表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の可愛いシンデレラ  作者: 真弓りの


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/13

私が密かに好きな人

そんな事を愚痴っていた私が、まさか湯北君に『その手の事』で詰問される日が来ようとは、本当に人生分からないものだ。





あれから一年と少し、湯北君はもちろんユナちゃんや紗希ちゃんも随分と成長し、しっかり戦力として活躍してくれている。指導を担当した先輩としては、頼もしいやら嬉しいやらである。


湯北君は今日は外周りらしいけど、私の両隣のデスクで黙々と作業にうちこんでいたユナちゃん紗希ちゃんは、今日の仕事もてきぱき終えて折り目正しく挨拶し、背筋を伸ばして退社する。特に紗希ちゃんは入社当初の言動が個性的だったこともあり、この一年の成長ぶりには目を見張るものがあった。



とはいえ、まだまだ任せられない仕事も多いわけで、今日は結構な時間の残業になっている。彼女達の今の仕事ぶりなら来月くらいから、もう少し任せてもいいかも知れないなぁ、なんて考えて給湯室で機嫌良く残業のお供、ミルクと砂糖たっぷりのミルクティーを淹れていた時だ。



「久美先輩」



後ろから、突然声をかけられた。



「すいません、驚かせちゃって」



本当だよ、思わずミルクティーこぼしそうになったよ。……という内心は臥せておく。



「ああ、まだ残ってたんだね。お茶淹れようか?何がいい?」


「すみません、じゃあコーヒーお願いします」


「ブラックだったよね」



おもむろにインスタントコーヒーを開け、お湯を注ぎ、軽くコーヒースプーンで混ぜるだけ。有り難みも何もないそれを礼を言いつつ受け取った湯北君は、なんとも気まずそうに私をチラチラ見ている。


……なんだい、悩みでもあるのかい?お姉さんが聞いてあげてもいいんだが。



なんて思っていたのに、やっと開いた湯北君の口から出たのはこんな言葉だった。



「俺、知ってるんです。……久美先輩、課長の事好きですよね」



一瞬、息が止まった。



「そうねぇ、課長優しいしね。アタリの上司だと思うよ」


「ごまかさないでください。そういう好きじゃない筈です」



そんなバカな。今まで一度たりとも……こういう事に鼻のきく薫にだって、親友のまゆかにだって気付かれた事はない。だって、課長は小柄で若干ふっくらしていて、ちょっとドジッ子属性の、言っちゃなんだがゆるキャラ系。カッコいいタイプの方ではないのだ。


ただ、すごく。

すごく奥様の事を大事に大事にされていて「一生大事にするし絶対に裏切ったりしない」と公言されている。一度ご自宅に皆で遊びに行った時、そのあまりのラブラブぶりに皆冷やかす気にもなれなかったくらいで。


私は、課長のゆるぎない奥様への愛情と、その誠実さに惹かれていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【作者の先日完結作品】こっちもオススメ♪

ここをポチッと押してね(^-^)

『魔法学校の無敵の首席騎士様は、ちょっとコミュ障、大型わんこ系でした』

先日完結しました。首席騎士様が強いのにカワイイとの感想を多数いただいております(笑)

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ