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私の可愛いシンデレラ  作者: 真弓りの


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12/13

シンデレラの告白

なんでこんなに腹がたったのか自分でも分からない。


駅までの道を足早に歩きながら、私は自分でも混乱していた。たぶん私、湯北くんのあの物怖じしないところとか、グイグイくるところとかがきっとダメだったんだろう。だって。


……あの人に、似ている。


ふっとその言葉が浮かんで、急いで首をブンブンと横に振った。違う。絶対に違う。



「待ってください、久美先輩!」



後ろから聞こえてきた呼び声にビクッとして、私はそのまま走り出した。


もちろん、たかだか一、二分で追いつかれて腕を掴まれてしまったのは仕方がないことだ。こちとら完全に運動不足だし、ヒールだし、大学でも野球やってましたなんていうスポーツ男子に勝てるはずがない。



「めっちゃ息上がってますね」


「……」



たかだか数分で息が上がる我が身が憎い。初夏の蒸し暑さも相まって完全に戦意喪失してしまった。駅前の広場で、湯北君が自販機で買ってくれた冷たいお茶を呑みながら、私はぐったりとベンチに体を委ねる。



「大丈夫ですか?」



心配してくれるのすらいたたまれない。早くこの場を立ち去りたかった。彼の質問に答えれば、私は解放して貰えるんだろうか。そう思って、さっきの質問への答えを捻り出す。



「なんで課長を好きかってきいたよね。それは、誠実だからだよ。絶対に奥さんを裏切らないって……それをちゃんと有言実行できてるあの誠実さが、好き」


「俺も、誓えます。もともと浮気性じゃないし」


「最初はみんな、そう言うのよ」



あの人も、そうだった。今の湯北くんくらい、まっすぐな目をしてたのよ、付き合い始めた頃には。その言葉を飲み込んで、私は少しだけ笑う。



「久美先輩、ひとつ聞きたいんですけど……もし課長が離婚したり、浮気したりしたら、そのまま好きでいられますか?」



その質問に、私は一瞬口ごもる。



「それは……たぶん、無理」


「ですよね」



納得した表情で、湯北くんが立ち上がる。私を見下ろすその顔は、さっきまでよりもずっとスッキリとした表情をしていた。



「とりあえず、俺は諦めなくっていいってことだけは分かりました」


「!?」



な、なんで今の会話でその結論になるの……!? 驚き過ぎて、声すら出なかった。



「久美先輩が好きなのは『裏切らない保証がある人』でしょ。それなら、俺にだってチャンスがある筈だ。これから示していけばいい」


「無理。無理よ、だって」



だって。それ以上は言えなかった。胸が痛くて、唇から声が出ていくのを体がで全力阻止している。

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