惨劇の校庭
眼前に広がる赤。
赤すぎてどす黒く見えるほどの血溜まり。
周りには食い散らかされた人だったものが転がっている。
吐き気を催す光景。平静を必死に保ちながら、校内に入れそうな場所を探す。
雫はかなり辛そうだ。当たり前か。あんなのを見たら。
「…お、此処からなら入れそうだ。」
智則さんが見つけたのは割られた窓だ。誰かが校内に入るために割ったのだろう。内側に破片が落ちている。
「…これさ、あの光景を作り出した奴等が入ったんじゃね?」
「うっ。」
「それでも、外に居るよりマシだと思うよ。」
「うん。それに、あまりここに居たくないよ。」
雫はちらちらと校庭を見ながら青ざめた顔で言う。それに同意だったのか不安そうにしながらも勇太が校内に入っていく。続いて智則さんが入り雫、僕と続いた。本当なら智則さんが最後に入ると言っていたけど、僕の方が強いし。
「うっ。予想はしてたけど、これはー」
智則さんが口許を押さえる。覚悟はしていた。
外がああなっている以上、校内も酷いことになっている気はしていた。それでも、現実で見ると辛い。
「あ、う、お巡りさんが…。」
言われて見てみれば教室の扉に寄りかかる様に倒れている制服姿の男が。
遠目からでも分かる。
喉元を噛みきられたのが致命傷だったのだろう。
血に塗れた服が物語っている。
「っ。」
僕はそっと遺体に近づいて腰辺りを探る。遺体を漁るのは気が引けるけど、四の五の言ってられない状況だ。
「あった。」
腰からガンポーチごと拳銃を取り出す。
ニューナンブM60か。
5連発の回転式拳銃。所謂、リボルバーだ。
もうひとつは警棒か。3段階に伸縮するようになっているらしい。
「隼斗君、それはどうするんだい?」
「…銃の扱いなら大人である智則さんかハワイでこっそりと撃たせて貰っている勇太がいいかと。警棒は僕が。」
そういってベルトとズボンの間に警棒を挟み込む。
結局、命中率の関係で銃は勇太が持つようだ。
「…ちょっと軽いな。ハワイで撃ったやつのが重かったからな。」
そんでも重いけどなと付け加えて苦笑する友人に同じく苦笑で返した。そして、お巡りさんの方へ向き直る。
「すいません。生きるために借りていきます。」
皆で手を合わせてから、校内の探索について話し合う。
決まった事を纏めると
最優先 安全な拠点の確保
生存者の捜索、及び協力を持ち掛ける
優先 町からの脱出
食料の調達
武器の調達
こんな所だ。ここまで酷い騒ぎになっているんだ。
下手したら封鎖も考えられる。
現状では確認出来ないから脱出手段については後回しだ。
取り敢えず、休める場所が欲しい。出来るなら頑丈な扉がついている体育館が良いけれど。
もしかしたら、人で溢れかえっている可能性もある。
次点で会議室だろうか。そこそこ広く、見張りもしやすい。
武器等は案外簡単に手に入る。家庭科室に行けば包丁が体育倉庫には鉄バットがある。
食料は言わずもがな。多少、菓子類はあるけどこれじゃあ、助けを待つにしても心許ない。
「さて、会議室から見に行こうか。」
智則さんの提案に僕らは頷き、会議室を目指して歩きだした。




