になってしまい使う者がいなくなりまして、捨てるぐらいなら研究に使ってもらえればと。」
私は普通に包丁を研ぐつもりでいたので魔力さえ流せば問題ないというのは料理を作る身からすれば素直にうれしい。
最後は直径五十cm、高さ五cmほどの平べったい厚めの鍋敷きみたいな物で上面の真ん中に今度は赤色の石がはめ込まれていた。
「これも魔力を流せば使えて料理の際に鍋などの上に乗せた物を温められる魔道加熱器という物ですがこれは素直に言うと普通に報酬としてお渡しします。これがあれば一々火を起こさなくても済むので料理のお上手なアヤノ様には渡しておいた方がいいと思いましたので。」
これも素直に嬉しい旅の途中は剣士さんが火を起こしてくれて、初めての夜に火を起こした時は魔力の調整が難しかったのでこれで楽に料理が出来る……やったー!
「分かりました。そういう事でしたらありがたくいただきます。こういう日用品のようなアイテムの研究はしていなかったので楽しみです。」
「これを研究するのか、ゴーレムの研究といい面白い子だな、アヤノ殿は。」
木になったのでアリアスさんの話を詳しく聞くとどうやらこういう魔道具は研究されつくしていて今は生産だけしかされていないみたい。だから今から研究しようとする人が珍しいらしい。
「次からが本題です。まずはこちらをどうぞ。」
そう言って開けた箱の中には真っ黒な腕輪が入っていた。
「これがそうですか。何でこの腕輪は真っ黒何でしょうか。」
「これは時々発見される封印されたアイテムなんだ。我が伯爵家の封印魔法使いでも解けなかったからな。使えない物を持っていても意味がないからなもしかしたら解けるかもしれない君に渡しておいた方がいいと思ってな。もう一つも同じ理由だな。」
アリアスさんが最後に六つの中で一番の大きさの箱に目線を向けながら解説してくれた。するとゼラスさんはアリアスさんが目線を向けた箱を開ける。すると中には鞘に入って鎖で必要以上に縛られた両手剣が目に入った。
「だがこれはあれ以上に封印されていてな。剣だからもしかしたらと思ってお抱えの騎士に持たせてみたが何も起きなかった。だからこれも君の研究材料になればと思ってな……身勝手なことを言っているのはわかって……すまない、何でもないよ。」
アリアスさんが申し訳なさそうな感じで顔をあげて言葉を続ける事をやめた。
「どうかしましたか。私何か変な事していましたか?」
私は周りの雰囲気が変わった事に気がついたがどうしてなのか分らないためとっさに聞いてみるがみんなが『何でもない。』『気のせいよ』などとしか言わないので気にしないことにした。
「この魔道具を受け取ってはくれないかい。」
「ぜひください。色々と自分で調べてみたいです。」
話が終わるとゼラスさんが最後の箱を開けると中には一番上に茶色の丸い石がついていて全体的にも茶色で所々に金色の金具などが使われた杖が入っていた。
「そして最後だがこれは魔法杖といって特に土の魔石が使われているので土属性の魔法の威力が上がります。」
そっそんなものを貰うようなことをしていないのに……ここは断ることにしましょう。そうしましょう。
「そんな素晴らしいものを貰うわけには……」
そう言って断ろうとしましたがアリアスさんに止められました。
まだ話に続きがあるみたいなので聞くことにします。
「まず杖は魔法の媒介にすることによって詠唱速度や威力を上げて魔力消費量を抑えるのだが土魔法はそのまま操るのにも魔力消費量がほかの魔法より多いのに岩を作ろうとしたら一,二回で疲労が出てくる為、杖を使ってもあまり意味がない。」
そうだったんだ。だけど他のゴーレムも作りたいから頑張って練習しよっと。
「だが君はボブゴブリンとの戦いの時に土魔法を使ったにも関わらず何も無かったみたいだったから君だったら我々には使いにくこれを使いこなせると思って渡すことに決めた。だからぜひ受け取ってくれ。」
そこまで言われたら反論なんてできませんよ。
「分かりました。そういうことでしたらこの杖を含めた魔道具六つはすべて貰います。ありがとうございます。」
「貰ってくれて良かったよ。貰ってくれなかった時のことを考えると頭が痛いからな。貰ってくれて助かるよ!」
ふぅ.....これで何とか終わったかな?......
「そして次の話なのだが......」
アイアスさんが次の話に移り始めた。
えっもしかしなくと第三ラウンドですか!......
はぁ.....まだお話は続きそうです。
どうやらガルダス伯爵夫妻は、彩乃の事がほっとけないみたいです。
そのおかげで彩乃はまだ強くなりそうです。
突然ですが、今秋から投稿を週に五回にします。このままだと話が書けなくなりそうな時とかが出て来るので許してください。
明日は投稿はせず話の内容をを考えておきます。